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「とりあえず現場にいること」の大切さ

気持ちが沈みがちな最近なので、そんなときに見ると気持ちを奮い立たせてくれる言葉を並べてみる。

ひとつ書き出したら、最後まで絶対諦めない。その作品がどういうものになるかを、完成前に自分で決めてしまわないことです。
毎日、机の前に座れば、小説は完成する。けれど、毎日、その前に座るのが嫌だと思ってしまう。自分の未熟な小説に付き合うのが辛いということに耐えて耐えていく。
すると、あるとき、自分の知らない世界に飛び出し、新しい扉を開けているということが起きるのです。それは書いているときには気づかず、あとから分かるものです。あのとき、自分は違うレベルに行ったのだと。

ー 小説家「小川洋子」さん

頑張ってはいけないが、あきらめてもいけない。敵は私の心なので、つまり、私自身なので、共存する方法があるはずだと気づいたのです。
共存するために、信頼できる医者の処方を守り、絶望せず、調子の悪いときは彼が去るのを静かに待つ。待っているうちに、私自身の生命力が敵よりも強くなるときがきっと来る。そのときまで待つ。
私が選んだやり方はそのようなものでした。

ー 小説家「宮本輝」さん

新しい扉を開ける経験

私は学生時代、数学を専攻していて、20代前半の「私は何をして生きていけばいいんだろう」というずっと根底にあった悩みに、答えをくれそうな数学をとりあえず選んでみた。

学者になりたいとか、そういう明確な意志があったわけではなく、一生懸命になれるものが数学しかなくて、数学をしていると連れて行ってもらえる世界は、数学でしか見れないもので、それは私が見たいと思える世界だったから、大学中退してから働いた後にもう一回大学に編入した。

自分が数学に向かうときの姿勢は、小川洋子さんのさっきの言葉「苦しいけれど毎日机に向かう。そうすると、知らないうちに新しい扉を開けていて、自分は違うレベルに行ったのだと後からわかる」という感覚が、とても当てはまる。

その感覚が好きで数学をやっていた。さらに幸運なことに、編入後に入った研究室の先生は、もっともっと広い世界を見せてくれる方で、数学以外の質問もたくさんさせていただいた。先生の話を聞いているだけで、壮大な自然を目の前にしている時のような感覚が溢れてくる、そんな先生だった。

いい印象を持ってもらえることは少ないけれど…

その先生は定年退職したので、大学院に入ってからは違う先生になって、この人から学ぶことはないと思って、大学院も中退した。

就活の面接とかで話すと、どうしても、大学中退、大学編入してまた大学院中退の経歴だけが先走り、いい印象は持ってもらえない。

私は自分の経歴にそれほど後悔していない。選んだのだから。私が学んできたものは沢山ある。どうやったらもっともっとそれを活かしていけるか、そんなことを考えながら、生活を支えながら、生きている。

会社員時代の違和感

会社員として働いていた時代、クーラーの効いた部屋で与えられた仕事をやってお給料をもらうことに、違和感を感じていた。

私がすごいと思う人たちは、こんな生き方をしていないのに、私はその人たちのように生きたいと思っているのに、なんで私はこんな快適なところで働いているんだろう。

私が会ったすごい人たち

色んなところを転々としたから、色んな人たちにあった。

自己破産を経験して平日も土日も働いていている人、子どものためにフルタイムの仕事をした後に夜も働いて「子どものためなら苦しくない」と言える人。大変な毎日なのに、その人たちは人に優しい。

働きづめになりたいとかそういうわけではなくて、うまく伝えられない、自分でもよくわからない、だけどその人たちの共通の「すごさ」があって、接してみないとわからないものかもしれない。

もっとがむしゃらに生きてみたい、自分で選びとって生きていたいとか、…やっぱりよくわからないけど、その人たちみたいな輝きをはなつ人になりたいと思っている。

泥臭い今の生活をなかなか気に入っている

今、私は、Webライターをやっていて、生活はしのぎきれていないし、しのごうと思うと、毎日ほんとうに起きている時間は働かないといけなくて、休むと全然お金が足りなくて…そんな泥臭い生活を送っている。

私は、けっこう近づけているんじゃないかって思っている。すごいと思う人たちに。しんどいことは多い生活だけれど、きれいなオフィスで言われた仕事をやってお給料をもらう毎日を過ごす私より、今の私の方が全然好き。

履歴書に書くと見栄えのないような経歴だけど、私は私が学ぼうと思ったことをきちんと学んできている。いつか自分が感じてきたこと、今も学んでいることを、何かのかたちで跡を残したいという夢があって、でもそれをいつまでも夢にしているのがもどかしい気持ちがあったから、とりあえずブログを始めてみた。

ブログを書いている間は、自分の頭や心と対話できるから気持ちがいい。とりあえず今の自分でできることをやってやって、そしたらまた何かが変わるだろうと思ってやっている。

とりあえず現場にいること

私の尊敬している大学生時代の研究室の先生は、現場にいることをとても大事にしていた。「とりあえず現場に行くこと。」

ライターの生活も同じ。とりあえず書いてみること。とりあえず依頼を受けてみること。現場に行ってそれから考えよう。そういうことを繰り返していくうちに、きっと知らない世界にたどり着いているはずと信じながら。



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