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20字小説 | 津軽海峡・冬景色 | 小牧幸助文学賞応募作品


(1) 上野発の夜行列車問題



https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2308/25/news160.html


 上の記事(↑)によれば、「津軽海峡・冬景色」は、次のような情景を歌ったものとされています。どうやら算数の問題にもなったことがあるようです。

20時発の夜行に乗ったさゆりさんが8時間後に青森駅で降りて、20分待って青函連絡船に乗り、5時間50分後に函館へ到着したときの時刻を問う趣旨でした。

 本稿では、これを踏まえて「津軽海峡・冬景色」を、20字の連作短編小説にしてみました。
 私の勝手な解釈も含んでいます


(2) 津軽海峡・冬景色という曲



(3) 20字小説 | 津軽海峡・冬景色


午後8時、上野発の夜行に乗り込みました。

大きな行李を棚の上にのせて、腰をおろす。

車中の8時間、ひたすら到着の時を待った。

あれからひとしきりの時が過ぎていました。

私は恋に破れました。戻る場所は故郷のみ。

両親は私をどう出迎えてくれるのだろうか?

青森駅に着いた時、辺り一面銀世界でした。

みなその光景に、息をのんでいたのでした。

青函連絡船にひとりひとり乗り込みました。

海鳴りを感じつつ、乗客はみな寡黙でした。

凍えそうな鴎に、自分を見た気がしました。

あの岬は竜飛岬。あともう少しで辿りつく。

こらえた涙が窓ガラスを曇らせたのだろう。

私はもう貴方と出会うことのない所にいる。

風の音が永遠の別れを告げているようです。

もっと泣け!泣いていいんだよって伝えた。

津軽海峡は貴方との別れを刻印してくれた。

舞い散る雪が、私の心を純白にしてくれる。



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