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近代に暗くなる農家の表情
アドリアーン・ファン・オスターデ《農婦》(1650−70年、個人蔵)
17世紀オランダの風俗画家のオスターデが描いた農婦の顔(上)。
それから2世紀が過ぎたゴッホの描くオランダの農家(下)。
民衆にとって、近代は過酷な時代であったことをうかがわせる。
フィンセント・ファン・ゴッホ《ジャガイモを食べる人びと》(1885年、ファン・ゴッホ美術館蔵)
日常生活の中の聖なる物語
ピーテル・ブリューゲル(父)『パウロの改心』(1567年、ウィーン美術史美術館)
パウロは生前のイエスの弟子ではなく、キリスト教徒を迫害する者だった。イエスの死後、イエスに遣わされた者として使徒になる。
絵はパウロが改心するシーンだ。キリスト教徒迫害に向かう途中、イエスの声を聞き、パウロは落馬し、一時的に失明する。その体験を経てパウロは改心し、イエスの使徒になる。
イエスの弟子たちはユダ
頑なな少女のような聖女
ディエゴ・ヴェラスケス《聖ルフィーナ》1630年頃、ロス・ベネラブレス病院(セビーリャ)所蔵
ヴェラスケスの描く聖女は、殉教者の印であるシュロの葉を持っていないとそれとはわからない。
左手に持つ陶器と右手のシュロがなければ、頑なそうな少女が描かれると思ってしまう。聖なる者としての遠い存在ではなく、自分の身近に存在する少女のように思えてしまうのだ。人物のリアルな実在感が、ヴェラスケスの魅力の