吉田猿滑

湖沿いや山の麓が好きな28歳です。 夢は縁側で類人猿と語り合うことです、 人間について。

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承認欲求の正体ならびに人生の目的

どうして僕たちはSNSにとらわれるのか。 どうして僕たちは「発信」にとらわれるのか。 さて突然で申し訳ないけれど ー世の中のあらゆるものは突然にやってくるものだからいちいち謝らなくてもいいのだけれどー 人類の生きる根本的な目的といえば何だろうか? 今日は16日だから、1+6=7 出席番号7の岡田! クラスいちクールな岡田君は表情そのまま答えた。 「はい、子孫繁栄です」 教室は秋風に吹かれたようにざわついた。 では、子孫繁栄とは何だろう? 簡単に言えば、子どもをつく

    • 8月は長かった

      「私は3が好き」 8月最後の蝉の鳴き声を静かに聴いていると相変わらずいまさっきまであった過去の美しさを思います。雨に備え部屋干しにされた白シャツやタオルがベランダから吹き込む青く軽い夏風に揺らいでいます。 どれだけ時が積み重なろうと自分のかけらから手を離すことのできない僕は重さと軽さが混じったまま臆病に動き続ける自分の身体の脆さを見つけます。同時に僕は自分に相応な1人称をまだ見つけられないぼくを見つけてしまいます。茜色の空にまるで別れを告げるかのように震える樹木たちを眺めて

      • 夏休みの円周率、逆

        時刻表という壮大な砂漠に時折り流れる透明な風をめがけて走るあいつは一体どこへ消えたのか。コロナにかかっても古老が転んでもでんぐり返りしても資本主義の頭をスリッパで叩きたくなってもいやはやその影さえ見つからない。 翌朝われわれは鴉の美しいフォルムを無視し記憶の眼前をだれかに適当に蹴られた石ころのように通過する。南中時刻、悠然と宇宙を遊泳する海のラクダたちが僕らを見守ってくれていることは当然理解できない。夕焼けのちの青空、実はとても明るかったモナ・リザの笑い声がバスの停留所の工

        • なにもかも翌日配達蝉の声

          梅雨入り四日目、寝起きの彼は小さなアナログ時計の針を見て相変わらず奇妙な進み方をするなと思った。いつの時代も現代は変化のスピードが速いと嘆いているがこの針の速度だけは変わらないらしい。 他に変わらないものは?となんとなく部屋の中を見回してみるとあらゆる家具や家電製品が実は人々が通底して隠し持っている違和感の象徴に見えた。 違和感の象徴?これらは人類が隠し持つ違和感のひとまずの完成品?時計の針はまさにその達成ではないのか。なるほど、よくわからないなと彼は妙な満足を覚えた。 か

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        承認欲求の正体ならびに人生の目的

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        • アルパカの逆走
          197本
        • マトリョーシカと喜太郎
          18本
        • 水仙
          14本
        • カエルのいびき
          1本
        • ペンギンの徘徊
          30本
        • パグの脱走
          5本

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          晴れ鴉、こ転

          「雲を見ていると私はいつでも哀しくなりますな。すぐに形を変えてしまいますから。なんなんでしょう、せっかくせわしない人々から目をそむけたのになにを信用していいかわからんくなるじゃないですか。それとは対照的に空はいつまでも見ていられます。いつまでも形を変えないですから」 「たしかにこの街の人々は常に急いでいる。明確なある点に向かっているのか、単に回転しているだけなのか。わたしは後者に100BTCですわな。生きるために急いでいる、そんな不可思議な事態はわたしを困惑させ腹立たせるの

          晴れ鴉、こ転

          丸いのは三日月か、満月か

          夏の兆しに鶯朗らかな正午前、皆から置いてけぼりをくらった雪だるまの如き顔を飾った青年はどこか幸福そうに長い坂の下で立ち尽くしていた。 彼の眼前に伸びる長い坂は実は暇を持て余している大人たちにそうだあいつと流しそうめんをしようと思い起こさせるような美しい急傾斜で真面目に仕事をこなす税金のようにそこを登るすべての人に重い負担をかけていた。 一人黙って立ち尽くす青年の半袖は次第に夏雲水鏡の如き透明さを持ち始め、それを少し離れたベンチから見ていた僕はなぜか自分が就活の頃に腕時計を

          丸いのは三日月か、満月か

          磯鵯のスヌーズ

          「いかんですなぁ」 「愉快ですなぁ」 「やれやれ」 資本主義にまみれた街の中でこの三種の言葉を耳にした私の心は鶯の声を聞いた若木のように途端愉快になる。なぜかは知らぬ。 しかし私の皮膚下を巡る血流は静かな森に盛る木の実のような鮮赤に変色しさらさらと私の体内を流れ始める。生まれ持った彩のまま解なき宇宙の風に漂う命のような感もあるといえる。 近頃の私はふとしたときにこの現象になにかいい名を付けることができないか知らぬま考えている。が、バスの列に並んでいるとき電車の席に座ってい

          磯鵯のスヌーズ

          月並みな資本主義

          こんにちは。 マトリョーシカ・マトリョーシカ・マトリョーシカです。うん、お久しぶり。 え、おめぇなんて知らねえよって? うん、僕も君のことは知らないよ。まったくまったく全く知らないよ!はは!いやもちろんいい意味でだよいい意味でさ。落ち着いてくれ。カムダウン。 さて早速だけどなぜ今日僕(マトリョーシカ・マトリョーシカ・マトリョーシカ)が僕(マトリョーシカ・マトリョーシカ・マトリョーシカ)として文章を書き残し始めたかっていうことを伝えておくね。 結論から言えばnoteの通知欄に

          月並みな資本主義

          【無職エッセイ】寝坊した鶏

          平日正午に結露した窓を越えてくる陽光の美しさは何故か無職者を孤独に陥らせます。 これは光と影の単純類推でしょうか? 或いは生物の狡猾な叫びでしょうか? 上階の排水音が聞こえます。 冷蔵庫が老犬の如く唸ります。 太陽が雲に隠れます。 静寂が霧の如くかかります。 適度に騒がしいエンジン音が聞こえます。 ここは空き部屋が増えゆく山麓のマンションです。急坂を鉄の塊が駆けてゆきます。 たぶん登りでしょう。 怪物です。 脂ぎった本性を爽やかな外装で隠す怪物です。 脆弱な無意識と対話して

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          偶然を抱え漂う水の雪

          朝散歩春夏秋冬擦れ違う心のなかで挨拶してた ダッシュする母に連れられ笑む幼児いってらっしゃいバスに陽光 座りこむ少女見つめる琵琶湖岸奏者は今日も真鴨大鷭 満面の笑顔の先はいつも空悲しいことか嬉しいことか 冬太陽なら食べられそうだそんなこと言う友と欠伸交わす 雨じゃなく落っこちてこい全宇宙ダークマターみなの脳天に 鶺鴒と風の音聴く青年の長髪揺れる太陽と月

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          団栗寒太郎の雑感

          ❶「人生ですべきことですか?それは決まっています。幽体離脱です。幽体離脱。もっとわかりにくく言えば、虚構の鳥になることです。虚構の鳥になって自分の人生を見ることです。見てみることです。見つめてみることです」 ❷一月下旬、今あそこでブーンと飛んでいる飛行機も凍ってしまいそうなほどに澄み切った朝の碧。 僕は散歩を中断し真鴨や大鷭に混じり湖をスイスイ泳ぐ鵜の逞しい首を眺めている。ん〜、ちょっと湖にしては猛々しくないかぁ?猫背のペンギンの方がよくないかぁ?とたぶんあそこのベンチに座

          団栗寒太郎の雑感

          メリークリスマス、自動ドア

          こんばんは。 マトリョーシカ・マトリョーシカ・マトリョーシカです。みんなからはよくマトシカって呼ばれています。失礼だよね。人の名前を略すなんて。 でもさ、自分でも自分の名前(マトリョーシカ・マトリョーシカ・マトリョーシカ)を書くときには、めんどくさいな〜って思っちゃうから(特にテストの始まりに自分の名前を書いてるときなんて、三つ目のマトリョーシカのマ辺りでこれ時間ロスにつながってんじゃん!もうみんな問①にいってんじゃん!おい、先生!とかなんやら思って腹立っちゃうよね)、みんな

          メリークリスマス、自動ドア

          冬の空猿も滑らむ青さなり

          白菜でラグビー真似る日曜日 風に舞う枯葉と翔ける鶺鴒や 落ち葉踏む子らを見守る巨木かな なにもないなにもないけど枯木星

          冬の空猿も滑らむ青さなり

          大津駅てくてく歩く寒鴉

          幼児らとなき声競う水鳥や 越えてゆけひこうき雲をそこの鴨 我の影伸びて合流鴨の群れ 二十年前のセーター着る父や

          大津駅てくてく歩く寒鴉

          足ぶつけ舌打乱打炬燵かな

          青年が寒鴉の声を聴いている ボウリングピンのようにぷかぷか鴨 濡れ落ち葉不動産屋のスーツかな きっと思い出せない名ポインセチア

          足ぶつけ舌打乱打炬燵かな

          湯豆腐とプリンを食べる二人かな

          朝散歩季語を探して真鴨かな 入らない白菜鎮座冷蔵庫 雪達磨きみが望むは光?影? ぞなもしと言ってみたいねん淡海人

          湯豆腐とプリンを食べる二人かな