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第394号『今すぐスマホを出してください』

「これから講義を始める前に皆さんにお知らせがあります。カバンの中に入れてあるスマホを今すぐに出してください。そしてこれから私が話す内容を聞きながらわからない言葉があった時にはすぐに調べてください。また気になる言葉などがあったらスマホにメモを取ってください」

最近は全国の学校(専門学校や大学)で講義を行う際には最初にこういった告知を行うようにしています。

というのもですね。最近の学校教育は実にしっかりしていて生徒の皆さんは実に礼儀正しいのです。

もちろんそれ自体は決して悪い事ではないのですが、実は良くも無いのです。

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現在の学校教育ではどうやら先生から常々「授業を始める前にスマホをカバンの中にしまいなさい、気になることはノートにメモをとってください」なんて指導がなされているようです。

礼儀や教育的にはきっと正しい指導なのだと思います。

が、私の講義は礼儀や教育を学ぶためのものではありません。

「どうすればゲームクリエイターになれるのか?」

その一点を目的とした講義です。

プロになる為の方法論の話です。

だから最近は冒頭のようなことを最初に述べてから学生の皆さんにはさらにこう伝えています。

「たぶん皆さんは学校の先生から日常的に『授業中はスマホを見るな』とか『メモはノートにとること』なんて指導を受けているかもしれませんが、この時間は全部忘れてください」

「少なくとも私がこれから講義を行っている最中はみんなスマホを片手に持った状態で話を聞いてください」

「普段の授業でもわからないことをノートにメモしているかもしれませんが、それを後からちゃんと調べたりしていますか?きっとメモしてるだけで終わっているのではないでしょうか?後に回すからそうなるんですよ。わからないことがあったら今すぐにその場でスマホで調べるという癖とスピード感を身につけてください」

「それとメモというのはちゃんと見返すことで再学習することが出来ます。それは確かです。けど何にでもメモすりゃいいってもんでもないんです。ノートにメモをとったところで読み返す機会は少ないですよ。だってカバンや机の中にしまっている時間の方が長いんですから。皆さんが一番肌身離さずに持ち歩いているのはスマホのはずですよ。違いますか?スマホであればいつでもどこでも見直すことができるはずです。だから全てのメモはノートではなくスマホに集約すべきです」

「移動中の電車の中やトイレやお風呂やベッドの中でもスマホは見れますからね、本当に便利です。活用しましょう!」

「では理解してもらったところで私の講義を始めようと思います。改めましてこんにちは、サイバーコネクトツーの松山洋です」

冒頭3分はこういった話をしてから講義を行っています。

最初はみんなキョトンとした顔をされます。

たぶんあまりにも意外だったのかもしれません。

普段は先生や親から「人の話を聞く時はスマホを置け」と指導され続けてきたのに、それの逆を言っているワケですからね。

けどね、これからを生きていく若い世代の皆さんにとってのスマホはフル活用しなければならない必須ツールです。

人の話を聞きながら別の行動をやっていかなきゃいけないんです。

一つの時間で一つの行動をやっているようじゃいつまで経っても追いつくことは出来ませんよ。

ひとよりも多くの情報を吸収して密度の高い学習をしたいと望むのなら、一つの時間で二つの行動をやって2倍の吸収力をもって学習してください。

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これはいわゆる『多動力』というやつです。(いくつものことを同時にこなす力の使い方のことです)

私自身も普段からこれを心がけていて常にスマホを持ち歩いていますしずっと触っています。

もちろん目上の方との打ち合わせや会食の際にはスマホは置くようにしていますよ。

なぜなら年齢的に理解してもらいにくい相手ですし、目上の方に「○○したほうがいいですよ」なんて生意気を吐くような失礼は基本的には行いませんので。(そうならないように最初からスマホは置いてあるわけです)

が、それ以外の時間では基本的にずっとスマホを触っています。

基本的に全てのチャットツールやメッセージアプリなどは当然ですがスマホに集約されていますし数分ごとに共有や確認のメッセージが私宛に飛んできますのでそれらを見て秒で判断して指示をする必要がありますからね。

けどたまにウチの部下からも「社長、ずっとスマホを触っているのは相手にとって失礼ですよ」とお叱りを受けることもあります。(そういうこともちゃんと進言してくれる頼もしい部下ばかりです)

が、分かった上でやっぱりこう返します。

「失礼でいいですよ。それを甘んじて受けるようにしています。そういう人間だと理解してください。あ、もちろん理由があってこういった四六時中スマホを片手に持ってずっと見ながら人の話は耳だけで聞く、なんて生活を送っているワケですが。それを全ての人に理解してもらおうとも思いませんし、いっそ『そういう人間なんだ』って諦めてもらってもいいかな。それ以外のところで評価されるようにするから安心してください」

(さっき「頼もしい部下」とか言っておきながらまるで言うことを聞かないワガママ野郎に見えますがそれもまぁいいです、だってそうしたほうが効率がいいんだもん。説明する時間も勿体ないし理解できない人間にイチイチ説明しても伝わらなかったらやっぱりその時間が無駄なので。だからこれでいいと思っています)

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こういうことを言葉にしてしまうとすぐに「サイコパス野郎」みたいなことを言われてしまう私ですが、それもいいかな、もう。甘んじて(略)

というようなことを考えて決めて行動するようになってからは、かなり楽になりましたよ。

万人にオススメできる生き方では決して無いのかもしれませんが、ちょっと視点というか考え方を変えるヒントやきっかけになっていれば幸いです。

さて、今回の記事を書きながらあるエピソードを思い出したので紹介したいと思います。

私自身がこういった考えに至るきっかけを与えてくれた経験談というかエピソードです。

私自身が学生時代に経験した価値観のひっくり返しの話です。

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過去編エピソード:罰金を先に払いますね

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