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周りに合わせた子育てへのプレッシャーがあるのです。

私も年齢が年齢なので、周りの友人たちから、結婚するしないとか、子どもが生まれる生まれないとか、そういう話を耳にすることが増えてきたように感じている。

結婚のあり方や子どもを持つ持たないなどについて、それぞれの考え方が多様化する社会においては、私としては、多様な選択肢が保障されて、それぞれが望むかたちを選択できるような社会であってほしい、と願っている。

一方で、この少子化する日本の現状を見て、適切に持続可能な国家を運営しようとする観点から見れば、確かに子どもの数が増えていかないことには、困ったことになるだろう。

だからこそ、異次元の少子化対策が行われるようである。

したがって、社会的には暗黙の裡に、若者にはぜひ結婚して子どもを産み育ててほしい、という要請がかかるわけだが、その要請がかかっている若者たちは一体どのように考えているのだろうか。

いわゆるZ世代(ちょうど私から年下の世代)がどのように考えているか、という点について、新たな視点をくれる興味深い記事があった。

この記事では、ある雑誌のアンケート結果を引用しながら、そのデータの解釈について語っている。

私が興味深いと思った点は、「『今の若者は、もう少しお金があったら結婚・出産する人が増える』という仮説の真偽をどう考えるか?」という問いだ。

社会的によく言われることとして、若者の賃金が上がっていないことから、貧困化が進むことで若者が結婚や出産を控えている、という言説がある。

では、仮に現代の若者の賃金が上がって金銭的に余裕が出たとして、彼らは本当に結婚や出産をするようになるだろうか?

このことについて筆者は、「これは『子どもを持つことを望んでいるが、それを選択できない理由』としては成立するが、『子どもを持ちたくない理由』としては必ずしも成立しない」、と述べている。

確かにおっしゃる通りだ。もし、「そもそも結婚したくもないし、子どもを持ちたくもない」と考えている若者が多数なのだとしたら、仮に若者の賃金を上げたとしても、婚姻率や出生率には大きなインパクトを与えられないだろう。

筆者の見立てを引用する。

 私の見立てはこうだ。今の若者、特に「いい子症候群の若者たち」は、平均的水準にとどまることを絶対の最重要課題のように捉えている。ここでいう平均とは、自分の周りを観察した結果から得られる平均的姿を指し、そこからこぼれることに強い恐怖を感じる。と同時に、そこから抜け出し、目立ったり、成功したりすることに、ほとんど興味関心を持たない。
 このことが子育てにも当てはまる。実際、BIGLOBEのデータも同じことを示唆しているように思える。「(自身と同様もしくは以上に)習い事や進学が難しいなら、子どもはあきらめるか人数を減らしたい」という人は63.7%、「(自身と同様もしくは以上に)習い事や進学ができるような支援があれば、子どもの人数を増やしたい」という人は66.5%に上るのだ。
 自分や周りの人を見渡し、その平均的水準からこぼれ落ちるようなことは絶対に嫌。当然、子どももそんな状態には置けない。周りに合わせることが「正解」であって、自分もそう育てられた。そのために、お金が必要だ。しかし、それだけの稼ぎが得られるとは思えない。だから子どもは諦める……。
 仮にこの説が正しいとすると、今の若者の多くは「子育てはお金がかかる」というより、「周りに合わせた子育てはお金がかかる」と考えていることになる。何とももどかしい状況だが、実は私のこの仮説、現在進行形で子育てをしている人ほど「わかる」と言ってくれる。

記事より引用

ちなみに、上記のデータを得たアンケートは、未婚の若者を対象にしたものである。すなわち、既に結婚している同世代の意見は含まれていないが、彼らが世代中のおおよそ2割程度であると考えると、残りの8割のうちの6~7割、つまり全体のうちの約半数が、上記の感覚を持っている、ということになる。

これを見て私がどう思ったかというと、結構衝撃を受けた。

「自分がどうしたいのか」という、自分軸で考えることができていないのではないか、と思ってしまった。

個人的には、「自分自身も自分の子どもも、周りに合わせて生きていく(育てる)必要があると思う」という感覚は、すごく窮屈そうだな、と思う。

私は基本的には人に合わせられるタイプであるが、生き方については周りを気にしないマイペース人間でもあるから、自分が生きたいと思った生き方で生きるし、自分に子どもがいたとしたら自分なりの生き方を選択できるような人間になってほしいと思っている。

しかし、彼らがそういう感覚を持っていること自体を悪だとは思わない。そういうふうに考える人も一定数いるだろうし、ある意味ではそういう子どもたちを育ててきた日本の教育システムの結果でもあり、それは必ずしも彼らの責任ではないと思うからだ。

もし日本の少子化を止めるべく、異次元の少子化対策を行うのであれば、金銭的支援はもちろんのこととして、さらにこうした若者心理に真に寄り添った政策が必要になるのかもしれない。

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