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PCOP(緩和ケアオンラインポータル)
2023年9月16日 21:28
「緩和ケア病棟」という言葉は、医療関係者でなくても聞いたことくらいはあるかと思いますが、立ち入ったことがある、という人はどれくらいいるでしょうか?働いている/働いたことのある人はもちろん、ご家族・ご友人のお見舞いのために行ったことがある、という人もいるかもしれませんね。しかし行ったことがあるという人はおそらく少数派で、医療関係者であっても「知識としては知っているけど、行ったことはない」という人
2023年9月17日 22:24
前編に続いて、知っているようで知らない「緩和ケア病棟」のアレコレについてお話していきたいと思います。緩和ケア病棟はどんな場合に利用できるの?前編で「ケアに特化している」「積極的な症状緩和が行われる」「環境が良い」などの緩和ケア病棟の特徴を説明しましたが、どんなときに緩和ケア病棟に入院することができるのでしょうか。まず入院のための重要な条件として、がんかAIDSである必要があります。昨今では
2023年9月20日 23:39
突然ですが、「平等」「公平」「公正」という3つの言葉を、皆さんは使い分けているでしょうか。「…え? だいたい同じなんじゃないの?」という人もいるでしょうし、大ざっぱに言えば似たような言葉だと言えます。しかし今回は、あえてこれらを細かく区別して、緩和ケア病棟での面会を例に解説してみたいと思います。平等、公平、公正、それぞれの意味この3つの言葉の違いを明確にするために、まずはそれぞれを英語に直
2021年7月18日 17:57
たまに「緩和ケア病棟に入院したら、検査も何もしない」と思っている人がいるのですが、そんなことはありません。確かに、週に何度も採血をしたり、抗癌剤治療中のように頻繁にCTを撮ったりはしないのですが、理由は大きく2つです。1)患者の身体的・精神的苦痛になりうる2)緩和ケア病棟入院料はどれだけ検査を行っても一定逆を言えば、患者への負担が少なく、費用面で許容範囲内であれば、緩和ケア病棟でも検
2021年7月11日 16:32
前の職場では医学生に「緩和ケアってこういうものだよ」と説明させてもらう機会が多かったのですが、そのときよく質問されたのが「緩和ケア関連で資格を取りたいと思ったら、どうしたら良いですか?」というものでした。これは医学生だけでなく、看護師さんや薬剤師さんなど、他の職種の方も気になることかもしれないなーと思ったので、今回は職種別に緩和ケア関連の資格についてまとめてみたいと思います。【医師編】
2021年6月20日 16:20
私の住む地域では今年は梅雨入りが早く、そのためか雨の降らない日も多めで、間延びしたような印象の梅雨になっています。今朝も天気が良かったので、ふと思い立って近くの河川敷をブラブラ散歩してきました。どうしても毎日パソコンの画面ばかり見てしまいがちなので、目の保養に川や緑や空なんかを眺めることができて良いリフレッシュになりました。仕事や家事やら色んなことで時間に追われている!という人も多いかと思
2021年6月13日 17:47
【緩和的鎮静について】緩和ケアにおいて、患者さんが耐えがたい苦痛に苛まれ、他に苦痛緩和の手段がない場合、”緩和的鎮静 palliative sedation therapy”という手段が選択肢に挙がります。緩和的鎮静は「苦痛緩和のために患者の意識を意図的に低下させること」と定義され、具体的には主にミダゾラムというベンゾジアゼピン系鎮静薬を用いて眠らせる、あるいはボンヤリとした状態やウトウト
2021年6月6日 15:15
オピオイド鎮痛薬、特にレスキュー薬を使っている患者さんと普段接していると、「この人、すごく頻繁にレスキュー使ってるけど…これ良いの?依存症ぽくなってない?」とモヤモヤした経験をすることはないでしょうか。もちろん、痛ければレスキューは使って良いし、モルヒネ・オキシコドン・ヒドロモルフォンといったオピオイド鎮痛薬は使用上限が原則ないので、理屈からすると何回使っても良いはずです。でも、一日でレスキ
2021年5月30日 15:29
今のご時世、ちょっと熱が出ると「コロナか!?」と自分も周りもザワザワするので、風邪すら引かないように気を付けないといけない大変な状況ではありますが。進行がんの患者さん達は、本当によく発熱されます。がん患者に発熱が見られる頻度は約70%といわれ、これはがん患者に痛みがみられる頻度とほぼ同じです。健常成人が発熱する主な原因は、感染、薬剤熱、膠原病…などとよく言われますが、進行がん患者の場合は、”
2021年5月23日 13:04
日本を含む東洋には「医食同源」という考え方が古くから根付いており、きちんと食事を摂ることは健康であるためにとても重要だと考えられています。それ自体はそのとおりだと思いますが、がんの患者さんやご家族とお話ししていると「食生活が良くなかったからがんになったんでしょうか…」「がんに良い食べ物(あるいは食べてはいけないもの)はありますか?」と訊かれることがよくあります。さらには、病気が進行して食事が
2021年5月16日 17:03
皆さんは、”モルヒネ”という薬にどのようなイメージをお持ちでしょうか。およそ200年前から使われている薬なのに、いまだ現役。他のオピオイド鎮痛薬がたくさん世に出ていても廃れないのは、優れた薬であることの証明だと思います。一方でモルヒネと言うと、患者だけでなく医療者も「モルヒネ!?」と一歩引く…そういったイメージを持たれている薬であることも事実です。しかし私個人の意見としては、モルヒネを上手
2021年5月9日 14:25
私が現在勤めている緩和ケア病棟は、消化器系の患者さんが比較的多く、腹水が溜まってお腹がパンパンに張って苦しんでいる方を診る機会がしばしばあります。ただ、この腹水をどうするかというのは、医療者にとっても患者さん・ご家族にとっても悩ましい問題がいくつかあります。今回はその辺りについて、まとめてみようと思います。消化器症状に関するスライドを参照したい方は、PCOPのWebサイトにアクセス!
2021年4月25日 11:47
よく「緩和ケアが大事なのは分かってるんだけど、ゆっくり患者さんの話を聴いている時間もないし…」という言葉を耳にすることがあります。たしかに多忙な医療現場で、患者さんと話をすることに時間をかけられないということはありますよね。それは私が働いているような緩和ケア病棟でも実は同じで、外来患者さんや入院患者さん、緩和ケアチームとして関わる患者さん達など全員と、ゆっくり話をしている時間は残念ながらありま
2021年4月18日 13:53
さて今週は、すぐに使える(かもしれない)実践的なお話です。緩和ケアにおいて大きな役割を果たす、モルヒネやオキシコドン、ヒドロモルフォンなどの「医療用麻薬」ですが、痛みで困っている患者さんに医療用麻薬の使用を勧めたいとき、皆さんはどう説明しているでしょうか?「他の薬では痛みが取れないので、最後の手段として麻薬を使いましょう」「麻薬は痛み止めとしての効果も強いですが、副作用も強いです」「麻