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深夜、堕落したブルーライト、ぼくら勝手に孤独になって輪廻。

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散文詩/自由詩まとめ。
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#夏

光るのやめてよSummer Trash

嫌いって言われないから弾けないままで萎んだ水風船は

Bless you. 線香花火落ちたって嫌いな女は嫌いなままで

飲み込んだ西瓜の種が芽吹かないお腹を毛布で大事にまもる

君のことわすれるなんてビー玉を取り出すくらいPiece of cake 

我々は宇宙人だし恋なんてやめる扇風機首振らないで

 

 

グッナイ・マイ・サマー

グッナイ・マイ・サマー

 海がひかる、
 ナツの棲む、とおく淡い海が。
 
 

 
 茹だるような暑さにうなされるたび見知らぬ海辺のまちの夢を見る、街灯のひとつさえないくせに、やけに明るい、けれど、いつだって夜のまち。明るいのは星がみんな落ちてきたみたいに、ううんもっと、一晩中、水面で花火が咲いているみたいに、海が光っているからだった。
 そのまちでのぼくはうんと自由で、清潔な木製の家を出て、ちいさな市場で蒼いりんごを

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きっと入道雲のルサンチマン

頭痛、
頭痛、
怠惰、
柑橘の飴のにおい、
雑貨屋でかわいい灰皿を買って、
アクセサリーを入れて困らせたい、
食べたことのないお菓子がスーパーから消えた、
(わたしにとって)
明日きえてしまっても困らないもろもろ、
(だれかにとって)
明日きえてしまっても困らない、
わたし、というもの。
  
 
白いTシャツ、汚してあげないとかわいそうなくらいだね、雲ひとつない空がほんのすこしこわい、完璧主義な

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ゴーストタウン・ラブストーリー

愛以外どうでもいいけど、愛以外いらないわけじゃない。世界のど真ん中にいるのがわたしなのか君なのかってはなし、うそをついてまでおだやかでいたくないって永遠の清潔さを、例えば成長とか、そういうくだらないもので片付けるなら、ナイフを持ってること、せめてちゃんと自覚しあおう。 

教えてほしかったのはナイフをするどく、するどく研ぐ方法だけで、分別して捨てる方法なんて一生知らなくていい、もしものとき困らない

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ロストサマー・バタフライ

 
あおいろの蝶がはばたくと君の匂いがするから、ぼくは夏に置いていかれるんだと思った。
 
 
こころ とか
君を構成するもの
窓みたいなかたち
クリーム色の木の枠の
窓みたいなかたちをしている
 
適切な風がふく夕方にそっと
ぎいと音を立てながら開け放ってみる
あの蝶がそういう、そういうものだったとして
あの色は空からうばいとったのだと思った
もう今日はこんなにあかいのに
君の匂いをおもいだすの

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真夏のうたの蜃気楼

 
柔い冬よりも暗い秋よりも古い春よりも夏のほうがよほどさみしいってこと、理解しているひとと恋人になりたかった、夏の間だけの恋人、海にも行かない、クーラーの下だけの恋人、扇風機に向かって宇宙人の真似をするわたしを、馬鹿にして笑うだけの恋人、夏の終わりにいなくなる、にゅうどうぐもみたいな、恋人。
 

夏がこわいのはなにもかも輪郭が確かだからで、葉っぱの一枚もきみの影も拾いあげた蝉の抜け殻までわたし

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