女の子が「テロリスト」になる件 ナイジェリアのボコ・ハラム

▼栗原心愛さんの死をめぐって、児童虐待の新聞記事や雑誌記事のスクラップを読み返していると、少し前の記事が、いくつか見つかった。もっとも、見つかった記事のテーマは児童虐待に限らないが、せっかくなので紹介しておきたい。

▼きょうは、2017年11月10日付の東京新聞1面コラム。

「イスラム国」のニュースはめっきり減ったが、一時期は、世界中の眼が「イスラム国」の興廃に注がれていた。しかし、今も「テロ」は続いており、さまざまな事情で「テロリスト」になる人がいて、その「テロリスト」のなかにはこどもも多い。

有名なのは、ナイジェリアのボコ・ハラムだ。

▼以下のコラムで取り上げられた「死にたくないのに、自殺を強(し)いられた子どもたち」の話は、「自殺テロ」のニュースに馴(な)れてしまった筆者の目に、強烈に映った。ニューヨークタイムズの記事を紹介したコラム。

〈ナイジェリア北東部に住むハディザさん(16)は、かの地でテロを繰り返すイスラム過激派組織ボコ・ハラムに誘拐された。幹部に「最も幸福な所に行かせてやる」と言われて、彼女は帰宅できるのかと喜んだが、違った

 ▼爆弾が付いたベルトを腰にきつく巻かれ、人混みの中で自爆するように命じられた。そうすれば、多くの人の命を奪うことになる。一緒に自爆を命じられた十二歳の少女に「どうするの?」と聞いたら、こう答えたそうだ。

 「どこかにひとりきりになって、自分を吹き飛ばす」(中略)

 自らの機転と周囲の助けで自爆をまぬがれたハディザさんらの貴重な証言を集めた米紙ニューヨーク・タイムズの報道によれば、人混みを避け、自爆しようとする子も少なくないそうだ

 ▼自爆テロで何十人もが犠牲になれば、ニュースになって、世界中で報じられる。しかし、他人を巻き込まぬため、たったひとりでの死を選んだ少女たちのことは、まず報じられぬ〉

▼本誌の読者にはそんな人はいないだろうが、「テロ」を起こした人をすべて「テロリスト」のくくりで済ませる知的生活は、愚劣でくだらない。

(2019年2月17日)

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