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創作大賞対象非対象かも知れん話し by黒影紳士 subtitle「見えない現実」2頁※title画に訂正が御座います。第四頁にて答え合わせして下さい(大体予想付きましたね^ ^)

※審査員の方々、ベストレビュアー狙いの方は此処から先を読むのは賞とは何も無関係なものだとご了承の上、どうぞ。

#創作大賞2024に応募していた筈なのに   #ミステリー小説部門

「其れよりサダノブ……何故、なんちゃってミステリー探偵部門は出来ないのだ?こんなに此のご時世、多種多様な探偵がいるのに。探偵部門は何時、何処に出現するのだ?」 

 黒影はこんな緊張感が張り詰めた場面でそんな事を言い出すのだ。

「今?今気にする事ですか?未だ少ないですよ、増えたと言っても未だ未だです!そうやって、何でもいちゃもん付けるところから始めるの、良く無いですからね!幾ら我儘キャラでも度が過ぎます!」

 と、サダノブの癖にサダノブの方がいちゃもんを付けているではないか。

「ちょっ……ちょっと良いですか?」

 サダノブが突然、そろーっと手を挙げる。

「僕は実にシンプルな疑問を聞いただけだ。……何だ、サダノブ君」

 黒影は面倒そうに言う。

「何だじゃないんですよ。其れはこっちの台詞です。ナレーションの人、何か贔屓してません?さっきから」

 などとサダノブが言い出すではないか。

「何がだ?昔から変わらないではないか」

 と、黒影はさして考えもせずに答えた。

「じゃあ……何で俺だけ、〝サダノブの癖に〟と言うんです?失礼でしょうよ。昔はそんな風に言いませんでした!」

 サダノブはそうきっぱりと言い張るのだ。

 ではナレーションがお答えしよう。
 読者様がそう思うであろう想定を踏まえた結果であり、サダノブが主人公で我儘な黒影より上位意見を述べると、探偵社的なパワーバランスが崩れるからである。
 よって此れは差別的な意味合いは無く、正しい裁量と解釈して頂きたい。
 以上、解説でした。

「……だ、そうだ」
「えーー!!不服申し立てしたいです」

 無理です。読者様の総意です。

 此のナレーションにサダノブはガクンと項垂れた。
 黒影から視線を落とし、下を見た時……見てしまった。
 瞳孔が開き切った真っ黒な瞳の、白目だけが妙に闇に浮き上がり、此方を向いているではないか。

「先輩……足でマイクスタンド……此奴を踏んずけて上げたり下げたりしていたんですか?」

 思わず巫山戯半分だった声も薄れ低いトーンになる。
 顔は真顔で其の儘フリーズした様に黒影を見詰め、身体中の全てが時を止めた様だ。
 凍り付いた空気の様な物が、信頼し合っていた筈の二人の間に走る。

「そうだよ。僕は事もあろうかご遺体を足蹴にしていた。二頁…そろそろ一千文字。ご遺体の在りかは”僕の真下”が、事実であり”真実”で間違いでは無い。だが、サダノブには大変がっかりしている」

 一千文字にして黒影は未だ信頼関係が薄いのかと、溜め息を吐いた。

「現場にいる。被害者に触っている。他に誰もいない。だから僕が犯人か?そんな陳腐な推理は聞いた事も無い。其の程度で犯人が分かるならば、其れこそ風柳さん基、警察なんて必要無い。良く僕の足元を見ろ」

 と、黒影は己の足を指差す。
 サダノブはそろりと闇の中に潜る様に、目を凝らし確認する。

「あれ?靴に調査用のビニール履いてる……」

 サダノブが豆鉄砲を食らったみたいな顔をして見て来るので、黒影は思わず笑ってこう答える。

「他に誰もいないと、勝手に思い込んだのはサダノブの方だ。
言っただろう?風柳さんから連絡があったんだ。
”現場を見てくれないか”とな。既に周りは鑑識が調査していた。僕等は珍しく初動捜査では無い。既に此処は調べ尽くし済みなんだ。何をしようが依頼された限りは、僕のやり方でやらせて貰っているだけだよ」

そう、黒影は言うのだ。

「えっ?他には誰も……何の音も声も、先輩のしか聞こえ無かったですよ?」

 サダノブは周りを見渡す。何処も薄暗いが、誰かいる様な気配は感じられない。

「最初に言っただろう?此処はライブハウスだ。音響が漏れない様な壁になっている。
別室で風柳さんも既にも到着し、今はオープン前にいたスタッフ全員に事情聴取を取っているよ」

 黒影がそう説明すると、其れで気配がなかったのかとサダノブは納得した様だった。
 けれど少し間を置いて、

「此の一千文字内にも何かが解き明かされる……そうでしょう?
話が逸れた様ですが、だからって何で先輩がご遺体を踏み付けて、マイクスタンドまで乗せて遊んでいるのか!
其方の方が重要でしょう?何をしているんですか!」

 話を逸らされてはいけないと、サダノブは首を横にブルブルと振り、己の頬を軽く両手で叩き、黒影に聞いたのだ。

「先程から”冷える、寒いだ”のと、お前も感じていた様だが……ハッキリとここは言って置こう……。此のご遺体な……」

 黒影はマイクスタンドと一度退けて、下のご遺体を凝視した。
 サダノブはまさか黒影が殺したとは言うまいと、緊張して唾を吞み込み喉を鳴らす。

「……聞いて驚くなよ……。

…………キンキンに冷えてやがるっ!!」

 と、黒影が言った……。
 確かに言った。
 ……どちらかと言えば言いたかったのだろう。

「先輩……そうですねぇ。こんな熱い日は冷えたビールでも欲しくなる……って、ギリどころじゃなくて其の儘じゃないですか!」

 と、サダノブは言うのだが一方の黒影は何も気にもせず、

「何か変だったか?僕は、感想を述べたまでだ。
此の舞台会場がやたらに冷える理由は……今回の仏さんが、凍って剝がれない変死体なのだよ」

 二千文字突破にして現れた事実は意外な物だった。

「へ?剝がれない?」

 サダノブは何の話か見えなくなり戸惑う。

「此のご遺体……調べて何とかして欲しいと、風柳さんを通じて、署長からの依頼だ。
そんな事を言われてもキンキンに冷えてやがる!……のだから、さっきからマイクスタンドや足で転がそうと、必死なのだよ。
此の僕が……こんな肉体労働をしなきゎいけないなんて!信じられないよな?サダノブ」

 などと気怠るそうに黒影は、苦虫を噛み潰した様な顔で言うのだ。

「相変わらず肉体労働、苦手ですよね。
世の中の先輩の代わりに肉体労働している人に感謝しないと罰が当たりますよ」

 サダノブはそう言い乍らも慣れて来た事もあり、ご遺体を良く見てみようと蹲み込んだ。

「其れより先輩。何で電気を付けないんですか?此れじゃあ暗くて見辛いですよ」

 当然サダノブはそう言った。

「ライブハウスのライトはスポットライトだから加熱し易い。
温度が上がれば、氷が溶けてしまう。
此の氷が能力者の物であれば、殺害凶器や証拠になる。
先ずはそうであるか否か調べてからで無いと、照明を点ける訳にはいかない。
そうだな……”せめて”……と、言う程度にしかならないが……」

 黒影はそう言うと何かを思い出した様だ。

 コートの下のベストに差したボールペンを捻り、小型のライトを点ける。

「本当に……”せめて”程度ですね」

 と、サダノブは余りに小さいライトなので残念そうに言う。

「此れは小型カメラを改造して、ライト迄付く様にしたんだ。カメラは暗視撮影かの……」

 自慢の改造した逸品を馬鹿にされ、黒影は拘りの箇所を説明している途中で、何かに気付き言葉を切る。

「そうか……僕とした事が。サダノブのタブレットに此の暗視カメラで撮った映像を転送すれば良いんだ。
サダノブがバーカウンターで其れをチェックすれば良い。
僕が適当に此のご遺体の背面周りを此のボールペンの小型カメラで撮るよ。
サダノブは僕が終わって行く迄にカラー化しておいてくれ」

 そう黒影は指示を出す。

「分かりました。やってみます」

 サダノブはバーカウンターへ走ると、ダウンライトで照らされたテーブルにタブレットPCを置き開くと、黒影に準備が出来たと手を上げた。
 黒影は其れを確認するなり、ご遺体周りを小さなライトの灯りを頼りに一周まわる。

 何か見付かりそうな気がしないか?
 だって、三千文字だからね。

 黒影は念入りに仰向けに凍ったご遺体と床の間を撮影すると、サダノブのいるバーカウンターへと行く。

ちょっとレトロな備え付けバーをイメージしてみた。



「巫山戯てキンキンに冷えて……とか、言ってはいたが、流石に喉が乾いた。冷蔵庫辺りに、ギネスはあるか?」

 と、黒影はサダノブに言い探させた。

「在った。俺も一杯だけ良いですかね?」

サダノブが聞いてみるも、

「お前はバイクだからダメだ。ジュースにしとけ。後……」

 そう言って黒影はカウンターテーブルを爪先でカツカツと軽く叩き、何かを催促するのだ。
 サダノブは、

「栓抜きはしたし……。ああっ!」

 やっと足りない物に気付いたらしい。
 もう一度冷蔵庫を確認してみると、タッパーの中に切った檸檬が入っている。
「良かった〜。カットしなきゃいけないかと思った」
 サダノブは安堵してタッパーからカット檸檬を一切れ頂戴し、黒影の黒ビールの口に軽く差した。

「サンキュー♪やっぱり檸檬が合うよな」

 と、黒影は檸檬を取り搾り、瓶に果汁を入れる。
 サダノブは其の間にオレンジジュースを飲み乍ら、カラーに出来上がった画像を見せた。
「檸檬と言えば文豪、中原中也を思い出すな……」

 そう言うと、黒影は残った檸檬を少しずつ齧り、画像を確認する。

「此処だ。拡大してくれ」

 動画を流すサダノブに黒影が言った。
 拡大され止まった画像を指差し、黒影は檸檬を齧るのを止め話す。

「ご遺体の周りにも多少氷が広がっている。さっき、僕がマイクスタンドで遊んだ時に、端が割れたんだ。
此の割れ方と言い、小さく砕けた箇所がやや溶けて水になっている。普通の氷だな。
然し何故背中にだけ何だ?
被害者を殺害した犯人が氷を使う能力者だったと仮定しても、違和感がある」

 黒影はそう言うと黒ビールをグビグビと美味そうに飲んだ。

「良いなぁー。仕事中だって何時もは注意する癖に。……で?違和感って?」

 と、サダノブは聞いた。

「一杯だけだよ。
……犯人がもしも氷使いで動きを封じる為に、何かの拍子で倒れた被害者を瞬時に凍らせたならば、背面だけでは無く上部も普通は凍らせた方が確実だ。
もっと確実なのは、其れだけ瞬時に凍らせる事が出来るならば、手足を凍らせた方が効果的だと誰でも分かる。
背中……背中と言えば、僕みたいな物か」

 黒影はそう言うと、小さくニタリと笑いまた黒ビールを飲んだ。
 そうだ。此れは……あっという間に四千文字だ。
 簡単に分かる。

「まさか……」

 サダノブも流石に気付いた。
 此の「黒影紳士」の世界の上部に、とある「世界」が存在する事を知っていたからだ。
 其の「世界」には通常の能力者よりも、遥かに強い能力者が住んでいる。

 人は其れを神だと思いがちだが、其れも違う。

 神に見える上層の上に「創世神」と言う神が存在し、其れと同じくして今読んでいる「読者様」が存在し、其の上には多種多様な別の神がいるのだと、黒影は知っている。

「そうだ。”正義再生域”と呼ばれる世界の者だ。
彼等の世界では翼を持つのが当然。
持てない者は死、在るのみだ。
氷のエレメンツの翼を持つ「片翼の天使」と呼ばれる人種が、如何やら此の世界に紛れて暮らしていたらしい。
翼を持つ者を殺害出来たとなると……相手も「片翼の天使」で間違い無い。
そんな二人が争ったならば、こんな小さなライブハウスなど一溜まりも無い。
周りに争った形跡も無い。
風柳さんに連絡だ。通常の氷で出来た翼だ。
剥がしてご遺体を確かめるしかない」

 黒影はビール瓶から手を離す。
 一気に緊張感が増した。
 能力者犯罪に強い「夢探偵社」とは言えど、相手が悪過ぎる。

「風柳さんに報告しました。氷、溶かして良いですって。
後、電気も付けてくれるそうです」
 サダノブがスマホの通話を切ると、黒影に伝えた。
 其の直後にバンバンと大きな音を響かせ、灯が一列毎に点いて行く。
 舞台は彩りの灯が交差し、客席は白のダウンライトで照らされた。
 ライブハウスと言う特性から、スポットライトが多く、隅々と迄は行かないが無いよりは随分見える様になった。
 黒影は勿論、食い入る様にご遺体の元へと引き付けられる様に向かうのだ。
 「真実」を渇望し早く見たいと真っ赤に瞳の色を変えて……。
 ライブ用の強いエアコンで、白いライトには霧の様に靄が掛かる。
 そんな霧さえ、もろともせず……まるで切り分ける様に漆黒のコートを揺らし、カツカツと靴音を弾ませた。
「さぁ……次に見える真実の華はどんなものだろうね」
 黒影はそう口遊むとさぞ楽しそうにニヒルな笑みを浮かべるのだ。
「先輩!だから、ご遺体の前でるんるんしたら不謹慎ですって。また風柳さんに怒られますよ!」
 サダノブは黒影の後ろ姿をタブレットを持ち小走りで追い、注意した。
「何を言っているんだ。今僕は、読者様含む総意でそう思いニヤッと笑ったのだよ」

 だって……

 五千文字だからねぇ……。

____

完結迄鋭意作成中。
ただ今ラスト一歩手前ぐらいです。
完結迄は書きますのでご安心下さい。

第一頁におきましては、思いもよらぬアクセスやスキの応援を承り、誠に有難う御座います🎩🌹

第四頁製作中に思いもよらぬ馬鹿げた問題が発生しました為、第一頁でも記しました、此の物語は現実時間と共に進行する為、もうご察しとは思いますが、第四頁までは”大賞に応募した雰囲気”でいさせて下さい。

そんな理由から後は、noteとX両側からの読者様が気付いて読める間隔が欲しい為、通常のまったり更新とさせて頂きます。

※次頁が更新出来ましたら、次頁へのリンクを此処と、第一頁下に貼ります。


続きの第三頁を読む↓

お賽銭箱と言う名の実は骸骨の手が出てくるびっくり箱。 著者の執筆の酒代か当てになる。若しくは珈琲代。 なんてなぁ〜要らないよ。大事なお金なんだ。自分の為に投資しなね。 今を良くする為、未来を良くする為に…てな。 如何してもなら、薔薇買って写メって皆で癒されるかな。