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リモートワークを続けるか問題

ゲーム業界のリモートワーク状況

ゲーム開発会社のリモートワーク体制についての記事が話題になっています。(↑記事参照)

私の周りを見ても少しずつ大手ゲームメーカーもリモートワーク体制をやめて出社する流れになってきています。

中には工事までやってフリーアドレス体制になった企業も、また工事をやり直して出社して仕事をする体制に変更した、なんて例もありました。

ただ一方で、「オフィスを解約して縮小したので完全にリモートワークにしています」というゲーム開発会社も存在します。

比較的会社規模が小さめの会社ほどリモートワーク体制を継続しているようです。

けど感覚的にはまだ半々といった感じです。

会社によっては「好きな方を選択できる」というスタジオもありますし、「急にリモートワーク体制が解除されて出社しろ、って言われたから転職しました」なんて声も聞こえてきています。

まだ明確な答えは出ていないような感じでしょうか。

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サイバーコネクトツーは全員出社体制

では、弊社サイバーコネクトツーはどうかというと、ずっと全員出社体制で毎日会社に来てみんなでコミュニケーションを取りながら仕事(ゲーム開発)をしています。

というのもですね、2020年の3月から6月までのおよそ4か月弱ほど、全社的にリモートワークを実施してみたのですが深刻な状況が発生したためです。

リモートワークに移行した当初はスタッフみんなが「全然快適に仕事が出来ています、全く問題ありません」と言ってくれて「おお、良かった」と少しホッとしたりしていたのですが。

それぞれがローカルで作業していたデータを合体させて最新ビルドを組み上げた瞬間に、まぁ動かない。

全く動かない状態だったのです。

みんながそれぞれの家のパソコンで作業をやっている分には順調に見えてはいても、結局のところ家庭用ゲームの開発というものはそれらのデータを全部ひとつにしてパッケージにしなければなりません。

そして最終的にはニンテンドーSwitchからPlaystation5までのあらゆる実機で直接コントローラーを握った状態で問題なく動作することを確認する必要があります。

わずか4か月弱のリモートワーク体制で察知して「こりゃ、ウチはダメだ、無理だ」と判断して早々に全員出社体制に切り替えました。

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ゲーム開発以上に教育が不十分になる

結局のところリモートワーク体制にしていた4か月弱の間に作られたローカル作業のデータ自体は無駄にはならなかったものの、それらを正しい状態でビルドに組み込み直すのに深刻な遅れが発生しました。

もともとやる必要が無い作業が発生してしまったので、当然です。

およそ300人規模の不整合なので複数のプロジェクト全体の遅れを取り戻すのに更に数か月を要しました。

その被害総額はおよそ数億円です。

このままでは会社は潰れてしまいますので、全スタッフに事情を伝えてリモートワークは解除され全員出社体制へと切り替わったのです。

しかし、最も深刻な問題はゲーム開発以外のところにありました。

新人の教育です。

みんなが「なんも問題なく作業できています!」と言っていたのは、あくまでローカルで行う自分自身の作業のことです。

その年に入ってきた新人スタッフの教育がまるで後手に回ってしまっていたのです。

もちろんそれぞれの新人スタッフに対して先輩社員(メンター)がついていて、リモートで面倒を見てはいたのですが、それがやはり不十分。

モニターの向こうで対面しながらも「他に質問はありますか?」といった具合に問いかけても「特にありません」というやり取りが続くのです。

そりゃそうです。だって新人なのですから。

一日も出社していない新入社員にとっても、まだリアルで対面してもいない先輩社員に対して何かを質問できるはずもありません。

まさに「わからないことがわからない」という状態ですからね。

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会社は情報の宝庫であり周りから学ぶ場所

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