人に支えられて生きている。小さな積み重ねで、私も誰かを支えたい。
沖縄の大学に通う4年生。オンラインでゼミを受けつつ、島体験に参画。「公務員になってインフラ整備に携わりたい。」普通の学生生活では見れない現場を見れた、と語る彼女の3ヶ月間とは?
今回は、R5年度島体験4-6月生として海士町に来島。
島内のインフラなどに携わる環境整備課に所属していた、岩田佐和子さんのインタビューをお送りします。
来島から3ヶ月。離島直前の岩田さんに、海士町での3ヶ月間の島体験について、聞かせていただきました。
大学生のうちに何か一つ、挑戦できることを。
就活手前3年生の終わり頃、地方公務員試験を受けようと考えていました。
ただ、大学に通った3年間、コロナ禍で何かチャレンジすることができなかったなぁと、心のどこかで引っかかっていて。
「大学期間中に何か一つ挑戦したい」という思いがありました。
たまたま同じ大学の先輩や同級生が、島体験に行っていたことを聞いていて。
「いろんな経験ができていいよ」とおすすめしてもらいました。
調べてみたら、役場でも働けるんだ!と知って。
大学のゼミはオンラインで受けつつ、島暮らしをしてみる。自分の知りたい公務員の世界を知れるかもしれないと思い、今回の参画を決めました。
大学の先輩は地産地商課に所属して働いていて、同級生は隠岐國学習センターで働いていたと聞いています。周りで2人参画していたので、さらに行きやすく、背中を押されたのも今回参画した理由の一つです。
「島で勉強は捗らないかな…」と思っていたら、
まさかのシェアハウスみんなで黙々と勉強タイム。
公務員試験は島体験終了後に受ける予定なので、島にいる間も勉強は続けていました。島に来て勉強はできないかな?と思っていたのですが、むしろ逆。
勉強のやる気に繋がることが多くありました。
自分の性格的にも、島の暮らしはすごく合っていて。生活習慣も良くなるし、実際に公務員の仕事に関わっているから、公務員試験に向けて勉強しよう!って意識も出てくる。
行政法とかを勉強していて、仕事の中でその知識を使えたり、それがすごく楽しくて。こんなこと、普通に生活していたらありえなかっただろうなと思いました。
シェアハウスでみんなで黙々と勉強する時間も多くて。
大学生が4人いて、みんな勉強したり、本を読んだり。リビングでみんなで何かしている時間が多かったです。
おかげで精神も安定して、生活も安定して、仕事も勉強もやりやすかったです。
シェアハウスみんなとも仲が良くて…離れるのが寂しいです。
インフラに携わりたいという思い、将来の夢へのヒントになった。
「インフラ」という生活の中で大事なものを支えている部分に携われたら、と思っていたので環境整備課を希望しました。
最初に「すごい行政っぽいけど大丈夫?」って聞かれて。でも逆にそういうところで仕事をする経験したいなと思っていたので、そこに決めました。
インフラ整備の現場の方たちを生活の中で見かけるたびに、感動するんです。感謝の気持ちが湧いてきて…。
道を整備するって、必要不可欠。本当にありがとうございます…って。
今まではなんとなく、公務員になれたらいいかなぁと思っていたんですが、働いてみて行政の仕事って一人の力で重大な仕事をして、すごく多くの人を支えられるんだなって感じました。
「私も多くの人を支えたい。」島に来て、公務員になりたいと思う理由ができました。
「大きなコトを動かす仕事」と思っていたら、目の前の小さな箱を運ぶ仕事だった
実際に仕事がスタートして、最初の1ヶ月半は「海の駅松島」という場所で、牡蠣の洗浄をしたり、牡蠣の入った重い箱を運ぶという仕事していました。やっている時は…なんとなくで仕事をしていて。
でもその時に、「運んでくれてすごく助かったよ」と現場の方に言ってもらえて。
全然大きなことできてないな、と思っていたけれど、そう言ってもらえた時にすごく嬉しくてやりがいを感じました。
松島では、箱を運ぶ仕事から、定置網の回収まで行かせてもらいました。
こんな仕事、一生体験できないだろうなって思いました。
船はめちゃくちゃ揺れるし、私は立っていられない中、漁師さんたちはどっしりと構えて網をあげていて。
すごいかっこいいなと思って漁業にも興味が湧いてきました。
沖縄に帰ったら、沖縄の漁師さんたちがどういう形で働いているんだろう?
知りたいなと思い始めて。そんなところも将来、支えていけたらいいな、と思っています。
まずやってみる、気づいたら必死になっていた。
数ヶ月の期間でいろんな仕事を関わるきっかけをくれる大人の島留学・島体験って、本当にすごいなと思いました。
「そんなこともやらせてもらえるんですか?」ってことの連続。
最初は船に乗って働くと濡れるし、匂いもあるし少し大変だったけど…やってみると全然大丈夫でした。
周りで働いている漁師さんたちが、みんな一生懸命でかっこよくて。
そんな小さいこと気にしている場合じゃないくらい、必死になりました。
松島での仕事も、最初は私は参加する予定はなくて。大人の島留学生の2人が行く予定のところを「一緒に行く?」と誘ってもらって、行ってみようかなって。
人と話して、人と関わってコミュニケーションをとらないと起こらない出会いでした。
人と関わることって大事だなって思いました。
話をしていく中できっかけをもらえたり、思いもよらないところへ行けるのがすごいなぁって。
現場に行って知れること、目に見える達成感を味わった。
後半の1ヶ月半は役場で働きました。ここでもいろんなことをやらせてもらえて。いろんな許可証のテンプレートを写す仕事とかも、公務員の仕事。
どういう流れで契約が結ばれているのか、契約書から現場までの大事な部分を知ることができました。ここでも今やっている公務員の勉強と繋がるところがありました。
ほかにも、側溝塞ぐグレーチングの長さを計りに行ったり…
学生をしていたら一生出会えない場所に連れて行ってもらいました。
ほかにも、住民の方からの要望で「昔使われていた道をもう一度復活させてくれないか?」という話が来たことがありました。
草で生い茂っている道を、上司の方と印をつけて測りに行って。
何週間後かにその場所を見たら、道が完成していました。
住民の方の声を聞いて、自分で足を運んで測って、それを現場の方にお願いして。道ができていることに、感動しました。自分はこういう仕事がしたいんだ、ってその時に強く思いました。目に見える達成感がありました。
自分は小さいことしかできなかったのですが、公務員の縁の下の力持ち感をすごく感じられた。
改めて公務員になりたいと思う、印象的な出来事でした。
本当に周りに恵まれて、環境整備課の方たちもいい人ばかりでした。
お昼を一緒に食べてくださったり、いろいろ気にかけてくださって。
たくさんの学びに繋がりました。
島体験の3ヶ月、自分自身と向き合う時間だった。
実際に3ヶ月働いてみて、社会人経験があるほかの島留学生と自分には、少し差があるなとも感じました。
皆さんは、いろんなことに気づくのが早くて、いろんなことに積極的に参加していて。自分は内向的なのでガツガツ行けなかったというか…
どんどん進んでいく周りを見て、眩しく感じることもありました。
挑戦するって新しいことに繋がるし、自分のためになるだろうと実感することが多くて。自分に足りないことだなぁって。ちょっとだけ、そういう風にもなりたいなとも思いました。
でもそんな中で、自分自身の秩序を安定させていくことも大切な気がして。
断る勇気も必要なのかなって。それは自分の強みなのかなとも思いました。
この3ヶ月を通して、自分の内面の強さと弱さとも向き合えたと思います。
「そのままでいいんだよ」ってシェアハウスの子達も言ってくれて。
やるべき時にはやるけど、いろんな意味で強い芯を持って、このままの自分であり続けたいなとも思いました。
支えて、支えられて生きていく。
7月には沖縄に戻って、大学に復学して。公務員試験を受けて、働くことになるかと思います。仕事する中で、今回の経験をモチベーションにしていきたいです。
島に来るまでは、あまり人と関わらなかったのですが、こっちに来て、人と関わることって大事だなと気づきました。仕事でも生活でも、新しいきっかけが生まれるのは人とのコミュニケーションだなって。
断る勇気も必要だけど、断りすぎないで挑戦も大切にして、人と関わっていきたい。
島体験に来て、誰かのおかげで生活ができているんだ、ということにも気づくことができました。第一次産業など、実際の現場を見て、視野が広くなったように感じます。
たくさんの人に支えられているんだな、と実感できる3ヶ月でした。
自分ができることはちっぽけだけど。
その小さなことの積み重ねで、人を、社会を支えて行けたらなと思います。
▼小さな積み重ね。それが、きっといつか大きな形になる。
まずはやってみる、
その気持ちがあったからこそ知ることのできた現場、興味のある世界。
今はちっぽけに感じることも、
数年後、大きな形になっているような気がします。
いろんな体験を通して、自分自身と向き合える。
就職でも転職でもない、大人の島留学・島体験という選択が、
そんな時間を生み出してくれたのかもしれません。
(R5年度 大人の島留学生:柿添)
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