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Death is...

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母の死をきっかけに思ったこと、感じたこと。
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#家族の死

七夕の旅立ち

七夕の旅立ち

祖母が今日、他界した。

5年ほど前からかなり弱りだして、
一時はもう危ないかもしれないということで家族が集まったけれど
その後グググっと持ち返し、

なんとそれよりも母が先に逝き、

2、3年前からほぼ寝たきりだったけれど
起きている時は結構頭もはっきりしていて、
口を開けばみんなのご飯の心配をし、
何年も訪れない母のことを尋ねてくるほどだった。

祖母は、いわゆる「祖母」らしい祖母だったと思う

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生き様様々

生き様様々

母の死を体験してから、とても不思議だなあと思うことがある。
それは、人の寿命ってなんだろう、ということ。

仕事柄、「死にたい」という人と関わることが多くて、それは本当に心底生き疲れた末に絞り出された言葉だったり、ただとにかくこの状況から抜け出したいという気持ちを表した言葉だったり、人様々なんだけれど、そういう人がいる一方で母のようにあっさりと死に時を迎える人もいる。

法事等々のために少し長めに

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一周忌を迎えて

一周忌を迎えて

母の一周忌は滞りなく、完了した。
せっかく家族が集まる機会だから、と、
父は湿っぽくならないようにとおそらく思って実家だけではなく、
ホテルを数日予約してくれて、のんびり過ごせるように予定を調整してくれた。

だから、最初はプチ旅行のつもりだった。
遠くに住む兄も帰省し、
みんなで美味しいものを食べる計画を立てて楽しみにしていた。

そのくらい、最初は気楽な気持ちだったけれど

でも一周忌を終

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さよなら2017年

さよなら2017年

2017年が、もうすぐ終わる。

2017年を振り返ることは、私にとって、決して簡単なことではないけれど、
悪いことばかりでは決してなかった。

多くの発見があった。
多くの喜びがあった。
多くの実りが確かにそこにはあったのだ。

母を、初めて家族を、喪ったことによって得られたこと、学んだことは
私のこれからの人生の礎のひとつとなるだろうと思うけれど、

矛盾していることは重々承知だが、それを

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死後の行方

死後の行方

人が亡くなったあとも、世界は続く。

そんな当たり前のことに私は衝撃を受けざるを得なかった。
母が亡くなったその週末、両親はふたりでそれぞれの実家を訪れることになっていて、その小旅行から戻ってきたら、音楽が好きな母のために、オーディオ機械を買おうねと話していた。ちょっと早い母の日と誕生日のお祝いに、奮発して良いのを買おう、と。
母とふたりで選んで、色も、どっちが良い?って言い合って、カートに入れて

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たかが半年、されど半年

たかが半年、されど半年

気づけば、母の死から半年が経った。「半年」の感じ方は、その時々でまちまちだけど、夜眠れない、ということはなくなったし、堰を切ったかのように号泣することも少なくなった。

だけれど、ふとした時に前のように母に連絡しようと思いかけた自分にハッとしたり、将来のことを考えて心細くなったりする。

これは自分への備忘録として書き残したいことなのだけど、死というのは、そこで線が切れる、ということなんだなあ、と

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薄皮一枚

薄皮一枚

母を失ってから、家族を亡くした話にすごくシンパシーを感じるようになった。自分が体験しないと、本当の意味ではわからない、というのは真実なのだな、と実感した。

その一方で、自分と全く同じ状況、というのもないことを思い知った。それはつまり、もっと本当の意味で、人の死に方も生き方も、恋愛と同じで十人十色だってことだ。
この世に、わたしと同じくらいの年に母を失う人はゴマンといるだろう。だけど、全く同じよう

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天命

天命

母の死はあまりに突然で、最初私は、母はきっと悪魔と契約して自分の死に時を選んだに違いないと思っていたくらいだった。

これからの楽しみと全て引き換えにしてでも、これから起こりうる辛いことを経験せずに済むように。

そのくらい唐突で、あっけなかった。

母の死の前日に、母が自分の家族に久しぶりに会いに行ったり、母の葬儀が全て済んだ1週間後にちょうど親戚が遊びに来る予定になっていて、父をはじめわたした

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結果論

結果論

私は母を失ったが、父は愛する人生の伴侶を失った。

プチ単身赴任的な生活なので、幸い簡単な調理から掃除洗濯など一通りの家事は一応できるし、仕事もあるので四六時中悲しみに溺れずにすむだろうとは思うが、私の味わう悲しみや寂しさの何倍もの辛さを味わっていることを想像すると、それだけで泣けてくる。

1回目の月命日を迎える前日、父が、家族のLINEグループで私たちに向かって、母をみすみす逝かせてしまったこ

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埋められない穴

埋められない穴

母の死から、2ヶ月が経とうとしている。

その間、悲しみはどう変化したかと言うと、とりたてて変わったようには思えないのが正直なところだ。母の不在の存在感は相変わらず大きいし、涙は新鮮さを保ったままあふれるし、むしろ母への恋しさは日々募る。

固形物が一切喉を通らず、水分しか摂れない、というのは翌日だけで、残された家族や親族がみな集まったことで日常的な生活活動は戻ってきた。

だけれど、父にも、兄た

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魂と宗教のワルツ

魂と宗教のワルツ

変なタイトルをつけてしまったが、母が亡くなったことで私の価値観を大きく揺さぶったのは、魂のことだった。

私は魂の存在を信じているし、いわゆる天国というか、死者のいる場所があって、なんなら母は既に他界した家族や親戚たちと出会えているんじゃないかな、と思う。でも、そうやって魂の安寧を願うと、とたんに宗教じみてくるのが不思議だ。

葬儀の手続きにはいろいろなルールがあって、遺族が行わなければならないこ

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突然死ってほんとにあるんですね

突然死ってほんとにあるんですね

先月、母が他界した。

70前でまだ若く、死に関わる持病もない中の突然死で、本当に驚くような旅立ち方だった。ちょうど最近体調があまり芳しくない祖母のお見舞いに両親で出かけていき、まず自分の実家に久しぶりに訪れ、その後父の実家に遊びに行き、夕飯後の団欒の時間に体の不調をつぶやいた直後、そのまま意識がなくなったそうだ。

父からすぐに連絡を受けた時は、頭のどこかで、ここは驚くべきところだよな、と思いな

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