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ぴぴぷる
2019年7月22日 04:45
荒い質感の肌が私の手の甲に触れた。満員電車のなか息苦しくもだえながら、こんな老体がその一員に加わってしまっている申し訳なさに体も心も小さくなっている時のことだった。普通、こんなすし詰めの状態で手が触れあった程度で謝ることはない。それでも彼は私に接触する度に「すみません」と消え入りそうな声で言ってきた。そのうちに少し乗客が排出され空間が生まれても、彼は離れることはなかった。二の腕や甲同士が触れ
2019年7月12日 15:41
目が覚めると知らない駅についていた。先ほどまで溢れていた乗客はすっかり消えて、一人だけ。俺が間抜けに寝過ごしているのみだった。 ハッとして立ち上がる。遅刻だ。連絡をいれなくては。いや、すでに無数の着信履歴があるに違いない。慌てて鞄を探るが、一向に携帯が見つからない。鞄の中身をひっくり返そうとしたところで、「にゃー」と鳴き声が聞こえた。見れば、向かいのシートに猫が座っていた。木製の名札を
2019年7月7日 02:26
「あ」は歩いていた。なんだかつまんないなぁと、口を開けてぼーっと歩いていた。そのうち友達にバッタリ会うと、あっ、と言って笑った。「い」は言い合っていた。こちらの跳ね具合の方がイカしていると、両側とも譲らなかった。けっきょく結論はでず、口をいーっとしてそっぽを向いた。「う」は拗ねていた。マンボの踊りの決めポーズが、双子の喧嘩で台無しになったからだ。ここが見せ場だったのにと、膝を抱えて口をうー