「かぜ」は薬なしでも乗り切れることが多いよって話。
こどもって、年がら年中「かぜ」引いてますよね。
特に小学校に上る前までは、
「この前治ったばっかやん!」
って、診てる側も言いたくなることがあります。笑
ある論文によると、1歳未満では年6回以上かかるらしい。
「いや、ウチの子はもっと引いたわ。。」って方も多いはず。
かぜは、医学用語で「急性上気道炎」といいます。
上気道、すなわち鼻やのどに炎症が起きた状態のことで、
原因はウイルス感染であることがほとんど、90%以上です。
いろんなウイルスがいるので、何回もかぜを繰り返すわけですが、
この「ウイルスがほとんどのかぜの原因である」ということが、まず大事。
ウイルスが原因ということは、抗菌薬は効きません。
ウイルス性の単純なかぜは、無治療で必ず治ります。
インフルエンザにはタミフルなどの薬もありますが、
使わなくても治ります。
適切な時期に使ったとしても、
効果としては症状がだいたい半日短くなる程度です。
他のかぜについては根本的な治療法はありません。
「え、じゃあ、いつももらってるかぜ薬って何?」
これは、いわゆる対症療法と呼ばれるもので、
別の呼び方としては咳止め、とか、痰切り、とか言われるやつでしょうか。
もしかしたら熱冷ましもよくもらう対症療法薬かもしれません。
これらの対症療法は、
症状を抑えているだけで、感染症を治す効果はありません。
使って症状軽減の実感があれば使っても構いませんが、
早く治るわけではない、という点には注意が必要です。
ちなみに、よく外来で
「けいれんが心配なので熱冷ましを使っている」
という親御様に遭遇しますが、
熱冷ましで見た目の熱を下げても、けいれん予防にはならない、
ということが科学的に証明されています。
熱冷ましはあくまでも
熱による倦怠感を抑えて、睡眠や食事水分を取りやすくするために
必要最低限、使うようにしましょう。
その他の風邪薬についてですが、
まず小児に使える咳止め薬で有効なものはありません。
そしてそもそもの話、
咳は異物を体外に出すための生体防御反応なので、止めなくて良いです。
それでも咳を軽減するために何か使いたい場合、
2歳以上のお子さんにはハチミツがおすすめです。
小児咳止め薬と同等以上の効果、という論文もあります。
ただし、1歳未満には禁忌です、ボツリヌス中毒で致死的になり得ます、
ご注意ください。
痰切り薬は、使っても良いかもしれません。
カルボシステインは実際に痰を柔らかくするからか、
服用7日目に咳を軽減する、と説明する論文もあります。
風邪の治りかけに増える、痰絡みに伴う咳に
痰切り薬は有効なのかもしれません。
どんな薬にも、副作用はある、という点も押さえておきたいポイントです。
薬は、体にとって異物です。
一度体に入れたら、解毒(=代謝)してから排泄する必要があります。
肝臓や腎臓で解毒しますが、
この解毒を行うと臓器にはそれなりの負担がかかるため
薬を長期・大量服用すると、肝障害や腎障害は必発です。
使わなくて良い薬は、使わないのが一番です。
薬は最低限にしましょう。
ということで長々説明してきましたが、今日の大事なポイントは
・かぜは自然に治る!
・かぜに特効薬はない!
・対症療法は症状に応じて最低限!
そしてかぜを治すのに何よりも大事なのは、
もともと身体が持っている免疫です。
そしてこの免疫が十分働けるための環境整備が重要です。
水分をこまめにとって脱水を避ける。
身体の根本的な栄養分である糖分・塩分を十分取る。
睡眠・休息をしっかり取る。
※ちなみに、かぜを引いていても入浴はOK!
湯冷めと遊び過ぎによる体力喪失にだけは気をつけて入れば
むしろスッキリ気持ちよく寝るのに役立つかもね。
そしてそして、もう一つ大事なのが
そもそもかぜをひかないために、しっかり予防すること!
・手洗いうがいでウイルスを洗い流す!
・こまめな水分摂取で喉のウイルスを洗い流す!
・十分な睡眠と休息で体力を維持!
※マスクも、飛沫を飛ばさない、ヒトに移さないために大事!
ということで、今日はここまで。
なにか追加で聞きたいことがあれば、お気軽に質問どうぞ。
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