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四国めぐり旅

8月の初頭。私は、京都の五条から悠々とした足取りで京都駅に向かっていた。私は今から旅を始める。

京都駅までの道筋に面白いもがあった。ひたすらと寺院の掲示板に張り出されていそうな格言が並んでいるのである。人間関係についてや、人生観についてなど。そのジャンルは多岐にわたっていた。その中でも、個人的にかなり目を引かれたものは「友人も私の都合しだいで”アイツ”となる」という言葉だった。まずこの言葉を目にしたとき、寺院がこんなにも攻めた言葉を掲示するのかという驚きと、その寺院に対する逞しさを感じてしまった。なにか、この言葉を気に入ってしまったのである。そして心のどこかで、この言葉を気にいるという行為は、単なるエゴのためではないかという疑問が生まれたとき、私は無性に恥ずかしくも思えたが、その言葉が私の心に余裕を持たせてくれたようにも感じた。人に合わせ、左右され、生きていくことは大切なことで間違いないが、自分のマインドを保つことも同じぐらい大切なのである。そのことを再認識したのである。

そんなことを考えながら歩いていたら、京都駅に到着した。朝早くの京都駅は平日だということもあり人数は少なく、駅の建築構造とも相まってより開放的に感じることができる。まさに、旅の始まりに最適な地である。

時刻を確認すると列車の時間が迫っていた。朝食を食べていなかったため、2つおにぎりとお茶を買い、京都駅新幹線ホームの14番線に向かった。私はいまから四国に行く。

列車の中は自由席ということもあって子供連れが多い印象を受けたが、駅と同様にさほど混んでいる様子はなかった。久しぶりに乗る山陽新幹線の眺めでもみてようかと思ったものの、案外トンネルが多い。そんな、変わり映えのない車窓を眺めていたら、いつの間にか寝てしまっていた。

はっと目が覚めたと思ったら、またトンネルの中にいた。少しの間、目を閉じていただけだと思ったが、時計を確認すると案外時間が経っている。どうやら、ちょうど相生を通過したところらしい。危ないところだった。あともう少し寝ていたら岡山駅を過ぎてしまうところだった。路線の半分ほどがトンネルでこんなにも退屈なのに、ほとんどがトンネルのリニア新幹線は旅の思い出の一部になることができない移動手段となるのではないかと、想像を膨らませながら岡山に到着した。今度は、岡山からいよいよ四国に上陸する。


岡山からマリンライナーに乗り四国を目指す。マリンライナーの指定席、グリーン席も非常に面白い作りをしていて魅力的なのだが、今回は普通席で移動することにした。

マリンライナー たしか坂出で撮影

列車が瀬戸大橋に近づくと、わざわざ車掌さんがアナウンスで「これから瀬戸大橋を渡ります」のような親切な放送がされた。するとすぐに左右の車窓には海が広がり、瀬戸内海の景色をみることができた。綺麗な景色を楽しもうと思ったのだが、案外線路を囲む鉄骨が気になる。というのも瀬戸大橋は車道ー鉄道の階層構造になっていて、一番上の車道では眺めがいいのだが、1階下の鉄道ではあまり開放感を感じることができない。いつの日か車道で瀬戸大橋を渡ってみたいと思った。

階層構造の橋を渡るのは初めてに経験だったので、景色よりも橋に興味が移っていた。橋に設置された線路に目を移すと、海が見えることに気がついた。橋の底がメッシュ構造になっているのである。おそらく橋の軽量化を図るためとだと思うのだが、ここでの保線作業は大変そうだ。線路にさらに目をやると、まだまだ空間がある。これは、新幹線のために作られたものだとどこかで聞いた気がする。四国に新幹線を通す計画があるらしい。しかし、依然として着工には至っていないそうだ。

ガコンガコンと鉄橋を渡る音が10分ほど響いたと思えば、四国が見えてきた。いよいよ四国に上陸する。橋が終わったかと思うと、高速道路のジャンクションのような高架橋を渡り、坂出駅についた。そして、お目当てのフリー切符を購入し、本日の目的地である高松に向かった。

今回使った切符


京都タワー



 


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