マガジンのカバー画像

アルパカの逆走

195
運営しているクリエイター

記事一覧

なにもかも翌日配達蝉の声

梅雨入り四日目、寝起きの彼は小さなアナログ時計の針を見て相変わらず奇妙な進み方をするなと…

吉田猿滑
22時間前
4

晴れ鴉、こ転

「雲を見ていると私はいつでも哀しくなりますな。すぐに形を変えてしまいますから。なんなんで…

吉田猿滑
4日前
2

丸いのは三日月か、満月か

夏の兆しに鶯朗らかな正午前、皆から置いてけぼりをくらった雪だるまの如き顔を飾った青年はど…

吉田猿滑
3週間前
3

磯鵯のスヌーズ

「いかんですなぁ」 「愉快ですなぁ」 「やれやれ」 資本主義にまみれた街の中でこの三種の言…

吉田猿滑
2か月前
4

【無職エッセイ】寝坊した鶏

平日正午に結露した窓を越えてくる陽光の美しさは何故か無職者を孤独に陥らせます。 これは光…

吉田猿滑
4か月前
14

偶然を抱え漂う水の雪

朝散歩春夏秋冬擦れ違う心のなかで挨拶してた ダッシュする母に連れられ笑む幼児いってらっし…

吉田猿滑
4か月前
2

団栗寒太郎の雑感

❶「人生ですべきことですか?それは決まっています。幽体離脱です。幽体離脱。もっとわかりにくく言えば、虚構の鳥になることです。虚構の鳥になって自分の人生を見ることです。見てみることです。見つめてみることです」 ❷一月下旬、今あそこでブーンと飛んでいる飛行機も凍ってしまいそうなほどに澄み切った朝の碧。 僕は散歩を中断し真鴨や大鷭に混じり湖をスイスイ泳ぐ鵜の逞しい首を眺めている。ん〜、ちょっと湖にしては猛々しくないかぁ?猫背のペンギンの方がよくないかぁ?とたぶんあそこのベンチに座

冬の空猿も滑らむ青さなり

白菜でラグビー真似る日曜日 風に舞う枯葉と翔ける鶺鴒や 落ち葉踏む子らを見守る巨木かな …

吉田猿滑
6か月前

大津駅てくてく歩く寒鴉

幼児らとなき声競う水鳥や 越えてゆけひこうき雲をそこの鴨 我の影伸びて合流鴨の群れ 二十…

吉田猿滑
6か月前

足ぶつけ舌打乱打炬燵かな

青年が寒鴉の声を聴いている ボウリングピンのようにぷかぷか鴨 濡れ落ち葉不動産屋のスーツ…

吉田猿滑
6か月前

湯豆腐とプリンを食べる二人かな

朝散歩季語を探して真鴨かな 入らない白菜鎮座冷蔵庫 雪達磨きみが望むは光?影? ぞなもし…

吉田猿滑
7か月前
2

二度見して姿消す鳥秋空や

おいジジイ誰が使うか冬の季語 新彼女畳の上にカーペット 実際はだれのせいでもないんだよ …

吉田猿滑
7か月前
5

フリーター歳時記覗く夜長かな

夏終るほろよい五缶飲む友や 珈琲の粉がふくらむ秋日和 子が言った親孝行は生きること 死は…

吉田猿滑
8か月前

木犀や 1+1= 1でいい

2023/10/19(木) 大阪の天王寺動物園からチンパンジーが脱走したというニュースを昨日テレビで何度も見かけたことをふと思い出し、でも今日はどこのワイドショーもその続報を取り上げていなかったなと気づく。 一応グーグルで検索してみる。と、すでに彼女(レモン)は無事?確保され今は檻の中にいるらしい。脱走を決意した瞬間、脱走を達成した瞬間、目を覚ますと檻の中だった瞬間、一体彼女はどんな気分だったか、想像してみる。が、うまく想像できない。 ところでこの話の怖いところはチンパ