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読解力があやしい人たちの正体とは

はじめてiPhoneを持ったのは2009年だったと思う。それと同時にSNSにアカウントを作った。
最初に作ったのは当時のTwitter(現在X)、次に当時とてもクールに見えたTumbr、その次にInstagram、最後にFacebookだった。

それまでガラケーブログをせっせと書いていたため、表現の場所が広がるのかもと期待していたのだが、SNSは使い方がよく分からず、Twitterでぽつぽつとツイートしていただけ。ファボもほとんどなかった。

2009年当時のTwitterは、Xとなった今とは全く様子が違った。
140文字の制限いっぱいにツイートする人に対して、「使い方が分かっていない」などと意識高い系のオジサン達が揶揄したり。リプで積極的に交流をはかる人にも同じように「使い方はそうじゃない」とアドバイス厨を発揮したり。

それでご本人たちがツイートするのは、「新宿なう」とか「ランチわず」とかそういうことばかり。それが一部の界隈でイケてる振舞いだったのだろう。あの流行という棍棒で威張り散らす意識高い系オシャレ中年たちはどこにいったのだろう。

ご存じの通り、いまではそんなことをする人はいない。Xは今では10,000文字に拡大しているし、写真や動画をポストし、交流や意見を交わすことが推奨されている。アルゴリズム的にも優遇されている。
twitterが消滅する前の数年はすでに文字数が多いツイートが通常で、いわゆる超短文の「つぶやき」はアルゴリズム上、拡散されないようになっていた。数年前からTwitterは長文を読んでいく場所に変わっていたのだ。

そうなると初期のTwitterでは見られなかった現象が起き始めたと思う。それは、
「他人のツイートを読み、とんちんかんな意味に捉えて勝手に怒り始める人」の存在だ。

どこをどう読んだらそうなるの?と言いたくなるような特殊な読解力をお持ちの人たち。逆に変な意味に読解して、勝手に賞賛する人たちもいる。いずれにしても読めていない。
いや、彼らは文字は読めても理解はできない。一文字一文字を発声することしかできないらしい。
だからコミュニケーションを取ってもどんどん怒りが増幅していく。読めば読むほど怒り出すのだ。

この文字は読めるけれど意味は理解できていないという現象を、個人的にSNS時代の文盲と呼んでいる。もっと言うと、高学歴文盲かもしれない。

この現象は別にTwitterから始まったことではなく、Twitter以前にもいたのだと思う。しかし3行以上の文章でコミュニケーションをする場所が出来たことで多くの人に可視化されたのだろう。
SNSという匿名性がさらに拍車をかけ、読めば読むほど怒る人達が大暴れしている。
それまでも仕事上のメールでも読解力が無さ過ぎる人はいたが、これほど世の中に多いと知ったのはTwitterがきっかけだった。

あの文章を読めない人たちの正体は何なのか。なぜそうなるのか。

実はこれ、文章に限った話ではない。口頭の日常会話でも頻繁に発生する。

風俗店の事務所での話だ。ある夜、スタッフの女性と新人風俗嬢が激しく口論になっていた。原因は新人風俗嬢が客と店外で会っていることだった。
風俗店が全てそうなのかは知らないが、俺の事務所では店外は厳禁だ。店外で会えば必ずトラブルが起こる。

もう10年以上前の話だが、店外で客と会っていた嬢が殺されたことがある。客は自殺に道連れを探すために風俗店を物色していたらしい。見栄えが良く、金が多少ある客だったようだ。

ともかく店外は禁止だ。だから女性スタッフが厳しく注意をしたら新人風俗嬢が反発したというわけ。

スタッフ「いや、だから店外は禁止だって言ってるでしょ?本来はクビだし、ペナルティは払ってもらうから」

風俗嬢「そんなのおかしくない?私以外もやってる人いるでしょ。なんで私だけ」

スタッフ「誰がやってるの、すぐ連れて来て、目の前で解雇してやるから」

風俗嬢「自分で探してください、そんなに私が憎いの?〇〇(スタッフ名)だってやってたくせに」

スタッフ「私はやっていないし、やっていたとしてもあなたがルール違反をしていることとは別問題」

風俗嬢「は?意味が分からない。私たちの気持ちなんか分からないんでしょ!」

スタッフ「“だち”って誰。そういう話をしていないでしょ。あなたがルールを守って」

もうひどい有様だ。会話になっていない。

正論を言うスタッフと、スタッフが言っていることの意味を全く理解できない新人嬢。日本語として言葉は分かる。でも理解はできない。スタッフが言っていることが全く伝わっていない。

まるでXでの文盲のようだった。

本来であればこうであるはずだ。

スタッフ「店外はやめてね。本来なら解雇だよ」

嬢「すいません。ルールは分かっているつもりだったのですが、事情があるんです」

スタッフ「なに?」

嬢「実は・・・〇〇」

スタッフ「分かった。社長に相談してみる。それまでは無断で店外はやめて」

嬢「わかりました」

これならスムーズに会話は流れ、口論にはならない。そう新人嬢に教えるとこう答えていた。

「私にだって生活があるので、そんな会話をする余裕なんかない」

ああ、なるほどと思った。そして解雇した。

Xでも日常会話でも、読解力、会話力がない人は全員「自分の感情を優先させる」から相手が言っていることを読めなくなるのだろう。自分の感情を優先させるから、相手が言っている文字列に勝手にニュアンスを付け加える。文字列として存在しないことを「行間」などと都合のいい言葉を使って、曲解する。

上の風俗嬢で言えば、
「ルール違反はやめろ」→「私以外もやっている」
「あなたの話をしている」→「あなたもやっていたくせに」
「私の話は関係ない」→「どうして私だけ」
「いいからルールは守れ」→「私の気持ちが分からないの?」

こういうことになる。自分の感情を優先させて、言ってないことを付け加える癖がある。これは「論点ずらし」などという立派なものではなく、心の卑屈さからすぐにヒステリックになるという幼稚さの問題だ。

この嬢は俺が解雇した。その後、客の子供を産んで結婚しようとしたら、そいつは傷害事件で逮捕されて刑務所行き。結局育てることを放棄して子供は養護施設に入れられたという。そして本人は場末のソープランドで働いて、「年下のカレ」なるヒモがいる。ソープやっているわりに金はいつもない。
まあ、分相応の人生でなによりだ。

自分の感情を優先して文章を読んだり、会話をしたりする人に、どう対処したらしいのだろう。
残念ながらそれが改善されることはない。その悪癖は「取れない服のシワ」と同じだからだ。対処するとしたら、すみやかに逃げるしかない。いざとなったら自分の感情を優先させて、言ってもいないこと、論点でもないことを持ちだして大騒ぎする人なのだ。

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