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【感想】夫婦のあり方について考えさせられた

はじめに言っときます。
「夫婦のあり方」だなんて題名にしてますが

わたくし、独身でございます。


以前「坂元裕二脚本の作品」が好きな友人から、「カルテット」をおすすめされたことがあった。しかし、なかなか視聴意欲が湧かないことを理由に、観てこなかった。結局それから4、5年経っただろうか。

ここ1、2年で、周りに感化されて、あれよあれよとサブスク(アマプラ)の世界へ…。そこで、おすすめドラマ一覧を見たとき「カルテット」が目にとまったのをきっかけに、この度やっと観るに至ったのだった。

ここまでにくるのが、長かった。

そして、全話視聴後、
いやいやなんなら最中から
なぜ私は、もっと早くこれを観なかったんだ!
と過去の自分を悔いることになる。
それぐらい好みの世界観だった。

さて、本題に入る。

ドラマ「カルテット」は、30歳を過ぎた4人の男女が偶然出会い、共同生活を送りながら夢であったカルテット(弦楽四重奏)を組んで活動を開始する物語である。

私が特に印象に残ったのは、夫婦のあり方が描かれていた第6話の内容だ。

愛している人と家族になれて嬉しかった妻と、結婚しても恋人のような関係でいたかった夫。この価値観の違いから、2人は離婚することになってしまう。

両方の視点に立って考えてみる。
すると、うん、これ、
悲しいことにどちらも悪くない。
…だからこそつらい。

重複してしまうが、
この夫婦の決定的な離婚原因は
【結婚(愛すること)に対する価値観の違い】だった。

幼少期から複雑な家庭の事情により、自分を偽って生活していた「妻」が望んでいたのは「普通の家族」

そんな彼女にとって、夫との結婚生活は「ありのままの自分」でいられる、かけがえのない時間だった。没頭していた趣味も忘れてしまうほどに、彼女にとっては、それが心地よく、貴重だった。

対して「夫」は、そんな妻のことをつまらないと思った。「いつまでも恋人同士のようにいたい」それが、夫が求めていたことだったから。夫にとって妻は、品があって、音楽をやってて、どこかミステリアスで、今まで出会ったことのないような人だった。それなのに、結婚をして、共に生活をするにつれて、妻も他の人と同じ「普通の女性」だった、ことに気づく。

「彼と家族になれて嬉しかったし、愛しています」という妻と「彼女のことは愛しているけど、好きではない」という夫。

いつのまにか、妻にとっては、家族だと思ってた夫が「片思いの相手」へと変わり、夫にとっては、恋人でいてほしかった妻が「家族の一人」となっていた。お互いに欲しかったものが、気づいた時には逆さになっていたのだ。

そして最終的に2人は離婚してしまった。 

結婚後の価値観なんて、結婚してみなければわからない。結婚前も後も価値観が変わらない人だっている。人間なんて、その時になってみないと、自分でさえも自分のことがわからない。その立場、状況に自分が身を置いて初めて「あ、自分はこういう人間(価値観)だったのか」と知ることもある。

人間は置かれた環境に合わせようと柔軟に対応し、変化する生き物だけど、時として、頑なに守ろうとすることもある(信念)。

夫婦って何だろう。
愛するって何だろう。
価値観なんて、違って当たり前だ。
人間だから。
それぞれが譲れないものがあるのは当たり前だけど、どうにかして思いを伝え合って、擦り合わせることはできなかったのだろうか。

結局ドラマでは、夫婦の気持ちがそれぞれの相手に届くことはなく、お互いに愛しているのに離婚に至ってしまった。ちなみに、離婚後夫は、妻の生い立ちを知ることになって「ああ、妻はただ、自分と普通の家族になりたかったのか…」と理解するのだけど、それを夫婦の時に気づけてたら、果たして2人は離婚せずに済んだのだろうか。

でも、それもこれも、その夫婦(その人たち)が、その状況に直面してみないとわからないことだ。同じ状況に立って離婚する人もいれば、そうせずに続ける人もいる。

人間は謎が深い、奥も深い、時々めんどくさくなって、逃げてしまいたくなる。

考えてみると、この世界は白黒思考なことが多い。結婚か離婚か、好きか嫌いか、 0か100か。

グレーを許せる人でいれたら、どれだけ過ごしやすいだろう。

ドーナツは穴がなきゃドーナツじゃない。
穴があるから魅力的なんだ。

欠けていたっていいんだよ
欠けているからこそのあなた
それを含めてのあなた。
そんなあなたでいいんだよ

そんなメッセージを勝手に感じた。

うん、もしかしたら私は「カルテット」を観たのが今でよかったのかもしれない。当時はみる気が起きなくて(ごめんなさい)みれなかったけど、巡り巡ってまたこうして作品は私のところにやってきてくれた。これも縁だ。今この作品に触れることになったのは、私にとって何か意味があったんだ。

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