週刊少年松山洋_タイトル_修正

第131号『ゲームのアフレコ収録 基礎知識編』

“ゲーム制作におけるサウンドや音声収録の話を聞きたいです”

というリクエストをいただきましたので数回に分けて“音響制作まわり”の話をしようと思います。

今回は【ゲーム制作におけるアフレコ収録の基礎知識編】をお送りします。

ゲームの音声収録は一般的にアニメや映画のアフレコ収録とは大きく違う点がいくつかありますので順に紹介します。

【ゲーム制作におけるアフレコ収録の基礎知識編】

【基本的に“抜き撮り”】
“抜き撮り”とは声優さんを一人ずつスタジオに呼んで担当パートだけを個別に収録していくスタイルのことです。(うちでは“抜き撮り”と呼んでいますが他社は違う言い方かもしれません)よくジブリ映画などのプロモーション動画などで収録風景の時に、スタジオにマイクが3本くらい立っていて声優さんが10人くらいで入れ替わりながら収録するイメージがあると思いますが。複数の声優さんが揃った状態で順番にまとめて収録するスタイルを“かけあい”と呼びます。映画やアニメは基本的にこの“かけあい”で収録することが多いですが、ゲームの音声収録は基本的に“抜き撮り”が多いです。これは声優さんの拘束時間に対する収録物量の違いですね。テレビアニメ1本(22分)の収録にだいたい4時間拘束で収録を行いますが、現代のゲームソフトはそれを遥かに上回る物量を収録するためです。なんなら(キャストにもよりますが)1回の収録ではとても足りないので複数回に分けて収録することもあります。

【物量が圧倒的に多い】
ひとつのセリフ(「行くぜっ!」も一つで「俺はお前とも闘いたい。なぜならば……」も一つのセリフとしてカウントします)という単位で数えてだいたい1本のゲームソフトで10,000セリフ以上の収録をします。キャストは総勢100名を超えます。主人公クラスになるとひとりで1,500セリフを超える場合もあります。もちろん主人公クラスは1回では終わりませんので複数回に分けて収録を行います。(だいたい5~6回くらい)タイトルにもよりますが1本のゲームソフトの収録開始から完了まで4か月から6か月ほどののべ期間が必要です。ウチの開発タイトルで過去最も物量が多かったタイトルは20,000セリフを超えました。収録にのべ8か月かかりました。

【ドラマパートから収録】
タイトルにもよりますがだいたいどんなゲームソフトにも“バトルパート”と“ドラマパート”があります。収録時はまず“ドラマパート”から収録されることが多いです。“バトルパート”はどうしても叫んだり必殺技名を大きい声で言う必要があったりするので後に回します。(これは声優さんの喉を潰さないための配慮です)またゲームの収録が終わった後に別の現場のアニメ収録のスケジュールが入っている声優さんもいらっしゃいますのでそこも考慮した状態で“バトルパート”の収録日程は調整されます。

【基本的に“絵”は無い】
ゲームソフトの音声収録は(もちろんですが)開発中に実施されますので基本的に“絵”が無いことが多いです。基本システムを知ってもらう為の動画(どういうゲームタイプの収録なのかを理解してもらうためのもの)を声優さんに事前に見ていただいてから、(台本を開きつつ)ひとつひとつのシーンの説明を行ってから収録します。場合によってはムービーシーン(カットシーン)だけは映像を見ながら収録することもありますが、基本的には台本だけ持って収録を行います。

【基本的に日本語と英語を収録】
ゲームソフトは世界中で販売されます。対応言語はだいたい10か国前後ありますが、音声は日本語と英語で収録することが多いです。日本語の収録が先行して実施され、収録が終わったものから順に北米の音響制作会社にデータを渡してだいたい日本の1か月遅れで収録をスタートします。(もちろんアメリカの役者さんが収録を行います)日本語で収録されたOKテイクに演技と尺を合わせた状態で、英語収録をしていただきますので北米の現場には日本語が理解できるスタッフが必須です。

さて。

ここからは弊社が独自に行っている【アフレコ収録時のテクニック】を紹介します。これはサイバーコネクトツーのゲーム作品をアフレコ収録する際の“ルール”とも言えます。収録現場に行く担当者はもちろん把握していますが、台本の段階から既に織り込まれているテクニックです。

【アフレコ収録時のテクニック】

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株式会社サイバーコネクトツー 代表取締役 ゲームソフト開発タイトル代表作『.hack』シリーズ 『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメット』シリーズ 『ジョジョの奇妙な冒険』 著書『エンターテインメントという薬』『熱狂する現場の作り方』漫画『チェイサーゲーム』