青春は儚くて一瞬!だからこそ未来に届ける|フォトクリエイト「教えて!フォトクリエイトの撮影」
多くのスポーツの撮影をおこなうフォトクリエイトの中で、野球やサッカー、ダンスや吹奏楽などのチームへのサービスとして成長している「GRAPHICBOOK」。
デジタル化の流れが加速する時代に、紙のフォトブックを商品として成長を続けるこのサービスについて、平良憲一郎さんと丸谷恵梨さんに成長の秘訣とサービスへの想いをうかがいました。
──
早速ですが、GRAPHICBOOKとはどんなサービスなんですか?
平良さん
サービスのブランドコンセプトは、「明日、がんばろう」と思えるブックです。
その名の通り、選手や演者の方などがブックを開いたとき、「明日がんばろう」と思える1冊になるようにという想いが込められています。
さらに僕なりの言葉では、「頑張っていた瞬間を未来に残すもの」と思っています。
例えば、高校生の選手が購入する。その選手が10年後、20年後にご家庭を持ち、お子さんができて日々忙しい生活を送っていく……。
その時、GRAPHICBOOKを見て、今までの自分の軌跡や思い出を振り返ることで、あの時がんばってたんだなっていうことを感じられる。
そうやって、明日生きていく活力になる1冊になってほしいなって思います。
平良さん
(丸谷さんを見て)どうですか(笑)?
丸谷さん
フォトクリエイトは写真1枚から購入できるサービスを展開していて、写真1枚でもその瞬間の良さは伝えられると思っています。
ですが、誰にとってもその瞬間、瞬間が紡がれたストーリーがあるんですよね。
それは、このGRAPHICBOOKがコロナ禍以降に開始したサービスで、
大会の中止を乗り越えたり、いや、それだけでは語り尽くせないさまざまなストーリーが選手や演者たちにはあって……
写真としてその瞬間、瞬間をとらえつつも、ストーリーを紡いで1冊のブックとして綴る、そういうものをつくっていこうと。
時間が経っても、何かのきっかけで見返した時に、当時のストーリーが自然と思い起こされてほしいですね。
──
GRAPHICBOOKってフォトクリエイトの中では新しいサービスなんですね。はじまりはどんな感じだったのですか?
平良さん
話すと長いのですが、コロナ禍になってイベントがなくなって撮影が激減してしまったんです……。
当然ショックだったのですが、逆に時間が生まれたことでちゃんとサービスのことを考えなければなと思ったんです。
そこで有志を集めてビジネスコンテストを開催しました。
その時に集まったアイディアがどれも良かったので、アイディアをミックスしてプロジェクトにしようということになりました。
それは、クラウドファンディングを通して、大会がなくなってしまった選手にそのOBから寄付を集めて、撮影と写真を届けようという内容でした。
──
コロナ禍ではクラウドファンディングが多く実施されていましたね。
丸谷さん
そうなんです。あの時は、甲子園が戦後初めて中止になったのが衝撃で……。
そこで、はじめは球児たちに大会がなくなっても、せめて引退試合を開催するチームなら、撮影をすることで心の整理がしやすいというか……。
そういったお手伝いができないかと思ったのがきっかけでした。
はじめてみたら、すぐに新宿高校の野球部や三重高校のダンス部、桐朋高校のラグビー部のOBの方が協力してくださって目標の金額を達成することができました。
平良さん
懐かしいなぁ……。
リターン品として写真データをオリジナルジャケットのDVDにしたり、集合写真をパネルにしてみたんですけど、中でもその日を綴ったフォトブックが想像以上に喜ばれたんです。
それがきっかけで、秋以降徐々に回復してきた時に、小学生の河川敷の野球大会やサッカー大会にそのフォトブックを持っていって、選手のご両親にスナップ写真がバラで購入できるのと少し高価だけどこのフォトブックにまとまった状態で購入できるのと、どちらが欲しいかを聞いてみました。
──
足を使ったマーケティングリサーチですね。
平良さん
そうです。そしたら、ほとんどの人が声を揃えてフォトブックの方がいいと(笑)。
これなら絶対売れると思いました。
丸谷さん
まさかここまでとは思わなかったですけど(笑)。
平良さん
だから、ねらったというよりはGRAPHICBOOKは偶然の産物といった感じで、時代の波と僕らの想いとユーザーの想いが合わさってはじまりました。
──
フォトグラファーにとってGRAPHICBOOKの撮影の楽しさはどういうところにありますか?
平良さん
フォトグラファーだからこそ味わえるのは、最前列でその試合を見て、その感動を享受できることです!
例えば、高校生のバスケットボールで観客が絶対立ち入れないようなゴール下から撮影できたり、バレーボールで審判台の後ろから撮影できたりします。
──
そんなところからも撮影するんですね。
平良さん
そうなんです。しかも、それが青春を懸けた3年間の努力が、そこで決まるわけです。
そんな瞬間を最前列で見られるってめちゃくちゃ幸せじゃないですか?
実際に、泣きながらカメラを構えましたってフォトグラファーも1人や2人じゃないです。
丸谷さん
間違いなく、他では味わえないような感動を間近で見られることは貴重だと思うし、選手や演者たちの濃密な時間に携われるのはすごくやりがいになると思います。
──
お二人の思い入れの強さが伝わってきます!そのうえで、嬉しかったエピソードを教えていただきたいです。
平良さん
うーん……本当に色々あって難しいんですけど……どうしようかな(笑)。
(二人で顔を見合わせ、思わず丸谷さんも微笑む)
平良さん
じゃあ、すごく嬉しかったエピソードを1つ。
GRAPHICBOOKを購入していただいたお客さまからブックに写っているある選手が一人でユニフォームをたたんでいる写真がほしいというお問合せがありました。
理由を聞いてみるとその選手はチームのキャプテンだったんです。
実はその試合、引退試合だったのに直前に腕を骨折して出られなかったようで……。
でも、キャプテンとして何とかチームに貢献したくて、チームメイトのサポートを一生懸命にやっていた。
そのシーンを捉えた1枚だったことが、お話を聞いてわかりました。
だからこそ、3年間の気持ちが行動として表された写真を届けたいと思い、フォトクリエイトのサービスであるオールスポーツコミュニティで購入できますとご案内しました。
GRAPHICBOOKって活躍した選手もそうなんですけど、
レギュラーになれなかった選手や
いろんな理由があって試合に出られなかった選手、
その全員が主役なんだってことを伝えるものでありたいって思ってるんですね。
その想いを少しでもカタチにできた気がしてすごく心を打たれました。
チームの誰もが主役だから、頑張ってきた時間や懸けてきた想いは全員等しく尊いんだってことを届けたい。
そういうものをつくりたいってずっと思っていたので、本当に嬉しかったです。
──
一人ひとりにドラマがありますよね!丸谷さんはいかがでしょうか?
丸谷さん
自分たちが立ち上げたこともあり、多くの人に届けたいと思っていました。
最初は、5冊の注文をいただけたら、「やった!嬉しい!」と思っていたんですけど、いつのまにか「えっ?30冊?」「は?100冊?事件だ……(笑)」と購入していただけるようになりまして。
もちろん、「良い商品になるはず」と思っていたのですが、目に見えるカタチでちゃんとお客さまに伝わったと実感できたし、それをメンバーと喜べたのが今でもエピソードとして思い返されます。
──
今はSNSですぐ写真も共有できますし、デジタル主流の時代だと思います。GRAPHICBOOKとしてあえてアナログで残す良さって何なのでしょう?
平良さん
GRAPHICBOOKですごくこだわっていることがありまして、それが「飾りたくなる表紙」です。
日常の中で視界に入ることが大切だと考えています。
もし表紙がイケていなかったら、引き出しや本棚にしまわれちゃうんですよね。
でも、表紙が見えるように置いてあったら、部屋に来てくれた友人や恋人、自分じゃない誰かの目に留まり開いてくれるかもしれない。
さらにサンプルとしてチームの代表の方に届けたとしても、表紙がイケていないことで、回覧されないかもしれない。
そうやって現物の商品で展開することで、一人でも多くの方の目に留まるようにしたい。
だからこそ、あえてデジタルではなく、日常の中でリアルでお届けすることに価値があると思っています。
──
お二人にとってあえて一言でいうと、GRAPHICBOOKとはどういうものになりますか?
平良さん
一言でいうのはすごく難しいな……ちょっと考えたいかも(笑)。
うーん……。
(思わず丸谷さんの方を見る)
丸谷さん
先に言っていいですか?
──
お願いします(笑)。
丸谷さん
自分の好きって何なんだっけ?っていうのを取り戻せたものでもあるんです。
制作の仕事をしていた経験もあり、仕事で何かをカタチにしたい、カタチになるものを残したいって気持ちがすごく強くて。
でも、すべてが自分のやりたいようにいくわけではなくて……。
そんな時にGRAPHICBOOKに0から携われたことで、何かをカタチにするプロセス全部に関われた。
それって、私がやりたかったことの1つが実現できたんだなと思います。
改めて振り返ると、自分の好きをカタチにできた仕事でしたね。
──
仕事で好きをカタチにするってなかなか難しいですよね。平良さん、そろそろご準備できましたか(笑)?
平良さん
うーん、今高校生の頃を思い出すと何か切ないような、甘酸っぱいような部活を頑張った夕暮れ時に感じたあの……何ていうのかな。
丸谷さん
(苦笑)
平良さん
あの時間って一瞬だったんですよね、あの当時も今振り返っても。
そんな繊細な気持ち、哀愁のようなものを20年、30年後にも感じてほしいし、それは尊いことだと思います。
答えになっているか分からないですけど、僕はGRAPHICBOOKを通して、青春の儚さを未来に届けたい。
こんな感じで取り組んできたから人の青春を彩るだけでなくGRAPHICBOOKが僕たちの青春になった。
だから、GRAPHICBOOKを手にとる人だけでなく、関わる人たちも青春の主人公であってほしいそんな商品・サービスです。
──
最後に、これからのGRAPHICBOOKについて教えてください。
平良さん
「感動をカタチにしてすべての人へ」というのが、フォトクリエイトの理念です。
エリアや大会規模など関係なく撮影をし、たくさんの人に届けられるサービスであることが大切だと思っています。
そのためには、今まで以上に多くのフォトグラファーの力をお借りしながら、全国各地でこの瞬間も部活を頑張っている選手や演者を撮影しGRAPHICBOOKとしてストーリーを届けていきたいです。
そして、長く続くサービスにしなければとも思っています。
学生時代にGRAPHICBOOKを手にした方が大人になったとして、友人のお家に友人のお子さんのブックが飾ってあったり、同窓会に当時のブックを持っていってくれたら、きっとその思い出を語り合ってくれる。
そうやって、誰かの人生にいつも寄り添っていて、未来永劫長きにわたって自分の人生の誇りになる。
落ちこんだりつらいことがあっても、それを見返せば進む勇気を与えられる、そんな1冊をこれからもつくっていきます。
私(インタビュアー)は、高校時代にボート競技に打ち込んだ3年間でした。
当時の写真は残ってはいるものの、競技中の写真はほとんどありません。
競技の性格上、主に大きな川や湖でのレースになるため、保護者のカメラでは距離が遠くて良い写真は撮れなかったのです。
スタート前の緊張感、漕ぎ手を必死に鼓舞する舵手の姿、スパート時の苦しさに耐える表情、ゴール後の歓喜や悔し涙……。
もし、その瞬間、瞬間が連続したストーリーとして収められている1冊があれば、きっと大人になった自分を過去の自分が励ましてくれるのだろうと思います。
叶わない願いですが、青春だったあの頃のGRAPHICBOOKがあればな……と考えてしまいました。
平良さん、丸谷さん、貴重なお話をありがとうございました!
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