週刊少年松山洋_タイトル_修正

ゲーム・アニメにおける声優の決め方

“ゲームやアニメの声優さんを決める時は誰がどのようにして決定しているのでしょうか?”

という質問をいただきました。

確かにキャスティングに関してはなかなか見えない部分ということもあって、誰がどのようにして決定しているのか不思議に思われるかもしれません。

順に説明しますね。

【キャスティングの基本情報】

【声優候補リストを作る】
最初にやることがまずこのリスト制作です。これは各キャラクターのイメージにあった“声質”の声優さんのリストを作ります。あくまでイメージ優先です。だいたいメインキャラの場合は第三候補くらいまで設定することが多いですね。そのリストには各キャラクターの設定やプロフィールなども記載されていて、音響制作会社の担当がそのリストを見て“あー、こういうイメージのキャラクターね”と判断が出来て声優さんをアサインする時の参考にもなります。

【プロデューサーが声優をねじ込む】
我々開発サイドから上げてきた声優候補リストがそのまま音響制作会社に渡ることはまずありません。その前に担当プロデューサーがチェックして別の声優さんをねじ込んでくる場合があります。これは決してネガティブな意味では無く、プロデューサーとしての判断が実にクレバーに決定されます。“なるほど現場から上がってきたキャラのイメージがこれなら、あの声優さんを今は使うべきだな”という判断です。あくまで開発現場から上がってきたリストは声質のイメージでしか声優候補を上げていませんので、ある意味ここでプロデューサーがトータルプロモーションの観点から戦略的に声優さんを指定してくることがあるというわけです。例えばリストを見て“ああ、うん、この人ね、うん、イメージはわかったけどこの声優さんは人気過ぎてスケジュールを押さえるのが極めて困難だからね、同じ声質でいいのならこっちの声優さんのほうが使いやすいね”といった感じで選別されるのです。またプロデューサーはゲームの音声収録のことだけを考えるのではなく、発売に向けたプロモーションの一環でステージイベントを実施する際に“顔出しOK”である声優さんであることや、そもそもステージイベントなどでちゃんとファンを呼べる人気と華がある声優さんかどうかも判断しています。プロデューサーがねじ込む声優さんはそんなには多くないです。いつもだいたい2人か3人くらいです。(もちろん事前に相談・報告が我々の方にも来ます)

【音響制作会社がキャスティング】
プロデューサーから声優候補リストがようやく音響制作会社に渡ります。しかしこれで決定と言うわけではありません。リストと同時に予算が告げられます。“今回、音響製作費はこれくらいの予算でお願いします”というのが音響制作会社の担当に伝わってから、声優候補リストはどんどん変わっていきます。プロデューサーからねじ込まれた声優さんなんかは“固定”と書かれていて極力そのままアサインされますが、やはり必ずというわけではありません。どうしてもスケジュールが合わない場合は音響制作会社から“この方ならどうですか?”と別の声優さんが候補として上げられたりします。だいたいメインのキャラクターは有名人気声優が候補として書かれていますので“固定”以外のキャストは同じ声質のイメージから値段のやすい声優さんを候補として上げて全体の予算が調整される感じです。感覚ですが全体のリストから比較するとだいたい2/3くらいは最初にあげた候補リストのままですが、1/3くらいは全然違う声優さんになります。

ここまでが、まあ【キャスティングの基本情報】という感じです。

後半部分はあまり表立っては言いにくい【キャスティングの裏事情】をお届けします。例によって転載禁止です。ご協力・ご理解のほどよろしくお願いします。

【キャスティングの裏事情】

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