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第235号『最初の10年の仕事の仕方⑤』

これはゲーム会社のようなクリエイティブ業界に限った話ではないのかもしれませんが。

いや、あえてゲーム業界に“よくある話”として書いていこうと思います。

よくゲーム会社(業界)で話題になることのひとつに“ジェネラリストかスペシャリストか”という話があります。

一応まとめておくと

ジェネラリスト
ビジネスにおける広範囲な知識と経験を持っている人のことを指します。本来は終身雇用が前提だった日本企業の多くがこの傾向にあります。転籍・転勤が前提としてあって多くの現場を経験することで総合職として大きい幅の知識や技能を身に着けて(平たく言うと昇進して)役職と共に偉くなって全体を俯瞰して物事を判断する人になります。

スペシャリスト
特定分野の専門家であり特殊な技能を有する人のことを指します。弁護士や税理士だったり正にゲームクリエイターのようなエンジニアやデザイナーもこの職種に当てはまります。専門性が高いため具体的な成果を示しやすく自身のスキルを存分に発揮する人のことです。

ほとんどのゲームクリエイターがゲーム開発会社に入る時にはスペシャリストとして入社します。(一部例えばバンダイナムコエンターテインメントのような大手パブリッシャーの場合は総合職=ジェネラリストとして初めから採用される企業もありますが、開発会社の場合は基本的にスペシャリストとして採用されます)

ゲーム開発会社におけるクリエイターとしての職種は大きく4つ(ゲームデザイナー・アーティスト・ゲームプログラマー・サウンドクリエイター)です。新卒として入社する人の多くがこの4つのいずれかのスペシャリストとしてスタートすることになります。

初めの1年から3年は“とにかく頑張る・その道を極める”で問題ありません。

“ゲームソフトを作る為にゲーム開発会社に入社した”のですからその道を究めることを目的としてください。

ただ入社して5年・7年経ってくると様子が変わってきます。

それは自分自身の変化というよりも周りの変化です。入社して5年から7年も経つともう結構な数の“後輩”が出来ているはずです。後輩は先輩であるあなた自身のことを頼るようになりますし、周り(上司)もそれを期待するようになります。

しかし必ずといっていいほどゲーム業界で起きる問題というのがここなのです。

“人の管理(マネージメント)はしたくありません。私は面白いゲームソフトを作る為にゲーム業界(会社)に入ったのであって別に「人の管理がしたい」わけではありません。それは私ではなくどなたか別の人にお願いしてください”

そりゃそうでしょうね、だって入り口がスペシャリストとして入社したわけなんですから。途中から“人の面倒を見ろ”と言われても嫌がる人は多いでしょう。(実際に多いです)

けどハッキリ言いますが

“ゲーム会社に入ってスペシャリストとして頑張っていいのは最初の7年いや多く見積もっても10年までです。そこから先はジェネラリストになっていただかなければなりません”

これは紛れもない事実です。

“だってあなたもそうやって10年近く周りの先輩たちに面倒を見てもらいながら今までやって来た事実があるのだから”

いつまでも“プログラムだけ書いていたい・グラフィックだけ作っていたい”なんてことを言っているとそれはただの作業員ということになります。

(当たり前ですが)ゲーム会社も企業なのです。ある一定の人数規模でゲーム開発をやるようになった昨今であれば尚のことマネージメントスキルが求められるようになってきます。

1人でコツコツと作業を行っても“1人前の仕事”にしかなりえません。上司となって5人の部下をまとめるチームを任されれば“5人前の成果”を上げることになります。

これは会社である以上自然の摂理というか構造上至極当たり前のことでもあるのですが(なかなか事前に聞かされていないこともあって)必ずどこの会社でも頭を抱える大問題となっているのです。

そもそもゲーム会社で働くクリエイターの多くがこのコミュニケーションスキルを得意としないタイプの人が多い傾向にあるという部分も問題としてあるのかもしれません。

ただそれでも求められるものは求められます。

なので今のうちに言っておきますね。

“最初の10年はがむしゃらに頑張ってください、スペシャリストとして。とにかく経験と実績を積むためになんでも貪欲にやりましょう。ただし年月を重ねたらいずれ周りの多くから頼られるようになります。役職が与えられて多くの後輩やチームを率いていく日が必ずやって来ます。その日のことをイメージしながら最初の10年を頑張ってください。給料や年収はそうやって(役職がついて多くの人間を導くことで)上がっていくのです”

もちろん中には10年経っても20年経ってもスペシャリストとして生きている人も存在しますよ。ただ今回の記事でそれを含めてしまうと主旨がズレて伝わりそうだったのであえて触れていません。多くの人がソッチではありませんので。そこをご理解いただければと思います。

さて、後半はこの『最初の10年の仕事の仕方』シリーズの記事を読まれた“ある人物”のメッセージをお届けしたいと思います。

“松山さん、こないだのnote見たよ。その上で俺も言いたいことがあるんだけど。てゆーか最近の新入社員に対して言いたいことがあってさ、出来ればnoteで紹介して欲しいくらい”

そう言われてしまっては乗らない手はありません。(というかメッセージがあまりにもストレートで的を得ていたので紹介しようと思いました)

それではお届けします。

【僕を育ててくれないあなたが悪い】

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