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自分の好きなモノだけを追いかける人

一年間で100回の学校講演を実施して

私は現在も一年間でおよそ100回ほど学校講演を行っています。

目的は若い人材(ゲーム開発者)の発掘と育成のためです。

要するに優秀な人材を採用するために講演を行っています。

現在はだいたい半分の50回くらいがオンライン講演で、残りの半分の50回くらいが現地に直接赴いて学校内で講演を実施しています。

一年間でおよそ6000人から7000人くらいの学生さんと向き合って、講演後も直接話したり、場合によっては作られている作品などを見せてもらってアドバイスをしたりもしています。

特にここ最近の講演で割と強めにメッセージとして、学生さんにお伝えしていることを話しておきますね。

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自分の好きなモノだけを追いかける人

基本的にゲーム系の専門学校に通っているような学生さんはみんなゲームが大好きです。

大好きなんですよ、ゲームが。

なぜ「こんなこと」を強調するかというとですね。

いきなりですが、ここに大きな落とし穴があるからなんです。

みんな自分では「ゲームが大好き!」と思ってらっしゃるのですが、実態はそうじゃあないということなんです。

「いや、好きですよ!」と皆さんおっしゃりますが、そのほとんどが「好きなものが好きなだけ」なんです。

ちょっとわかりにくいですかね。

要するに好きの正体が、特定のジャンルや作品に限られてしまっている、ということなんです。

ざっくり例えてしまうと「ずっと『スプラトゥーン』を遊んでいるけど『エルデンリング』は遊んだことが無い」ということです。

(あくまで例え話ですよ?タイトル名に他意は無いですからね)

『ゼルダの伝説』は遊んでいるけど『FF16』は遊んでない、どころかそもそもPS5を持っていない、ということです。

もちろん全てのゲーム機を買いそろえて全てのゲームソフトを遊んでおけ、という話では決してありませんよ。

けど、話題になっている大作や大ヒットして売れているゲーム作品に触れてもいない、という人はかなり頼りない感じです。

というか、本当に特定のタイトルしか好きじゃあないんですよね。(ジャンルがほぼ固定されている感じです)

自分が好きなモノしか追いかけない人のことを何と呼ぶかご存じですか?

『ファン』って言うんですよ。

ファンのままではやはりプロにはなれません。

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ファンから脱却してプロを目指す

ハッキリ言ってしまうと、「みんな視野が狭い」ということです。というか誰からも(先生からも親からも)アドバイスを受けたことが無いのだから当然と言えば当然なんです。

学校はカリキュラムに沿った授業を受ける場所で、親はゲームのことなんかよくわかりませんからね。

だからみんな気づかずに自分が好きなモノだけを愛し続けて、盲目的に「自分はゲームが大好きだ」と思い込んでしまっているのです。

正直、メーカー側からしてもそういった方には「今後もずっとファンでいて欲しい=熱心なお客様であって欲しい」と思っています。

だからそんな人はゲーム企業には採用されにくい、と言っています。

「作ってビジネスをする側」に回るためには、やはり視野を広げて行動していただくしかありません。

自分が好きなモノは追いかけていいです。(我々プロだってそうなんですから。好きなモノは好きでいい)

けどそれだけじゃあ不十分なんです。

今の世の中で起きていること、少なくともゲーム業界やその市場で起きていることにアンテナを張る必要はありますし、出来れば経験をしておいて欲しい。(大ヒットしているゲームソフトくらいは遊んでおいて欲しい)

なぜそれが重要であるか?という話をします。

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より面白くて売れるものを作るために

ゲーム開発者の多くは職種ごとに役割があって、それぞれがその役割分担で自身の仕事をこなしていきます。

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