ぱらぐち

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最近の記事

役人かくあるべし

私が1年目で最初の人事院研修を受けていた時、財務省から来た課長クラスが、「役人の仕事とは何だと思うか」と言って、20人くらいいるヒヨッコに考えさせる時間があった。当然みんな公務員試験は通っているわけで、「役人の仕事は矩を超えないこと」だなんてみんな分かっている。だから、「いくつかの選択肢とその理由を携えて、最後は政治家に選んでもらいます。役人はシンクタンク的な役割を担うべきと思います。」なんて優等生な答えをする。すると、その課長は、心底我々を軽蔑したように言ったのだ。 「担

    • 増税の前にやるべきことがあるだろう!

      10年ひと昔である。 10年ひと昔だと本当に感じる。 現参議院議員、元内閣府特命担当大臣、渡辺よしみ氏の10年前の記事がまだ残っている。おそらく今こんなことをブログにすれば、嘲笑されるのではなかろうか。 ”難問山積の日本で、国会は民自公談合により閉幕させられた。ボーナス給料は国会議員も国家公務員も全額マル取り。みんなの党の議員歳費3割カット・ボーナス5割カット法案、及び、国家公務員給与2割カット法案は廃案となった。” 10年前、国家公務員の給与を減らすのは当たり前のよ

      • 離職

        1年半前に書きなぐった自分の書いた記事をなんとなく読み返しつつ、何かが変わったようで何も変わっていない我が省では、人がどんどんやめていることを実感している。 もはや笑い話だが、この前、「やりがいがある」「チャレンジできる環境」「働き方も変わりつつある」と言って我々を勧誘した当時の採用担当が、「転職します」とあいさつ回りに来た。 正直、本人には言えないが、ムカついた。別に採用担当の言葉を信じて入省したわけじゃないし、当時まだ入省数年目で、とにかく学生対応をやらされている職員

        • え?378時間の残業ですか?

          こんなこと主意書で聞かないでくれよ、と思いつつ、ちゃんと調べて答弁した結果、「378時間の残業」という、にわかに信じがたい報道が出ている。 コロナ室なのでさもありなんだが、おそらくこの378時間は在庁時間であり、労働時間ではない。もちろん、「いなければならない」ので、たとえ寝ていようと飯食ってようと、帰る許可がない以上は残業代は全額支払われるべきだ。ただ、一応言っておこうかなと思っただけである。 おそらく、この378時間の残業の主は、局の総括補佐である。一口で局といっても

        役人かくあるべし

          野党の先生

          役人になって、一年目には「なんでこの人たちはこんなに怒るんだろう」「なんでこの人たちはこんなに理不尽なんだろう」と単純に疑問だった。 だが、自民党が野党になれば、やっていることはかつての民主党と同じ、いやもっとひどかったかもしれない。訳の分からない主意書はバンバンだすし、通告だって遅かった。民主党が政権運営に慣れていなかった分、お支えも大変で、当時は官僚といえば悪の枢軸のようだったし、そもそも年金問題を発端として政権が交代したので、国民の当たりも今よりずっと強かった。東日本

          野党の先生

          キャリア官僚とノンキャリ官僚

           「キャリア官僚」というのは不思議な職業だと思う。事務系で入省すれば、仕事の半分は国会対応で、質問を聞きに行き、質問の形に文字でおこし、それに対する回答を作成する。数時間で幹部のチェックまですべて終えるので、回答への作成時間なんて、精々30分。これまでの言い回しから外れず、とはいえ質問にしっかりと答えている体を保てるよう、必死で言い回しを考える。もちろん、30分で下っ端が作成するので、新しいことなど何も入っていない。何を言われてもこれまで通り。「調査すべきではないか」と言われ

          キャリア官僚とノンキャリ官僚

          これまで起きたこと、そして、これから起こること

           ただでさえ少子化で優秀な母数が減っているというのに、入り口の人気がなくなり、出口ばかり増えていく。こんな状況を見て、みんな霞が関は「危機的」「国民生活の危機だ」だと口にはすれど、じゃあ結局これから何が起こるのかは、誰も何も言わない。そもそも、役人の質が下がって「国民生活に危害がある」なんてことがなぜ起きうるのか、正直なところよくわからないはずだ。直感的には、確かに行政に支障は出るかもしれないけど、その程度は当然分からないし、東大生が早大生や北大生に置き換えられたとして、それ

          これまで起きたこと、そして、これから起こること

          野党ヒアリング2

           「野党ヒアリングをしなければならないのは、与党が国会を早く開かないからだ」というのは少しおかしい。普通に国会あいてる時でも、「審議の時間が足りない」とか「国会でしっかりと答えていない」として平然と野党ヒアリングに呼びつけていた。国会の開閉の問題ではないはずだ。 また、「週2回、1~2時間のヒアリングがそこまで大きな負担だと思わない」というのは、確かに平時にやっていただく分には、課長は休みが取れなくなるだろうけど、別に補佐以下はそんなに大変じゃないのは確かだし、別に野党ヒアリ

          野党ヒアリング2

          若手の離職

           正直なところ、「官僚になる」というのは不可逆的な事象であるので、一度なってしまったからには後戻りができない。よく「民間に就職していればもっと高給であったはずの人材が」という言説がなされるが、これは全くのナンセンスで、そもそも入口の段階で官僚を選んだ段階で、その後「民間でもっと高給を得る道」はほぼ閉ざされているので、考えるに値しない。「もし私が鳥ならば空を飛べるのに」と同じレベルの仮定法の用例として使うべきであると思う。  ただ2つほど、民間に転職できる道があるのも事実であ

          若手の離職

          働き方改革

           働き方改革には2種類ある。そもそも仕事を減らすこと、そして生産性を上げることだ。往々にして、労働者は前者、企業は後者を念頭に置いて、「働き方改革」という言葉を使うが、別にどちらかだけが正しいわけではない。そもそも「働き方改革」という用語が生まれたのは、日本の少子高齢化が止まらないという圧倒的な危機感からだ。要は、「あほみたいに残業して、しかもキャリア中断もできないんじゃ、いつ女性は子供産むんじゃ」という問題と、「そんなにあほみたいに残業する夫を持つ妻が、働きながら子育てなん

          働き方改革

          採用パンフについて

           大変恐縮だが、各省庁の採用パンフを見て皆さんはどう思うだろうか?責任ある仕事をこなしていて素晴らしい?輝かしいキャリアだ?私は「よくもまぁ恥ずかしげもなくこんなこと書けるな」である。  別にこれまでの仕事を誇ることや、積み重ねてきた経歴を披露することが悪いわけではない。ましてや、仕事へのやりがい、達成感、そうしたものを披露することが悪いわけでは決してない。 最も恥ずべきは、「あたかも天職のように仕事を語りながら、その実、過重労働とストレスで押しつぶされている」輩が、「学

          採用パンフについて

          野党ヒアリング

           野党ヒアリングがつらいのは、恫喝されることではない。極めてストレスフルで明らかに健康に悪いが、罵倒されても、恫喝されても、冷や汗をかきながら課長にバカになっていただければ時間が過ぎていく。いざ自分があのヒアリングの前面に立つのは想像もしたくないが、1時間~2時間、貝になるつもりで既存のラインを答え続ける覚悟をもてば、いつかは終わるのである。そもそも、野党ヒアリングで情報を初出するというのは、理屈としてもサラリーマンとしてもありえない。国民の声を受けて恫喝される野党議員様より

          野党ヒアリング