週刊少年松山洋_タイトル_調整

アイデアは決して閃かない

まず電球はピコーンとならない

「ゲームのアイデアってどういう時に思いつくんですか?」

って聞かれることがあります。

たぶん、一般の方のイメージだと

お風呂の中だったり、寝る前の布団の中だったり、気分転換に散歩している時だったり、なにかをやっている時に、ふと思い立って「そうだ!これだ!」的な感じで頭に電球がピコーンっと浮かぶイメージだったりしませんか?

たぶん、同業のクリエイティブな仕事をやっている人の中にはそういう方もいらっしゃるかもしれませんが。

実際には(私は)全然そんなことないです。

もちろん、お風呂の中でも布団の中でも散歩してる時でも仕事のことは常に考えますが。

実際のゲームのアイデアは仕事をしながら考えて生み出します。

スタッフと一緒に話し合って議論を重ねて重ねて決めていきます。

大半は会議室だったり、自分の机だったり、チームのメンバーがいる開発室だったり。

みんなで話し合って意見を出し合いながら決めるのです。

もちろん、そのアイデアやイメージの中心にいる人物が必ずいます。

弊社の場合には私だったり、それぞれのプロジェクトのリーダーだったりですね。

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何度も何度も何度も話し合う

その中心人物がそのアイデアや作品の方向性を語ったり、書類にまとめてスタッフに伝えて、やっぱりミーティングしてすりあわせを行って、“開発スタッフに意味が伝わっているか?ゲーム全体の流れにあっているか?そもそも初見のプレイヤーにとってわかりやすい内容になっているか?”などを何度も話し合います。

その後にそれぞれの開発スタッフがそれぞれの役割にのっとって作業を行い、ある程度確認できるような状態まで進んだら、またみんなでそれを触って確認した後に、やっぱり話し合います。

イメージしている方向に進んでいるか?

本当にこの方向で間違いないか?

けど、だいたい間違ってます。この段階では。

やっぱりなんか違う。

端的に言うと、なんか面白くない。

クリエイティブの本質は実はここからなのです。

言葉にすると

“さあ、みんな、いつも通り、思った通りになってないぞ。笑っちゃうほど面白くないな。けど、大丈夫。へっちゃらだ。こっからだ。こっからどうする?俺はこの部分の気持ちよさは間違ってないと思う。だからここはもう少し極端にいってみようか。あ、けど、逆にこっちの部分はさ、もともとこの部分をハッキリと立てていこうとか言ってたけど、たぶんここはもう望みはないぞ。キッパリあきらめてプランBに切り替えようぜ。”

なんてことを話し合います。

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諦めないのがプロ

そうしてまた話し合って決めたことをそれぞれが作業やって、また合体させてみんなでチェックして話し合って、というのを繰り返して繰り返して決めていくのです。

ガタガタだった形を少しずつ完成形に近づけて角を取って丸くしていくイメージですね。

こんなことを聞かされると、“え?プロなのに?そんな感じなの?もっとバシーっと決めてるんじゃないの?”って思われてしまうかもしれませんが。

クリエイターだって神様じゃないのです。

最初に思いついたり、決めたことが必ずしも正しいとは限りません。

ずれることも間違えることもいっぱいあるのです。

クリエイティブのプロとは、目的達成のその瞬間まで何度も何度も考えて考えて議論を重ねて重ねて、最終的には“そこ”にたどり着く「あきらめないプロ」なのです。

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さて後半部分はもう少し“アイデアの出し方”(というかアイデアをカタチにしながらゲームソフトを作り上げる具体的な方法)について掘り下げていきます。

真剣にゲームクリエイターになりたい・モノ作りをやって生きていきたいと思われている方にはきっと参考になると思います。

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プロが行う具体的なアイデアの出し方

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