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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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2024年2月の記事一覧

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.02.2024

日本語訳ウクライナ東部において、ロシア軍攻勢の重点は、現在もアウジーウカから西方の一帯に置かれている。2024年2月17日にロシアはアウジーウカを制圧した。それ以降、この都市の中心部からみて、約6km前進している。

このアウジーウカ方面において、ロシア軍がいくつかの村落をすでに制圧しているのはほぼ確実だ。具体的には、ラストチキネ、ステポヴェ、シェヴェルネといった村落だ。これらの地点であげた戦術的

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.02.2024

日本語訳ウクライナでの戦争は、旧ソ連諸国とロシアとの関係を大きく変えた要因になっている。旧ソ連諸国における影響力の維持を、外交政策上の優先的重要事項であり、国内治安と経済的繁栄にとって極めて重要なものと、ロシアがみなし続けているのはほぼ間違いない。2022年2月以降、国によってまちまちではあるが、近隣諸国でのロシアの影響力は全般的に低下している。

ロシアがウクライナに投じているリソース、そして、

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.02.2024

日本語訳2024年2月23日、ロシア軍のA-50U“メインステイD”が、ロシア領クラスノダール地方上空のアゾフ海南部での任務中に撃墜された。ほぼ間違いなく地対空ミサイルによるものと思われる。ロシア軍が自軍航空機を守ろうとした際に、不注意に自軍機を撃墜してしまった可能性はないに等しい。

この出来事は、ここ2カ月で2回目となるA-50の撃墜だ。ロシアがA-50という航空機をアゾフ海上空での任務に投入

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.02.2024

日本語訳ウクライナとの戦いの全期間、ロシアはエネルギーを武器として使おうとしてきた。ウクライナのエネルギー施設へのロシアの物理的な攻撃によって、ウクライナ全土で広範な戦力不足が生じた。その間、世界に向けて、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、国際的なエネルギー安全保障を掘り崩す目的で、エネルギー政策を利用してきた。

欧州へのガス放出量を削減することによって、そして、パイプライン経由の輸出を制限

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.02.2024

日本語訳2022年2月にウクライナとの戦争を始めた際、ロシア海軍(RFN)は黒海全域で、そして最も重要な北西エリアで、自由に航行できる状態を維持していた。伝統的な意味での海軍戦力を欠くウクライナがとった非対称的な代替策(各種誘導ミサイル・無人艇の投入)の成功ののち、RFNは自軍のリスク許容度の再評価を繰り返し迫られることになっている。ウクライナは陸上と海上での打撃行動を組み合わせることで、ロシア側

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.02.2024

日本語訳

ロシアは当初、ウクライナ侵略のために約130個の大隊戦術群を投入した。この戦力には、およそ1,300両の戦車、5,000両を超える歩兵戦闘車(IFV)と装甲兵員輸送車(APC)、そして少なくとも10万人の将兵が含まれていたものと思われる。

2年にわたる戦いのなかで、ロシアは開戦当初の構成戦力と同等の戦力を、場合によってはそれを超える戦力を失っている。ロシア側損失のうち裏付けのとれたも

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 23.02.2024

日本語訳

2024年2月14日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、「ロシア連邦軍に関する偽情報を拡散する」という罪、つまり、ウクライナにおけるロシアの戦争に対する国内批判派を沈黙させることを主に意図してつくり出した罪に関して、財産没収を認める法案に署名し、承認した。

これより2日前、ロシア連邦下院の「外国の干渉に関する委員会」は、ロシアにとって「望ましくない」組織指定範囲を広げることを求

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 22.02.2024

日本語訳

2024年2月14日にロシア大統領府報道官ドミトリー・ペスコフは記者団に対して、「特別軍事作戦は対ウクライナ作戦として始まった」けれども、「次第に西側全体に対する戦争という形態を示すようになってきており、この戦争は今や米国が率いる全西側諸国がこの戦いに直接的に関与するという戦争なのだ」と語った。この発言は、ロシア側が公式に用いる表現とおおむね一致している。この種の言説が求めている点は、

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.02.2024

日本語訳

ウクライナ南部ロボティネ作戦軸において、ロシア地上軍は地上攻撃を続けている。そして、その攻撃の激しさが増しつつある可能性も高い。このロボティネ方面は、2023年夏季の反転攻勢の期間に、ウクライナ側が奪還した場所だ。それ以降、ロボティネという村落はずっと最前線になっている。

この地区で作戦にあたっているロシア軍第58諸兵科連合軍とロシア空挺軍(VDV)は、ウクライナの反転攻勢の期間に甚

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.02.2024

日本語訳

この1週間でロシア軍はアウジーウカ市を制圧し、それとともに同市の北方に位置するコークス工場も押さえてしまった。アウジーウカ市とコークス工場はともに2023年10月以降、激しい攻防戦が繰り広げられてきたところであり、また、2014年以降、最前線の場所であった。

なお、ウクライナ軍はすでにアウジーウカ西方の防衛拠点に後退している。

アウジーウカ占領という戦果をすぐさま拡張するのに必要な

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.02.2024

日本語訳

ウクライナにおける戦争を公に支持するように迫る大きな圧力が、引き続きロシア国内の著名人に伸し掛かっている。今週、ロシア人のポップスターであるフィリップ・キルコロフが、ロシア占領下のウクライナ領内で負傷兵向けの慰問公演を行ったことが報道された。伝えられた話によると、キルコロフは、モスクワで12月に開いた「ほとんど裸の」パーティーに関するスキャンダルが公になったのち、クレムリンの「ブラック

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.02.2024

日本語訳

2024年2月15日にロシアの戦争支持派評論家は、黒海艦隊司令官ヴィクトル・ソコロフ海軍大将がその地位から外されたことを報じた。

ソコロフの前任者であるイゴール・オシポフとの類似性を踏まえると、ソコロフ指揮下においてウクライナがさまざまな艦艇の撃沈に成功したことに、今回の解任の原因がある可能性は極めて高い。ソコロフの指揮・指導の流儀もまた、彼の解任の要因になった可能性が高い。

ロシ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 16.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 16.02.2024

日本語訳

ロシア軍はドンバス地方での作戦を続けており、その主たる重点はアウジーウカという都市に置かれている。ロシアは2023年10月以降、この都市を占領しようと連携した作戦行動を遂行しており、この都市の分断を図る進撃を少しずつだが持続的に進めてきた。それに伴いウクライナ軍もロシア軍に対応するために増強されてきた。

アウジーウカは2014年以降、ドンバス地方の最前線に位置している。この都市を奪取

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 15.02.2024

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 15.02.2024

日本語訳

2024年2月14日、ウクライナ軍はロシア軍のロプーチャ級揚陸艦ツェーザリ・クニコフに対して、無人水上艇攻撃を敢行し、その攻撃に成功した。その結果、この艦艇が沈没したのはほぼ確実である。現状、ロプーチャ級10隻のうち3隻がウクライナ軍の攻撃によって撃破されている。

黒海艦隊(BSF)への兵站支援と、ウクライナでのロシアの戦争への兵站支援を行うために、この艦艇はかなり重用されている。こ

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