赤ちゃんから学んだ「ストレス」のこと
最近、ストレスってあって良いんだ、と思うようになった。
もちろん過剰なストレスや理不尽なストレスはあって良いとは全く思わないけど、
常にストレスフリーである必要もない。
そう思うようになってから生きやすくなったと感じる。
今回はその考えに至るきっかけになったエピソードをお伝えしたい。
※ここでいうストレスは、ざっくりと
「心身にかかる負荷」
という意味で捉えてもらえると。
○ストレスの無限ループ
それまでは「ストレス=否定すべきもの」と捉えていた。
ストレスは悪でストレスフリーこそ正義だと。
でもそのせいで自分は無限ループの中にいた。
それは「ストレスを感じている自分」にストレスを感じる、というループ。
つまり、
ストレスを否定しようとすればするほど、
「ストレスを感じている自分」
を否定することになり、
その結果さらにストレスが溜まる。
という負の連鎖だった。
そんなとき
ストレスに関する本やブログを見ていると、
「まずはストレスの存在を認めてください。」
と書かれているものがあった。
なるほど、と思った。
それからはストレスを感じるたびに、
「認めよう」と努力した。
実際それにより少し楽に思えることが増えた。
でも今はストレスをもう少し違うふうに捉えている。
○帝王切開で生まれた子の方が危ない
仕事柄、よく妊婦のお産に立ち合い、生まれた赤ちゃんの診察をする。
お産には大きく2種類ある。
「経膣分娩」と「帝王切開」だ。
経膣分娩は赤ちゃんがお母さんの産道を通って骨盤→膣から生まれてくることで、
帝王切開はお母さんのお腹をメスで切って外科的に赤ちゃんを取り出すことだ。
生まれてくる赤ちゃんが元気がどうかは、
いくつかの要因である程度予想がつく。
その中でものすごく大事なのが、在胎週数だ。
つまり、
正期産(妊娠37-41週)なのか、そうでないのか。
そうでないなら、
どれだけ正期産に近い週数なのか。
それによって予想される赤ちゃんの状態が大きく変わる。
ただまあ正期産に近いほど元気に生まれやすいっていうのは、直感的に予想がつくものかと思う。
でも、実はそれと同じくらい
自然分娩か帝王切開のどちらなのか
も重要になる。
生まれ方により、赤ちゃんの元気さが変わってくる。
具体的に言うと、同じ週数の赤ちゃんの場合、
帝王切開の方が状態が悪い
ことが多い。
実際にお産に立ち合う中で
この事実を目の当たりにしたとき
これがなぜなのか初めは理解できなかった。
だって赤ちゃんからしたら、
自然分娩は12-24時間くらいかけて狭い産道を通って(おそらく苦しい思いをしながら)、
ゆっくり出てこないといけないけど、
帝王切開なら15-30分で何の障害もなくあっという間に外に出られる。
それなら帝王切開の方が出てくるのが「楽」そうだし、元気な子が生まれやすいとは思わないだろうか。
でも実際は逆だった。
その理由を端的に言い表すと、
帝王切開だとストレスがなさすぎるから
だそうだ。
それまでお母さんのお腹の中にいた状態から外の世界で生きるためには、
体を「変化・適応」させる必要がある。
その上で、狭い産道を時間をかけて通ることは、赤ちゃんにとって必要なストレスだった。
○ストレスはあるのが自然。
その理由を知ったとき、
あ、ストレスってある方が自然なんだ。
とふと思った。
もちろん赤ちゃんが生まれるときにかかるストレスと日常で感じるストレスは同じものじゃない。
それでも
「生まれる」という根源的な過程に「ストレス」が重要な役割を果たす。
という事実は、
僕にとってストレスの存在を受け入れるのに十分な理由になった。
ストレスを自然なものと考えるようになると、
もはや毎回「認める」必要もなくなる。
「あー今日はそこにストレス感じてたのね、おっけー」くらい。
いちいち意識しないし、しっかり認めなくちゃ、という気負いも生まれづらい。
そんな風に今は考えてる。
○最後に
今回伝えたいこととは逸れるけど、
帝王切開の子は状態が悪いとは言ったものの、命を落とすというわけではない。
自然分娩ではなく帝王切開にしたという理由で赤ちゃんが亡くなるということはほぼない。
今の日本の医療技術であれば、どちらも同じように救うことができる。
だから、帝王切開は危険だからやめろと言いたいわけではない。
というかそもそも様々な理由で帝王切開をせざるを得ないお母さんがいるわけなので。
今回お伝えしたいことは以上だ。
最後まで読んでくださりありがとう。
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