第382号『空に向けて2発撃つ』
「ここに拳銃があって、弾が2発入っとる。これは誰を撃っても罪にならん、おまえらだったら誰を撃つんだ?」
飲みの席での与太話ですね。こんな話題を振られると周りにいる人間は「自分だったら○○さんと○○さんですね」なんて会話をしながら盛り上がるのでしょう。
そんな中、「あなたならどうするんですか?」と聞かれて「わしゃ、空に向かって2発撃つ」と答えた方がいらっしゃいます。
芸人の千鳥・大吾さんです。
この会話自体が『アメトーク』という番組の中で語られた千鳥・大吾さんのカッコいいエピソードトークだったようです。
なんなら「弾が2発入っていて、誰を撃つ?」という会話自体が大吾さんから振られた話のようです。
要は自分でそんな話を振りながら自動的に「じゃあ大吾さんだったらどうするんですか?」と返ってくることを計算して作られた飲み会用のエピソードトークということです。
この話を聞いて、私は本当に感心しました。また同時に実に計算されたエンタメ性すら感じたので流石は喋りのプロ・芸人さんですよね、と。
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千鳥・大吾さんに限らず芸人さんは本当にこうした雑談やトークが面白くてクオリティが高くて感心します。
私自身もプライベートで仲良くさせていただいている芸人さんが何人かいますが、やはり皆さん本当に喋りが上手い。
そしてその場全体の空気や流れというものをしっかりと意識して話題を振ったり適度に突っ込んだりされていて、毎度のことながら感心しつつも勉強させていただいています。
こういう話をするとよく周りからは「やっぱりプロは違いますね」なんてコメントが飛び出します。
そうすると決まって彼ら(芸人さん達)は「それしかやってないからね」とおっしゃります。
ここなんですよね。
「なぜ芸人さんはあんなにも喋るのが上手いのか?」と考えてみると、本当にそれしかやっていないんですよね。
ずっと一つのことをやり続ける。
日常の全ての中で常に面白いことやネタを考え続けて周りに笑いを振りまき楽しんでもらう、そのことだけを考えて生きているのです。
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実はこれ、全てのプロに通用する話なんですよね。
漫画家はずっと漫画のことばかり考えて生きています。
ゲームクリエイターは作っているゲームのことだけを考えて生きています。
その道のプロ、それは美容師だって調理師だって画家も音楽家もアニメーターも映画を作っている監督もみんなそうだと思います。
もちろん「そこまでストイックなわけないよ、他のことだって考えて生きてるさ」なんておっしゃる方もいます。
しかし、私が知る(これまでに見てきた)その道のプロでずっと一線級の最前線で今も大活躍されているような人たちは、どこか常軌を逸していてやっぱり四六時中どころか人生の全てを自身の道の為に費やしているという化物が多いです。
というか、そうでない人たちはやっぱりどこか甘い。だからそんなに実績も作れていないし活躍も中途半端です。
これは断言します。
そんなに甘くない。
「昔はそうやって生きていたけどある一定の実績を作ってひと財産稼いだのでもうそんな感じでは生きていない」という人も確かにいらっしゃいます。
けどそういう人はその財産のおかげでゆっくり生きてらっしゃるというだけで、じゃあ現在は何を生み出しているか?という観点で見るとやっぱり何も生んでいないです。
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何が言いたいのかというと。よく「才能があっていいですね」なんてことを言う人がいますが、「それはちょっと違いますよ」ということです。
その道に人生の全てを捧げて生きて考えて考えてずっとそのことだけに執着して、どんなにみっともなくても生涯をかけて望んでやまない生き方をしているからこそ、その能力が少しだけ人よりも多く身についているということです。
そして私はそういう生き方をしている人たちが大好きですし、自分自身もそうありたいと常々思って生きています。
「この世の全ては誰かの仕事で出来ている」
こんな言葉もありますが、本当にその通りだと思います。そしてそれぞれの分野のプロのことを心の底から尊敬します。
全ての仕事は尊くて生きていく目標であり足跡であり人生の意味である、ということです。
「仕事ばかりの人生なんて」と言う方もいらっしゃるでしょう。
「もっと趣味や好きな事の為に時間を捻出したい」という人もいるでしょう。
それはそれでいいんじゃないでしょうか。
人それぞれです。
自由に選んで生きればいい。
ただ仕事の熱狂を知ったらもうやめられないですけどね。
まるで人生の意味が変わってきますよ。
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さて、ここからは最近あった出来事というかあんまり表立って言えない感じの内緒話をお知らせしようかと思います。
時が来ればいずれちゃんとお知らせできる話ではあるのですが、まぁ定期購読者向けに言える範囲でお話(お見せ)しようと思います。
『チェイサーゲーム』に関する今後の展開の話
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