見出し画像

東京から離島へ、「人と人との関わり」から見えた先には。

東京で新卒1年目を過ごし、海士町に来島。
新たな暮らしと仕事から彼女が得たものとは…。

島根県の離島、隠岐島前地域で大人の島留学・島体験に参画した皆さんの来島前・来島後、そしてこれからについてお届けする「私、島で働く。」
来島のきっかけから島での仕事・暮らし・自分自身の変化など
1人1人のストーリーをお届けしています。

R5年度の大人の島留学生として海士町に来島。
海士町立海士中学校に勤務する関根彩乃さんにお話を伺いました。

関根彩乃さん
取材当時24歳 東京都出身
R5年度大人の島留学生として来島


新たな出会いをもとめて

社会人1年目は保育園の栄養士として給食をつくっていました。
仕事は楽しいこともあったけど、このままだと仕事のスキルが身についたとしても、人間的に成長できるかな?って考えることが増えて、悩んだ結果辞めようと思いました。
次の仕事を探していたんですけど、栄養士にするか別の仕事にするかで悩んでいて...。

もともと地域おこし協力隊に興味があったから「あえて違う世界にいってみてもいいかも」と調べていたら大人の島留学を見つけました。
ほかの地域おこしの制度だと同期が少ないけど、大人の島留学だと同時期に色んな仕事をしている人と出会えるところがいいなと思って決めました。


子どもたちと「近い距離」で働きたい

新卒1年目の時はコロナも流行っていたのと、保育園の方針でほぼ1日中調理室にいることがほとんどで、積極的に子どもたちと関わる機会が少なくて...

自分の中ではもっと子どもたちと関わりたいなと思っていたから大人の島留学では「教育に関わる仕事がしたいです」と伝えました。
小学校と中学校、給食センターを提案していただいて、最終的には「子どもたちと近い距離で働きたい」と海士中学校で働かせていただくことになりました。

勤務先は海士中学校

2年生のクラスに入らせてもらって。
国語・数学・理科・社会・英語の授業で、困っている生徒がいたら先生の言ったことをくり返して伝えたり、問題を解くときに一緒に考えたりすることが主な仕事です。

先生方からは、「困ったときは自分から困ったって言えるようになってほしい」という話を聞いていたので、なるべく生徒たちから「困っています」っと言ってもらえるように試行錯誤しながら授業のサポートをしています。
あと、部活にも出させてもらっていて、ソフトテニス部でラリーや球出しなどをしています。

自身の経験をいかし、部活にも参加

「こういうのをやってみたいのですが…」とお願いしたことがあって、海士町に住む若者の仕事紹介をさせてもらっています。
この仕事紹介は職員室にいる時間も「なにかできないかな?」と思ったことがはじまりです。

大人の島留学生だからいろいろな場所で働いている人とも出会うし、「どんなことを考えてお仕事をしているのか」、「どういう想いで海士町へ来たのか」を中学生に伝えられたらいいなと思って、教頭先生に相談して実現しました。

先生方からは「みてるよー」、「次は誰なの?」って言ってもらえたり、教室に貼らせてもらっているんですけど、休み時間に生徒たちが読んでくれている姿を見るととても嬉しいです。

自作の仕事紹介


人と人として関わる感覚

中学校で働いて、印象的な出来事はいっぱいあります!
子どもたちから学ぶことも多くて…友だちが困っていたら絶対に助けるし、授業でクイズをやったときもすごく楽しそうで!(笑)
クイズに当たったら喜ぶし、友だちに負けたら悔しがる。
そういう些細なことも全力で楽しむ姿がすごくいいなって思います。

部活でいうと、教わったことをノートにまとめて練習している子がいて、その子もぐんぐん上手になっていくし、すごく頑張って努力している。
成長している姿を見ると嬉しいです。

生徒と一緒に雪合戦

あと、職員の方もほんとうに優しくて、一人ひとり違う魅力があります。
先生方がすごく子どもたちのことを考えていることが伝わる。
悩んでいることがあったら絶対に見放さないし、しっかり寄り添っていて、いけないことはちゃんと言葉にして伝える。
人として大切なことを思い出させてもらいました。


一人ひとりが主人公

島に来てみて、人がやさしいなと思います。
東京だと良くも悪くも人がたくさんいる分、一人ひとりが見えにくい。
島では「○○ちゃんのお母さん」じゃなくて、「○○さんって」名前で知られているのがすごくいいなと思って…一人ひとりがはっきり見えるというか。

それと、暮らしを楽しんでいる人が多いなと思います。
近所の方に海遊びに連れていってもらったり、裏山を案内してもらったり、商店の方とお話をしたり。
仕事以外の部分で楽しむ環境に混ぜてもらうことが多くて、そこが東京との違いを感じるところです。 

案内してもらった海遊び

島に来たから取り戻せたもの

商店で働く93歳のおばあちゃんと、もうすぐ離島する話になって、「また会いにおいでね、あんたの子どもを見るまでは死ねないよ」って言ってもらえて嬉しかったです。

何回か帰省したタイミングにも地区の方から「元気で、帰っておいでよー!」って、言葉からやさしさが伝わってくる。

同じ地区のシェアハウス同士でも、大人の島留学の研修がある日は10人で集まったり、誕生日会をしたり、友だちといえば友だちだけど「仲間」って感じです。

同じ地区に住む「仲間」たち


1年の暮らしから築けた幸せ

もともと、栄養士を目指した理由は食事を通して誰かに「幸せだなー」って思ってもらいたかったから。
でも島に来て、食事を通さなくてもいいのかなって思えるようになりました。
それは、海士町で暮らしてみて、人と人との関わりのほうが自分は好きなのかもしれないってことに気づいたから。
なので制度終了後は、島を出て過去に何回か受けようとしていた保育士試験に挑戦することにしました。

やっぱり人は素敵だなということを思い出させてもらった。
中学校の人にも、今住んでいる地区の人にも、この恩は忘れません。

新しい世界と優しい人々が待っている。
島が自分に合うなって人がすべてじゃないけど、合わなかったとしても自分の価値観が知れる場所だと思います。


(R5年度 大人の島留学生:渋谷)

LINK


この記事が参加している募集

転職してよかったこと

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?