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エセ、エッセイ。

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思考、散らかり、海のように

思考、散らかり、海のように

海が好きだ。私は海と山の間にある田舎の町で育った。家、通学路、いつも近くに海があった。友人と海へ泳ぎに行ったり、釣りに行ったりするのが好きだった。辛い時は海辺で沈む夕日を見て、何度も生きる勇気をもらった。大学からは気軽に海へ行けないが、実家に帰ると毎日のように釣りに出かけている。魚を釣るのも、魚を調理して食べるのも好きだが、正直釣れなくても全く問題ない。ただ海辺で波の音を聞いて過ごす時間が好きだ。

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1999、大晦日

1999、大晦日

1999年は異様な年だった。3月には北朝鮮の工作船による日本領海侵犯があり、9月には国内初の臨界事故があった。また、6、7月の失業率が過去最悪を記録するなど、バブル崩壊後の不景気が続いていた。

そして何よりノストラダムスの大予言があった。7月に恐怖の大王が空から降りてくると言われており、起こること全てが「世紀末現象」と呼ばれていた。そのことはその年の漢字に「末」が選ばれていることからもわかるだろ

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日々の生活の中に檸檬

日々の生活の中に檸檬

 私は本を読むのが好きだ。ハリーポッターシリーズや守り人シリーズなどのファンタジーものから、太宰治などの純文学まであらゆるジャンルを読んできた。その中で今回は、梶井基次郎の「檸檬」という本について書こうと思う。
 この短編小説との出会いは、本屋でも図書館でもなく高校の教室だった。不真面目な生徒だった私は国語の授業中に、資料集や教科書の関係ないページを読んで暇を潰していた。資料集や教科書なら誤魔化し

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花火は刹那的だから美しい

花火は刹那的だから美しい

 今年の夏、4年ぶりに地元の花火大会があった。現地に行ったのは5年ぶりだった。4年前は少し離れたところから当時の彼女と花火を見たが、それまでは毎年のように現地で花火を見ていた。
 4年前は直前から腹痛に襲われて起き上がることもままならず、花火をあまり見れていない。世界で一番美しかった花火を見る彼女の横顔も、今はもうほとんど忘れてしまった。記憶とは本当にいい加減なものだ。また夏に帰ってくるから来年も

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アメ横の魚は不味いのか?

アメ横の魚は不味いのか?

 皆さんはアメリカ横丁をご存知だろうか。通称アメ横、それは上野駅周辺にある商店街のことで、服屋、居酒屋、鮮魚店など様々な店が立ち並んでいる。どのジャンルでも基本的に低価格で、なんとも言えない怪しい雰囲気を放っている。その雰囲気は行って感じてくださいとしか言えないが、一つ簡単な例を示そう。

この写真だけで、その雰囲気の一端は掴めるのではないだろうか。今回はそんなアメ横で魚を買って食べてみた時の話を

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多分初恋の話

多分初恋の話

 私は自分に自信がない。部分的に違うとも言えるが、基本的に自信がない。あるフリはいくらでも出来るが、根本的なところに問題がある。だから私はついつい人のために生きてしまう。これは偉いことでもなんでもなく、世のため人のために頑張っている方々と比べることすら恥ずかしい。どちらかというと、人のせいにして生きているという方が正しいかもしれない。
 そしてその悪い癖は恋愛において顕著にあらわれる。私は相手を尊

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