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アメ横の魚は不味いのか?

 皆さんはアメリカ横丁をご存知だろうか。通称アメ横、それは上野駅周辺にある商店街のことで、服屋、居酒屋、鮮魚店など様々な店が立ち並んでいる。どのジャンルでも基本的に低価格で、なんとも言えない怪しい雰囲気を放っている。その雰囲気は行って感じてくださいとしか言えないが、一つ簡単な例を示そう。

アメ横 魚 のサジェスト。悲しい。

この写真だけで、その雰囲気の一端は掴めるのではないだろうか。今回はそんなアメ横で魚を買って食べてみた時の話を書きたい。

 2023年1月、アメ横の魚がやばいという噂をなんとなく聞いていた私は、自分の舌でそれを確かめることにした。そしてふらふら歩き、目に入ったブリの子どもを購入した。2匹セットで大きい方は50センチ超え、価格はなんと1000円ちょうどだった。魚の値段がピンと来ない人は多いかもしれないが東京でそれは安すぎる。これはヤバい香りがするぞとワクワクしながら購入し、家まで氷で冷やして持ち帰った。

そこそこ体高もあって良さそうに見える。

 家に帰って改めてサイズを確認するとやはり大きい。これで1匹500円ならとてもお得なのではと思ったが、まだ油断はできない。魚は内臓から痛んでいくものだ。お腹をあけて臭いがきつい場合、その臭いが身にまで移っている可能性がある。恐る恐る腹を開けてみると…、臭くない!これは完全勝利だ!
と思ったがそれは違った。内臓が半分凍っていた。なんとなくわかる人は多いと思うが、ものを凍らせると臭いはかなり抑えられる。今回がまさにそれだった。そして、体の中が凍っていることで、私は衝撃的な事実に気づいてしまった。こいつら、一度冷凍されている、、!

 店先にポンと置いていたため、てっきり生の魚だと思っていたが、どうやら冷凍されていたようだ。しかも半解凍されていることを考えると、店先に置いて自然解凍されていた可能性が高い。これは鮮度がかなりまずいことになっているに違いない。しかし後戻りはできない。そして魚に罪はない。私は丁寧に捌いていった。

 全ての魚に対して行うわけではないが、魚というのは血抜きをすることが多い。血というのは臭いの原因になるし、放っておくと身の方に血が滲んでしまうからだ。もちろん今回の魚は血抜きなどされておらず、身に血が滲んでそこそこ臭っていた。また、冷凍したことで身が水っぽくなっていた。そこで私は柵にした魚をキッチンペーパーとラップで包み、ペーパーをこまめに変えながら1日冷蔵庫に入れておくことにした。こうすることで余分な水や血が抜けると思ったからだ。

冷蔵庫の上段は臭い魚で埋まった。

 次の日、とりあえず味わってみなければと私は思い、神に祈るような気持ちで刺身を食べてみた。(アメ横の魚を刺身で食べるのは絶対にやめてください。)
意外といける!若干臭みはあるものの、生姜で誤魔化せば食べれるレベルにはなっていた。しかし生で大量に食べるのは流石に怖いので、加熱調理をすることにした。薬味を使ったり、水に晒したり、高温で調理したりと臭みを飛ばす方法は様々あるが、この時は生姜と高温のダブルパンチ、唐揚げを作ってみた。

アメ横の魚唐揚げ、とにかく量が多い。

これが大成功。大量にできたが友人に分けるのは流石に怖かったため、一人で消費することになった。しかしそれでも良いと思えるくらい美味しかったし、お腹を壊すこともなかった。頭や骨の部分は出汁をとって味噌汁にしたりと、1匹目は2日ほどで大変美味しく完食することができた。

 2匹目についてだが、1匹目を捌いた後に、私は賭けに出ることにした。それは加熱せずに保存することだった。1人で消費するとなると、2匹目に辿り着くまでに時間がかかってしまうため、当初は加熱して保存しておこうと思っていた。しかし、私の好奇心がそれを許さなかった。1匹目を食べ終えるまでの3日間、エラと内蔵を抜いた状態で生のまま冷蔵保存することにした。

2匹目は頭つき、これは賭けだった。

 そして3日後に捌いてみると予想以上に良い状態。またここで私の悪い癖が出てしまった。生で食べてみたいという好奇心を抑えられなくなったのだ。そもそも自然解凍で鮮度が終わっていた魚を、買ってから3日以上経って生で食べるなど言語道断だ。まぁ結局食べるわけだが、これを見ている人は決して真似をしないでほしい。いや、する人いないか。

アラで出汁をとってしゃぶしゃぶに。

 刺身としゃぶしゃぶを食べたわけだが、これがとんでもなく美味かった。どうやら1匹目よりも状態が良かったらしい。更に3日間で良い感じに水分が抜けていたし、最後に酒や塩水などで処理したので臭みもなかった。あまりのおいしさに1匹の7割くらいを生で食べてしまったが、結局お腹を壊すことはなく平和に終わった。

 今回アメ横の魚を食べてみたが、思ってたよりは悪くなかったという感想だ。たった2匹なので検証にはならないが、一応安全な日本の商店街なので、食えないものが置いていることはそうそう無いだろう。しかし、この素晴らしい日本には新鮮な海鮮が手に入る場所がいくらでもある。今回かかった手間を考えると、もう少しお金を出して良いものを買うのが一番賢い選択だろう。賢い皆さんはそうして欲しい。気になったことがあったら、ぜひ私に連絡をお願いしたい。体を張って検証し、こうして記録しようと思う。誰に言われなくとも、もう1回くらいはアメ横の魚食べてみたいと思っている自分もいる。そんな時はまたお会いしよう。たとえトイレの中であろうとも発信を続けることを誓って、この文章の終わりとさせてもらう。

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