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学問の力がコンサルティングで威力を発揮するのです。

最近、コンサルティングという仕事についてよく考えることがある。

大変失礼な話ではあるけれども、以前は「コンサル」と略称される言葉への勝手な偏見で、イケイケなキャラの人が多そうな業種だなとか、高給取りのイメージが先行していた。

しかし最近になって、コンサルティングという仕事自体については、どのような分野の専門性が求められるかに関わらず、結構面白い仕事なのではないか、と思うようになった。

それは、コミュニケーションの本質や、人間が幸福に生きるということと、遠いところで繋がっているのではないか、という理解に到達したからだ。

仕事としてのコンサルティングの役割は、私の理解では、顧客の悩みや要望を徹底的に聞き取り、その悩みや要望に対して適切な解を出すことだ。また、場合によっては、顧客自身も気づいていないような課題を特定し、それを解決してみせることができたら、一流のコンサルティングだと言えるのかもしれない。

いずれにしても、これは最も小さいサイズのビジネスであり、ビジネスの本質的な部分を捉えたものであると私は考えている。

それは、私の考えるビジネスの本質が、「他者の望みを叶えることによって、その対価として報酬を得ること」だからである。

そのようにコンサルティングという仕事に思いを巡らせるようになったのは、大学教員という自分自身の現在の仕事柄、様々な企業の方々が我々のところに相談に来てくださり、その相談に先輩教授陣がどのように答えているのかを間近で見聞きすることが増えてきたからだ。

こういうとき、私はまだ若手だから、今のところは自分自身が責任を持って答える立場ではないとしても、もし自分だったらどう答えるか、を常に考え訓練する場だと捉えている。

相談に来る彼らは、我々に何らかの専門的見地からの意見を求めてやってきているはずだ。そして、その相談は往々にして、世の中的には答えが無い課題である場合が多い。

例えば、新しい技術を含むシステムをこれから社会に実装していくにあたって、安全上問題が無いかどうか、などである。

こうした未知の課題に対して何らかの解答をするときに我々として大事になるのは、「原理原則から答える」という力だ。これがいわゆる、「学問の力」なのだと思う。

学問の意義とは一体どこにあるかというと、世の中の複雑な現象のうち、その現象を支配している最も重要な要素は何であるかを語っているところにあると私は考えている。

例えば、古典物理学の世界において最も重要な「運動方程式」は、「物体の運動は、『物体の質量』『物体の加速度』『物体に作用する力』の3要素で記述できる」ということを語っていることが重要なのだと思う。

この原理原則が明らかになっていることによって、この地球上(あるいは宇宙)においてマクロなスケールで生じている物体の複雑な運動を丁寧に分解して理解することができるのである。

少し話が長くなったが、そういう「学問」を徹底的に身につけた我々が、その専門的見地であるところの「原理原則」から相談者の悩みや課題を捉えて応答する、これがまさに、我々学問をやっている人間にとっての、我々に求められているコンサルティングなのではないか、と思うのである。

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