ユニクロの裏側にある”犠牲”を知る勇気はありますか?
30代になり、ファッション迷子になりました。
そんなときにあらわれた救世主が、漫画『服を着るならこんなふうに』です。
オシャレの理論を教えてくれるので重宝するんですよ。
そこでは、ユニクロが絶賛されています。
気が付けば、所有する私服の3割ほどがユニクロ製品になっていました。
私以外にもユニクロが好きな人は、大勢いるでしょう。
ユニクロの社長、柳井正氏は、日本で最も資産を持っています。
私は、
と思っていた私。
そんな私の考えをぶっ壊したのが、横田増生さんの『ユニクロ潜入一年』です。
こちらの本が書かれた経緯を簡単にまとめると、次のような具合です。
(詳しくは、下の記事で!!)
私はこちらの本を読み、
と複雑な気持ちになりました
あなたは、ユニクロの裏側にある”犠牲”を知る勇気はありますか?
あるなら、読み進めてください。
❶ 柳井氏のムチャクチャな要求
前述したとおり、柳井氏は日本で最大の資産家。
「相当、頭がキレる人だろう」と思うのですが、この本に出てくる言動に限っては疑問符がつきました。
ユニクロにアルバイトとして潜入した横田さんは、柳井氏のメッセージから始まる『部長会議ニュース』を読みます。
そこでは、ユニクロ最大の売上チャンスである感謝祭に向けた人手確保に関する驚きの記述があったのです。
想像してみてください。
客としてユニクロに行った際、
と声をかけられたら、驚きませんかね・・・・・・?
しかし、柳井社長はこの「スカウト作戦」がお気に入りのご様子。
読んだ瞬間「そんなワケねーだろ」と思いましたね。
この「スカウト作戦」に対し、横田さんは本書p282の10行目(文庫版ではp320の9行目)で鋭い改善案をしています。
と思える内容なので、ぜひ読んでいただきたいです。
また、『ユニクロ潜入一年』のp128-129には、『日経新聞』(2016年5月29日号)に掲載された柳井氏のインタビューも引用されています。
そしてこの実態を著者の横田さんは明らかにします。
私は大学生のときに、飲食店の厨房でアルバイトをしていました。
ランチタイムは修羅場のようで、途切れることなく続く注文票に2時間追われることもありました。
ただ、ピークが過ぎれば社員の方と談笑する時間もあったのですが・・・・・・。
ユニクロではそうもいかないようです。
❷ 現場で”使われる”人たち
「本部vs店長vs従業員」三つ巴の戦い
①安いぞ!割りに合わない時給
ユニクロの時給を知ったときの率直な感想は、
でした。
横田さんが3店舗めに”潜入”した新宿のユニクロの時給は、いくらだと思いますか?(2016年10月当時)
繁華街の規模は東京最大級を誇る、あの新宿ですからね?
2016年の時点でもユニクロ社長の柳井氏は日本の長者番付首位、ということも踏まえて考えてください。
そんなユニクロのアルバイトの時給は・・・・・・ッ!!
1000円。
新宿区の平均額よりも低いのです。
この時給に対し、とある中国人は、
と憤慨しています。
(交通費の支給もなし)
こちらのユニクロと同じビルにある『ビックカメラ』の時給は、1100円で交通費支給あり。
また、横田さんによると、
そうです。
しかし、ユニクロでは週末も平日も時給は同じ。
(ビックカメラの場合、土日+200円、17時以降+100円、)
これでは、士気があがらないのも無理はありません。
②助けて!人が足らない職場
『ユニクロ潜入一年』には、ユニクロで長期アルバイトをする中野さん(仮名)の話が出てきます。
横田さんが、文藝春秋経由で中野さんからメールをもらい、インタビューをします。
中野さんが見せた「グループLINE」の店長からのメッセージには驚きました。
というところが特に恐ろしいです。
そんなに人手不足なのですね・・・・・・。
とある中国人は、
と憤慨しています。
ある女子大学生は、バイトを辞めたいことを伝えると、店長に、
と言われたのこと。「本当に大人の発言なのか?」と疑いました。
ただ・・・・・・、
実は店長も困っています。
人集めのてっとり早い方法は「時給を上げる」ことでしょう。
しかし、時給の決定権は”本部”にあって、店長にはありません。
店長として、
と思っても、上げることができないんですよね。
横田さんは、ユニクロが上海にオープンするときのテレビ番組を見た時のことを書いています。
そこではスーパースター店長(2016年当時、日本に10人程度存在)が社長に給料アップをお願いしていました。
それに対する柳井社長の返事は、
と、ピシャリ。
店長は店長で、安い人件費で人を集めなければならないため苦労しているのです。
それが、慢性的な人手不足につながります。
❸ 超過酷。原産国の工場
下の写真は、購入したユニクロの長袖Tシャツ。
「中国製」と書いてありますね。
次に、同じ商品を約1年後に買ったものです。
「ベトナム製」とあります。
中国製からベトナム製に変わりました。
(ユニクロ製品をお持ちの方は、タグで生産国を確かめてみてください)
なぜ変わったのでしょうか?
中国の人件費が上がっているからです。
そしてその工場の労働環境は・・・・・・
厳しい。
また、ユニクロの製品を生産している工場では、
ストライキが起きました。
工場立ち退きの際、
といった合法的な要求が通らなかったためです。
妊娠中にストに参加し、流産した女性もいるとのこと。
隣の国でこんな悲しいことが起きていたなんて目を疑いました。
また、工場労働者たちの暮らしも書かれています。
カンボジアの労働者の部分を引用しましょう。
偶然見つけたのですが、私の子どものズボン(ユニクロ)はカンボジア製でした。
そう知ってからは、胸が痛くて仕方ありません。
❹ 変化するユニクロ
著者がユニクロに潜入した期間は2015年~2016年のことです。
当時から変わったことは当然あります。
たとえば、”セルフレジ”の導入。
セルフレジが導入されたため、レジ業務が大幅に軽減されたのではないでしょうか。
このセルフレジ、初めて使ったときはビビりました。
「バーコードをピッ」とやらなくていいんです。
上の写真のように、くぼみに商品を置いたら0.1秒くらいで計算してくれます。
会計が一瞬で終わるので、非常に楽でした。
これで従業員のみなさんの負担が減っているとしたら、嬉しいですね。
❺ 読後の感想
①ユニクロが値上げをしても買う
『ユニクロ潜入一年』を読んでも、ユニクロの製品が嫌いになることはありませんでした。
ユニクロの服は、本当にコスパがいいのだと思います。
消費者としては、安いのこしたことはありません。
が、少々値上がっても買い続けます。
それによって、海外の方や店員さんが報われるのならば納得です。
今までのコスパが高すぎたのでしょう。
②『ユニクロ潜入一年』がすべてではない
『ユニクロ潜入一年』によってユニクロの実態を知りました。
が、これを盲信することは危険です。
『ユニクロ潜入一年』に限らず、メディアとは編集・加工・文脈づけされたものであって真実そのものではないからです。
従業員の中には、好きで働いている人もいらっしゃるでしょう。
また、ユニクロが多くの人に「雇用」の機会を与えていることも事実です。
『ユニクロ潜入一年』を読んだユニクロ社員や柳井社長の感想も知りたい、と強く思いました。
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