アキラ師

元男娼。 Real Life 4 Real People The Suburbia主…

アキラ師

元男娼。 Real Life 4 Real People The Suburbia主宰 記事は2007〜2021年までのアーカイブと、新しく書いたものが混在しています。2021.11.01スタート

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  • LoveRescue

    お前をレスキューしてやるよ。そんな日々のこと。R18

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    泣き疲れて眠る前に読むもの。

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    気まぐれのスケッチ群。

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【Love Rescue】巻き戻せない景色のこと①(2024年)

気難しいと周りに噂される女が事務所にいた。 澪、27歳。 風俗嬢としてはもう旬を過ぎている。19、20の嬢たちにとっては近寄りがたい存在だった。 何を言われようとしょせん風俗店だ、1人で完結する仕事なので他人からどう思われようが気にする必要はない。しかし、澪の気難しさは周囲をピリつかせる類のものだった。 ある時、20歳の嬢が澪にこう話しかけた。 「澪さん、私、彼氏と大阪に遊びに行ったのでそのお土産です。よかったら食べてください」 澪は嬢の顔も見ない。 「うん」そう言って、ち

    • アウディに乗る妻と中年男③【最終回】

      調査最終日。 今日の調査は俺が1人でやることになっていたが、昼間は史織とランチに行った。近いうち温泉旅行に行くつもりだったのでその打ち合わせも兼ねて。 カジュアルなイタリアンの店でボンゴレビアンコを食べながら話をしていたのだが、次第に様子がおかしくなり、温泉の話も半端に店をあとにした。そのまま2人とも無言で近くのラブホテルに入って、激しくセックスをした。 俺にはすぐに分かった。史織は元なのか現なのか分からないが、風俗嬢だ。 セックスが上手いとかそういうことじゃない。風俗

      • 【LoveRescue】葡萄①(2016)

        トラムを降りると、低い雲に覆われた街はどこからか葡萄の香りがした。 まだ6月だというのに空気が湿って暑い。肌にまとわりつくような小雨が振り、路面電車の線路が濡れている。弟子の音羽が俺の腕に手を回して傘の中に入った。 「ここから先は少し坂道を登っていくよ」そう音羽が言い、石畳の坂道を歩き始める。 もう何年も履いていた一張羅の靴が壊れたので、駅前の地下街で安物の白いスニーカーを買った。しかしサイズが合わないし石畳の上で時々滑る。パンツにも合っていない。 「そうかな、悪くない

        • アウディに乗る妻と中年男②

          史織と俺は全身黒づくめの服を着て毎晩20時30分に事務所を出発し、現場である体育館の駐車場に21時に着く。駐車場には誰もいない。車の中で不貞行為をする2人がやって来るのを待ち構える。 アウディ妻と貧乏そうな中年男との逢瀬は毎日同じことの繰り返しだ。 21時30分にアウディ妻がやって来る。21時45分に男がやって来る。男の車に乗り込んで、すぐにカーセックスが始まる。そして23時30分に女がアウディに戻り、男は去っていく。女もまたその2分後に車を発進させ、駐車場をあとにする。日

        【Love Rescue】巻き戻せない景色のこと①(2024年)

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          「認める」を絶対に許さない大人たちに思い出すいつものあの感覚

          Xを見ていたら、ひとつのポストが目に入った。 ここでは引用しないでおくが、そこについたオジサン達の卑屈なコメントを読んで5年前に聞いたあるエピソードを突然思い出し、息が苦しくなった。 あるある、いつもある。 それはこんな感じのエピソードだった。 専務に罵声を浴びたT君の話 5年前、23歳の男性と知り合った。 ブログにいつも感想をくれていたのがきっかけで、たまにLINEをするようになり、時々ファミレスなどで会って話をするようにもなった。 Tというその23歳の男性は大学を

          「認める」を絶対に許さない大人たちに思い出すいつものあの感覚

          アウディに乗る妻と中年男①

          20代の終わり。俺の商売は完全に行き詰まっていた。お金に困り果て、食べるものにも事欠く始末。やむをえず知人にバイトを紹介してもらい短期間だけ小銭を稼ぎ食いつなぐことにした。 情けないもんだ。 紹介されたバイトは探偵事務所だった。 この時代は個人情報保護法もなく、いい加減で胡散臭い事務所が沢山あったらしい。 俺がバイトに行ったのは、正直なところ反社じみた事務所だったと思う。 雑居ビルの三階にあるオフィスに看板はなく、入口は常にカギがかけられていた。事務所の中には金属バットが

          アウディに乗る妻と中年男①

          必要なのはアドバイスではなく、ベシャリだよ

          まだ土着的な夜のお仕事をしていた頃、スタッフの嬢たちの間で習慣になっていたのは「アキラに質問タイム」だった。 深夜の暇な時間帯、ボスの俺になんでも質問してみるという単純なものだった。 事務所でお菓子をつまみながら大勢で話すこともあり、あらたまって個別に質問してくることもあり。 嬢たちの年齢は10代から20代半ば。言うまでもなくその年頃の女性は大変だ。将来の不安はあるし、思春期をくぐり抜けたばかりで鬱屈した自暴自棄みたいな行動もよくする。彼氏とトラブルを起こしたり、親と関係が

          必要なのはアドバイスではなく、ベシャリだよ

          情報を受け取るための知的能力がない人達のこと

          10年前のある夜、俺はネットニュースである記事を見かけた。 それは今で言うところのセルフネグレクトについてのルポルタージュ記事だった。40代の働き盛りの男性がセルフネグレクトに陥り、ひとり住まいの部屋がごみ屋敷になっていき、福祉も拒否して死人のように孤独に生きているというものだった。 疎遠となった親族が手を差し伸べようとしても拒否し続けていたが、あることがきっかけで病院での受診や生活保護の手続きを開始することができたという。 「刺激が強いけれど、これはあの人にとって参考に

          情報を受け取るための知的能力がない人達のこと

          (アーカイブ)LoveRescueのためのスケッチ 『葡萄①』

          トラムを降りると、低い雲に覆われた街はどこからか葡萄の香りがした。 まだ6月だというのに空気が湿って暑い。肌にまとわりつくような小雨が振り、路面電車の線路が濡れている。弟子の音羽が俺の腕に手を回して傘の中に入った。 「ここから先は少し坂道を登っていくよ」そう音羽が言い、石畳の坂道を歩き始める。もう何年も履いていた一張羅の靴が壊れたので、駅前の地下街で安物の白いスニーカーを買った。しかしサイズが合わないし石畳の上で時々滑る。パンツにも合っていない。 「そうかな、悪くないよ、

          (アーカイブ)LoveRescueのためのスケッチ 『葡萄①』

          見ず知らずの女性に「可愛い」と発言し続ける男性達

          ネットにあふれる望まない性消費YouTubeを見ていると、呆れるような動画を見かけることがある。 ディズニーランドの女性ダンサーをショート動画にしているもの。 台湾のプロ野球チームのチアをショート動画にしているもの。 女性アスリートの胸やお尻が強調されたシーンをショート動画にしているもの。 どれも幼い感じの女性ばかりだ。童顔で、笑顔で、安全そう、動きがアニメのようだ。そして脚や腕が見えている。 こういう動画は全て男性が投稿している。しかも同じ女性の動画を執拗に大量に掲載

          見ず知らずの女性に「可愛い」と発言し続ける男性達

          自分にご褒美ばかりあげているから、自分を認められない

          最近は、「自分を大切にしてあげよう」「まずは自分を優先にしてあげよう」という感性が当たり前になっていると思う。 何か鬼の首を取ったかのように、まるでいきり散らすかのように、「自分を大切にしてあげられない人は他人も大切にできないよ!」と言う人たちと頻繁に出会う。 いや、言いたいことは分かるよ。 でも自分を大切にしているようには見えないんだよね。そんなにひねくれちゃってさ。 自分に自信がなく、他人の意見にいちいち動揺して、他人に傷つけられないか常に怯えているがあまりに、自分を

          自分にご褒美ばかりあげているから、自分を認められない

          嘘をつく人にお金は貸せない

          「お金を貸して」と言われた経験はあるだろうか。 あるとしたら、自分の交友関係に問題があったと猛省するしかないのだが、俺も「お金を貸して」と言われたことが何度かある。 言われたこちらが恥ずかしくなるような話だ。 そもそも他人に借金を申し込むというのはどういう状況だろうか。簡単な話で銀行や消費者金融やカード会社が貸してくれないからだ。それはなぜか。借りた金を返していない、もしくは債務整理(自己破産、任意整理)をして間もないから。いわゆる金融ブラックというやつ。 そもそも銀行が

          嘘をつく人にお金は貸せない

          人生のスタートラインに立てないということ【2015年】

          貧しい人たちに対し、努力不足だと糾弾する人たちがいる。 生活保護を受けることや自己破産することを犯罪だと言う人たちまでいる。自己破産した人達を晒そうとホームページまで作った人もいる。 あるいは知性や発達に障害がある人達を圧力的に責め立て、何度も何度も謝罪させては追いつめるような人もいる。 どうしてそういうことをするのか分からないが、彼らはとにかく弱者は努力が足りないのだと言って人生のスタートラインに立てない人たちをバカにする。 そうやって攻撃する彼らは一様にこれといっ

          人生のスタートラインに立てないということ【2015年】

          自分に厳しいのは他人への甘え

          知人男性(53歳独身)が言う。 「いつまでも若々しくいないと!筋トレにダイエット!脱毛にファッション!努力不足は罪!モテたいなんて言う資格はない!」 知人女性(49歳独身)が言う。 「いつまでも美しくいたい!年齢は単なる数字!ストイックに努力できない女はババアになるしかないの!」 それを聞いていて俺はげんなりしてしまう。 またこれか・・・と。 正直なところ、どうしてこうも苦しいのか。その努力は分かるけれど、他人を息苦しくさせ遠ざけているだけではないのか。 ストイッ

          自分に厳しいのは他人への甘え

          1993年のカルティエ④

          居酒屋を出てホテルまでのほんの数百メートルの道が、函館の夜の風は酒で温まった身体から急激に体温を奪うようだった。 ウールのパンツは肌触りが温かいだけで、函館港の冷たい海から吹き付けてくる氷のような風は容赦なく足元から身体を冷やしていった。居酒屋の入り口に掛けられた温度計は、マイナス13℃を示していた。このくらいの気温にもなると、防寒具の「縫い目」から冷気が入ってくるのが分かる。 エマは冷たい風が吹くたびに大きな声で悲鳴を上げて、俺の腕にしがみついた。でもそれはそれで楽しそう

          1993年のカルティエ④

          1993年のカルティエ③

          ホテルのベッドで眠りこけている間、また夢を見ていた。 夢の中で俺は夏の函館にいた。函館駅の改札口に母親が立って俺を見ている。それは見覚えのある険しい顔つきだった。俺を大声で叱責しようとしているに違いない。俺は駅のホームに踵を返し、札幌行きの特急列車に乗り込んでしまった。 でも俺は気づく。そうだ、エマを置いてきてしまった。次の駅ですぐに降りてホテルに電話をして、エマを迎えに行かなければならない。でも、次の駅に列車は停まらず、俺は焦り始める。 そこで激しく息を飲むように目を

          1993年のカルティエ③