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ミリアッシュ竹谷彰人:オリジン

最初に違和感を覚えたのは飲み会の最中だった。

その飲み会ってのは数年前でマンガ新聞の定例会の後の飲み会だったような記憶がある。

いつものように焼き鳥屋に集まってハイボールを飲みながら10人くらいのマンガ好きが最近読んだマンガの話やゲームや映画の話をしているような、本当にいつもの日常的な飲み会だった。

“いつもどおり”ってことはいつも通りという意味でほぼ毎月繰り返されるようなお互いの近況報告やくだらない話も含まれるということ。

酒が入った状態の大人の飲み会ってのは“あれが好きこれが好き”という話もあれば、中には“最近こんなことがあった・こんなムカつくことがあった”という話題も当然出てくるものだ。

その中に――その男・ミリアッシュ竹谷もいた。

ミリアッシュ竹谷の会社『株式会社ミリアッシュ』はイラスト制作会社。

ゲームアプリ用のカードイラストを大手メーカーから受託してそれを全国に点在するイラストレーターに発注してそのクオリティをコントロールしたりスケジュールを管理したりしてまとめて納品するような仕事をしている。

最初に違和感を覚えたのはそういった飲み会の席だった。

気になったのはミリアッシュ竹谷の言動だった。

「それはまるで〇〇ですね」

なんて何気ない相槌から

「それテストだったら0点ですよ」

というツッコミを含めてもやはり何か違和感がある。

“なんだ?”

最初はふと感じる程度の違和感だったがだんだんと確信に変わってくる。

どれだけ会話を重ねてもその相手が誰であってもミリアッシュ竹谷の言動には一定のルールのようなものがあることに気づいた。

それは――

“ミリアッシュ竹谷の発言は【誰も傷つけない】ということ”

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