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#12|オシロが目指す、コミュニティの未来

コミュニティは、人生をより豊かにする居場所となるー。
「偏愛物語」とは、オシロ代表の杉山博一が「偏愛」を紐解く連載企画。
第12回は、コミュニティの可能性や最新のマーケティングトレンドについて触れておきたい。

2023年12月、フィリップ・コトラー氏の新著『Marketing 6.0』の原著が出版された。ファンベースの提唱者である、さとなお(佐藤尚之)さんから教えていただき、さっそく購入してみた。

内容をかいつまんでお伝えすると、マーケティング業界の第一人者であるコトラー氏は、これまでもマーケティングを活用して社会問題を解決する「ソーシャル・マーケティング」を提唱されてきたが、新著では社会問題の解決にはコミュニティをベースとしたソーシャルメディア(”Community‐Based Social Media”)が台頭してきている、と言っている。

これらが注目されている背景には、Facebook、YouTube、Instagramなどのビッグプラットフォーマーによるユーザーの個人データの取り扱いやプライバシーへの懸念が高まっているからだ。

そのため、同じ興味関心を共有できて、かつ信頼できる小さなコミュニティにユーザーが移行しつつある。ユーザーは、本当のつながりやユーザー同士の深い会話を求めている。とくにZ世代以降の世代は、オーセンティック(本物)、かつ信頼できる関係を求めているのだ。
そのため、消費のためのコンテンツやアルゴリズムに統治されたSNSを好まず、代わりに信頼できるコミュニティを好んでいる。

フィリップ・コトラー氏の新著『Marketing 6.0』


SNSを辞める動きが起きた

“Social Media”というと、SNSが世界中に普及し、いい点とよくない点のそれぞれが明らかになってきた。

ユーザーとしてのいい点は、オンラインで手軽に人とつながれること、誰でも情報発信ができること、興味・関心があるトピックの情報を集めやすくなった。

一方、よくない点としては、個人データやプライバシーデータの取り扱いへの懸念の増加、匿名性を利用した誹謗中傷の増加、デマ情報や詐欺情報の拡散などが上げられる。

こうしたSNSの懸念に対して、いくつかのハイブランドや海外セレブは先手を取っている。
2020年前後を境に、ボッテガ・ヴェネタさん、LUSHさんといったブランドやキーラ・ナイトレイさんらの海外セレブがSNSを辞める動きが起こったのだ。LUSHさんは、SNSの顧客情報の取り扱いや中毒性が彼らが目指す世界とは異なることから、公式サイトのSNSポリシーで具体的に声明を出している。

今の時代に求められる新しいSNS

OSIROは、SNSのいいところを活かし、かつデメリットを解消しているとも言える。

というのも、OSIROは興味関心の近い人々が集う会員制のクローズドコミュニティで導入されることが主であるため、安心安全が担保された場所で、自分が偏愛するモノゴトをテーマにオンライン上で人とつながれる。
互いに興味関心が近いから、自分が大好きなことを思いのままに発信して、同じ熱量の人同士で交流ができる。

コミュニティを主宰するクリエイター、ブランド・企業は、コアファンをもてなす大切な場所という認識があるのと、自分専用のプラットフォームとして持つため、個人データは守られる。つまり自分たちのサービスや活動の改善のために活かすことはあっても、決して悪用はしない。

また、入会ハードルを高く設定することができるため、良質なコミュニティをつくりやすく、誹謗中傷はほぼ起こらない。デマ情報や詐欺情報とも無縁だ。

企業の方から炎上が心配だという声をいただくが、これまでに8年以上、数百のコミュニティに関わってきたなかで、実は炎上したケースはほとんどない。

OSIROは、今の時代に求められる、新しいSNSとも言える。オウンドでプラットフォームを持つ時代になったとも言えるので、ぼくは「オウンドSNS時代の幕開け」と呼んでいる。

自分の居場所だと思える場をつくる

先の『Marketing 6.0』では、上述のように興味関心を共有できる小さいコミュニティ(”Community‐Based Social Media”)が台頭してきていて、そうした背景から、デジタルマーケティングにおいて次の5つのマイクロトレンドがあると言われている。

  1. コンテンツ

  2. メディア

  3. EC

  4. AI

  5. デバイス

これらは、どれもOSIROのプロダクトを構成する主要な要素である。まさにオシロが取り組んできたことでもあるのだ。

天命から生まれたサービスが、実は多くの人々に求められるところまで進化し、しかもコトラーさんの新著でもトレンドとして語られているから驚きだ。

こうした興味関心を共有できるコミュニティを通してぼくらが目指しているのは、自分の居場所だと思える場をつくること。
オンライン・オフラインをかけあわせて、自分らしくいられる場、偏愛してやまない大好きなことに熱中・没頭でき、偏愛する人々の孤独を解消するような場をつくっていきたい。

これまではその中心にクリエイターが立っていた。
クリエイターのもとにコアファンが集まり、コミュニティが生まれ、育まれていく。それによりクリエイターがエンパワーされ、コミュニティで安定収入を持ちながらコアな応援団を作っていく。これによりクリエイターの活動を継続することができるのだ。
それが日本の芸術・文化の発展につながると想い描き、行動してきた。

OSIROを通じてそれがある程度証明できつつある今、引き続きクリエイターらをファンが支えていくコミュニティも大事にしていくが、次の段階に進もうとしている。

社会的意義のあるコミュニティへ

それは、より社会的意義を目的としたコミュニティの創出だ。

たとえばある自動車メーカーの場合、単にそのメーカーの車種が好きな人たちのコミュニティをつくることも意義があるが、その大好きな車を楽しむ上で事故のないライフスタイルを実現したい。そうなると「交通事故を0にする」という目的のコミュニティがあってもいい。

またモータースポーツが大好きなファンは、モータースポーツ文化が継承されないと自分自身も楽しめないし、メーカーも存続できないので、「モータースポーツ文化を盛り上げる」という目的のコミュニティが必要になってくるだろう。

ぼくらは、こうした社会的意義のあるコミュニティを「パーパス・コミュニティ」と呼ぶ。
一社では実現できない、ブランドや企業が業界として抱える課題をファンとともに解決することがテーマであるのが特徴だ。ブランド・企業の課題やビジョンが大きいほど社会的インパクトもあるし、結果として多くのファンが賛同するだろう。

大事なポイントは2つある。1つ目は、ファンの自己実現をサポートすること。2つ目は、自己実現によるファンの満足度向上にとどまらず、ブランド・企業のパーパスを実現すること。

この2つの輪が重なることによって「パーパス・コミュニティ」がつくられる。そしてこの2つは、コミュニティだからこそ実現できることでもある。

ブランド・企業はファンをもてなすことファンに徹底的にギブすること。その結果、マーケティングが不要になるだけではなく、パーパスを実現することができるのだ。

我々は、こうした社会的意義・価値のあるコミュニティや、文化を継承・発展するようなコミュニティを創出していきたいと思っている。

次回は、実際にOSIROですでに生み出されている、社会的意義や価値のあるコミュニティや、ぼくがOSIROのコミュニティで一ユーザーとしての体験談を綴ろうと思う。

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