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小説を書くための文法✏️| 描出話法



ネーミングと会話文に悩む


 自分で小説を書くようになって、話の内容よりも前に悩むことがある。大きく分けると2つ。それは登場人物のネーミングと会話文。

 noteの記事として書く小説は、文庫本で読む小説とはおのずと変わってくる。
 どちらも字数制限はないけれども、noteで一話完結の物語を書くならば、読まれやすい文字数がある。私の感覚では、長めの小説でもせいぜい2000字から3000字くらい。5000字を超えてくると丁寧には読まれなくなる。

 普通の文庫本では「短編」と呼ばれるような小説がnoteではメインになる。長くても5000字程度ということを前提とした場合、その中に登場させる人物の数はどの程度がよいかと考えると、せいぜい2、3人かな?と思う。
 それ以上になると、読む気力が一気に失せる。流し読みになってしまう。話の内容が頭に入ってくる前に人物名がごっちゃになったまま終わっている。

 だから、というわけでもないが、私の小説はほとんど1人か2人の登場人物しかいない。人物名を考えるのも面倒くさい。また、それで良いかなとも思う。


会話文のバランス


 好みもあるかもしれないが、会話文ばかりがずっとつづくのは、あまり好きではない。

「     」
「          」
「    
     」

 かぎ括弧が多いと「だったら戯曲すれば?」ってね。かといって地の文が多すぎると「論文なの?」と思ってしまったり。

 そんなに悩まなくていいのかな?、と思いつつ、自分で小説を書くときには気にする。会話文が多すぎると内容が軽く感じられやすい。地の文が多すぎると内容はともかく硬い文章に見えてしまう。

 内容に合わせて、会話文(「  」)の多寡を調整してみたい。


「直接話法」と「間接話法」


 ところで、英語には大きく分けると、会話を文章に取り込むとき、「直接話法」と「間接話法」とがある。
 前者は「"      "」(quotation mark、引用符)を使って、聞いた会話をそのまま取り込む話法。後者は引用符なしで、伝達部(「~と言った」「~と聞いた」の部分)に時制・人称を合わせる話法。


 描出話法は主に、小説や物語に登場するので、新聞のような報告文や学術的な論文ではあまりお目にかからないので、軽視されがちだが、表現として大切なので少し復習してみた。

 日本語の文法には、話法という文法カテゴリーはないが、あえて言えば、かぎ括弧を用いる直接話法的な書き方と、伝達部無しの描出話法的な書き方の二種類があるように思う。
 日本語で小説を書く時にも、「話法」は意識してみたいと思っている。見た目の文体も大切だから。


話法について


 以下は英語で小説を書くのなら、覚えておいたほうが良い文法事項のまとめ。

 学生の頃は、直接話法間接話法の書き換え問題をやらされた記憶があるが、混合話法描出話法については、ざっと目を通した程度で、試験問題でも解いた記憶はない。出題しにくいということもあるが、描出話法は小説を読んだり書いたりする際にも、絶対的に必要かと言われれば、ないならないでなんとかなる文法事項だからだろう。

 しかし、やはり知っているに越したことはないので、以下では「描出話法」のおさらいをしておく。


話法のまとめ(英文法)


 文法書によっては「描出話法」に関する記述がないものがある。試験でも頻繁に問われる文法事項ではないから(というか問われた問題を見た記憶がない)、「暗記すべき事柄」ではないのだろう。ただ、そういう表現法もあるよ、ということは知っておきたい。
 いくつかの参考書から、描出話法に関する事柄を拾ってみる。


💞綿貫陽  マーク・ピーターセン: 共著、「表現のための実践ロイヤル英文法」、旺文社、p516💞


#ピーターセン
#旺文社
#表現のための実践ロイヤル英文法


例文と訳文だけ書き出してみます。

直接話法
She was confused. She asked him,"What can I do?" 
(彼女は混乱していた。彼に「私には何ができるのでしょう」と尋ねた)

間接話法
She was confused.She asked him what she could do.
(彼女は混乱していた。自分には何ができるのかを彼に尋ねた)

描出話法
She was confused.What could she do?
(彼女は混乱していた。自分には何ができるのか、と)


💞中原道喜「新マスター英文法」、金子書房、pp.573-574を参考に知識の整理。💞


#中原道喜
#新マスター英文法
#金子書房
#pp .573-574


上記(↑)の中原道喜「新マスター英文法」を参考にしながら、自分なりに知識の整理をします(*そのまま引用しているわけではありません)。

直接話法
①Sally said to herself, "What does he mean?" 

間接話法
②Sally wondered what he meant. 

混合話法 (Mixed Narration)
③Sally wondered, what did he mean? 

描出話法 (Represented Speech)
④What did he mean? 

→①から④まで意味内容は同じ。
「サリーは彼の言った言葉の意味はなにかしら?(と思った)」

 言われた言葉をそのまま「"     "」(引用符)で用いるのが「直接話法」という。人称・時制を伝達部(*上の文では「Sally said」「Sally wondered」)に合わせて、引用符を用いない形を「間接話法」という。

混合話法」とは、直接話法と間接話法の混じりあった話法で、人称・時制は間接話法に、語順は直接話法に一致する場合が多い。

描出話法」とは、混合話法から伝達部を取っ払ったような形の話法。あえて「サリーは思った」を出さなくても、読者にサリーの心の中の声だと分かるときに用いられる。


💞江川泰一郎(著)「改訂三版  英文法解説」(金子書房)、p481より、具体例を引用。💞


#江川泰一郎


 江川先生は、前掲書p481の解説において、次のようにおっしゃっています。

Jespersen (Philosophy,p290) のいう描出話法(Represented Speech)の例であるが、文法用語はどうでもよい。実例に対する認識が大事である。

前掲書、p481

 そうか。文法を頭に叩き込もうとするよりも、具体例に数多くあたれ!ということなのだろう。

 以下、用例をそのまま引用します。太字のところが描出話法にあたる部分になります。

A midnight there was a light tap on her door. Who could it be? She began to feel uneasy, for she was sure there was no one else in the house. 
(夜中にドアを軽くノックする音がした。一体だれかしらと[思って]彼女は不安になった。家には自分以外はだれもいるはずがなかったからである)

He wanted to have a straight answer from her. She must be hiding some important facts. He explained that unless he knew the whole truth there was no way to help her. 
(彼は彼女からの正直な答えが欲しかった。彼女は何か重要な事実を隠しているに違いない[と彼は思った]。そこで彼は本当のことを残らず話さない限り、相談相手にはなれないと彼女に言い聞かせた)

She stared at him in speechless amazement. How could he come back so soon? Why had he not informed her of his return? But he was there waiting for her to throw herself into his arms. 
(彼女は驚きのあまり無言で彼を見つめた。どうしてこの人はこんなに早く帰って来られたのだろう[と彼女は思った]。なぜ帰ることを前もって知らせてくれなかったのだろう[と彼女は思った]。しかしとにかく彼はそこにいて、彼女が腕の中に身を投げ出してくるのを待っていた)


結び


 高校生の頃に一応すべての英文法を学んでいるはずだが、使わない、あるいは、使ってこなかった文法事項もある。

 今回取り上げた「話法」の他にも、「倒置構文」「否定構文」「比較構文」など、使いこなせていないものも多い。試験ではあまり取り上げられなかったものにこそ、宝があるような気がしている。



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