ただ、ピカピカにしたいだけ。

春服の出番。
どうも、コーシです。

洗うとか、磨くとか、そういったことを始めると沼にハマる性格だ。

私は黒板を綺麗にするのが大好きだ。大学生になった今、なかなか黒板消しを用いる機会は無いが、小学校、中学校、高校と暇さえあれば教室の黒板を消していた。

小学2年生の頃、いろいろな係を決める話し合いの時、”お花に水あげ係”とか”金魚飼育係”とか色々ある中、”黒板消し係”に立候補した。そして何人かいる”黒板消し係”の自分以外全員をほぼクビ状態にしてまで黒板消しをしていた。それにより、「ちゃんと業務を分担しなさい。」という説教を頂戴した記憶がある。

それからしっかりと従い業務を分担したものの、他の黒板消し係のメンバーの”黒板消しクオリティ”に納得がいかず、その子が業務を終えた後に1人で再度納得がいくまで黒板消しをしていたら、「人を信用しなさい。」「自分と同じクオリティを人に求めるのはやめなさい。」と再び説教を頂戴した。

人生で先生から3回説教をしてもらった記憶があるが、そのうち2回は黒板消し関連のことである。この2回の説教で得た教訓は割と計り知れない。

高校生でも、お昼ご飯を食べ終わると1人で黒板を消していた。大好きなクラスだったけど、あの時だけは”誰にも話かけられたくない”レベルの集中力でひとりに没頭していた。

とにかくこの何か一つのものに向き合って、それを綺麗にするために集中するという時間が好きだ。

そんな自分の性格に最近気づき、何か洗えるものは無いかな、とか考えていた時、車のボディーが少しサラついていることに気がついた。これは、洗いたい。

以前訪れたカー用品店でセルフ洗車ができるのを記憶していた。思い立って三日後くらいには、とんでもないワクワクと共にそのカー用品店を訪れていた。

土曜日ということもあり、5台ほど並んでいる。皆さんマイカーを愛しているんだろうな、とあったかい気持ちになりながら待ち時間を過ごす。
カー用品店の駐車場に列を成しているため、近くの駐車していた車が発車するときにそれぞれの車が最大限の気配りでテトリスみたいに動く。

20分ほどまって遂に順番が来た。さぁさて、お金を投入しようかなと思ったその時、衝撃の事実。洗車の機械小銭しか使えない＆俺小銭全然持っていない。

結構、絶体絶命。人によっては絶望の底を彷徨い歩くことだろう。

しかしもう私はフクダコーシを約20年もやっている。こういうことが起きるんだよ、この人生は。「エッセイに起承転結の”転”ができたじゃねぇか」と一言かまして、冷静に自動販売機を探す。ダッシュで。
近くにあった自動販売機はお釣りが切れていて、千円を崩すことができなかった。これは流石に焦ったがもっと走って自動販売機を見つけ、見事小銭ゲット☆。

ダッシュで洗車機まで戻り、洗車開始。

気持ち良すぎる。水→シャンプー→水の順番でマシンガンみたいな洗浄機から出てくるのだが、発射時の手にかかる圧とかもめっちゃ気持ち良い。愛車がピカピカになっていく。
洗浄機がほぼマシンガンの形なので、もう心は『セーラー服と機関銃』の薬師丸ひろ子、もしくは私世代だと橋本環奈である。快・感。

あっという間の6分間だった。想像以上の気持ち良さ。

お次は水滴を拭く作業である。車を拭くクロスを持っていなかったので、カー用品店で買おうと入り口に向かうと、ものすごい勢いでお兄さんにくじ引きを引かされた。
最初にポケットテッシュを渡し、そのポケットテッシュにくじ引きがついているため、この花粉症の季節にティッシュをもらった手前、断るわけにもいかないというかなり心理を利用した誘導の仕方。

早くしないと水滴が乾いて水垢になってしまうのだが、こういう時に3等を当てるのが私だ。お店の奥に連れて行かれる。奇跡的にクロスをもらえないかなと期待したが、貰えたのはうまい棒チーズ味だった。好きだけど。
簡単なアンケートを要求され、すらすらと書いて「ごめんなさい、時間がないんで」とそそくさと抜け出そうとすると、営業をしに来ている向こうはこの獲物を逃すまいと引き留める。

ちょっとイラッとする。けどこれもお仕事なのだから仕方がない。
いよいよ出ようという時に「今ってどれくらい時間無いんですか？」という割と訳の分からない引き留められ方をされた時には多少の形相で「はい？！」と言ってしまったが、反省している。仕方がない仕方がない。

もう「水垢になると嫌なんです。」と涙目気分で真実を伝えてなんとかその場を切り抜けた。

無事にクロスも購入し、20分ほどかけて車を拭く。ここまで読んで頂けたらわざわざ書く必要もないだろう。とても幸せな20分だった。

個人的な欲を満たすというのは意外と楽じゃない。
でも気持ちが良ければ、人に大きく迷惑をかけなければ、もうなんでも良い。たぶん。

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