週刊少年松山洋_タイトル_調整

第20号『セプテントリオンからの使者』天才・芝村裕吏という男

芝村裕吏は同じゲーム業界で活躍するゲームデザイナーの一人。

かつては熊本のアルファ・システムという会社に所属していて『高機動幻想ガンパレード・マーチ』を開発して、その後バンダイの子会社ベック(現B・Bスタジオ)に移籍して、現在はフリーのゲームデザイナーとして活躍。

漫画『マージナル・オペレーション』の原作を手掛けています。

私は実は芝村裕吏とは付き合いが長く、アルファ・システムが同じ九州の熊本にあったということと、その後に移籍したのがバンダイの子会社だったこともあってなんだかんだ接点がありました。

『ガンパレード・マーチ』という作品自体が今から20年以上前に開発されたプレイステーション専用ゲームソフトだったこともあって、今の若い人たちはあまり彼のことを知らないかもしれませんが、私が知る限り間違いなくゲーム業界にいる天才の一人です。

私は何度か彼が書いたゲームの仕様書を見たことがあります。

正直に感想を言うと、“何が書いてあるのか意味が分からない”でした。

本当に開発スタッフに伝えるつもりで書いたのか?

と疑ってしまいたくなるほどわけがわからない。

そもそも彼の存在自体が不可思議なものなのです。

詳しくはウィキペディアにも載ってるので参照してほしいのですが。

ざっくり言うと

実際にゲーム開発を行っている実体としての芝村裕吏が存在する一方で、無名世界観の設定上にも芝村裕吏は存在しています。我々がいるこの世界は「第7世界」と呼ばれており、芝村裕吏の正体はセプテントリオンという組織に所属してGSというコードネームで活動をしていた「第2世界」出身のユーリ・A・田神。「第5世界」で養女にしていた芝村舞を犠牲にしようとしているセプテントリオンを裏切り、芝村裕吏を名乗って敵対する「第7世界」のアルファ・システムに入って『高機動幻想ガンパレード・マーチ』を作り上げました。

ね、マジでしょ?この人。

もう厨二病とかそんなんじゃなくて、虚構と現実が折り重なって本人の存在自体が希薄なものになってしまっているのです。

あ、言っておきますが芝村裕吏は間違いなく人間で実在します。

当時は“こんなセルフプロデュースの仕方があったのか!?”と感心したものですが、その後に本人と会って直接話をしたり、彼が書いた文章や仕様書を見て“ああ、この人マジモンのアレだ。完全に俺の理解を超えている。こういうのを天才って言うんだろうなあ”って自分の中ですぐさま整理をかけました。

そうしないといつまでも呪いのように彼の言葉の正解を探しに行ってしまう。

凡人にわからない領域をいつまでも模索していては駄目だと思いました。

そんな彼は大のグルメでお酒が大好き。

少し前(だいぶ前)の話になりますが、その時にお酒を飲みながら話した時の芝村裕吏のエピソードを紹介します。

ここから先は

748字
この記事のみ ¥ 300

この記事が参加している募集

良かったらサポートいただけると嬉しいです。創作の励みになります。