【#63】1997年の日本、コンビニに今は無きアレが登場
【社会編】
消費税が5%に引き上げられた。
導入から10年を待たずのアップである。これが国民の強い反発を招き、景気後退の原因のひとつになったといわれる。
5月、日本中に衝撃が走る。神戸市の中学校静穏前で、小学6年生の男子児童の切断された頭部が見つかった。被害者の口には「酒鬼薔薇聖斗」の名が記された犯行声明文が残された。
6月末に逮捕された犯人は、14歳の中学生だった。
「たまごっち」が大ブームになる。
デジタルペットと呼ばれる架空のペットにごはんをあげたり、うんちの掃除をしたりして育成するもの。
「電源オン/オフ」の機能をあえてつけず、24時間かわいがる感覚が大ヒットした。
通販サイト「楽天市場」が設立されたのもこの年である。
【文化編】
安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』がダブルミリオンの大ヒットを記録し、レコード大賞を受賞。
ドラマ『バージンロード』の主題歌であり、いまや結婚式の定番ソングといえる。しかし、安室本人がこの年に20歳で電撃できちゃった婚をするとは誰も思っていなかった。
『週刊少年ジャンプ』の発行部数が、『週刊少年マガジン』に初めて抜かれる。一時的な逆転であったが、ジャンプの凋落は激しかった。
【ゲーム編】
プレステで『ファイナルファンタジーⅦ』(1997年1月31日/スクウェア)が発売された。
それまでの作品はファミコン(任天堂)で発売されていたが、プレステ(ソニー)で発売された。
「この作品の登場が、ソニー製据置ハードが10年近くトップシェアを獲るきっかけをつくった」とも言われている。ゲーム史における歴史的転換点となった傑作。
ファンタジー色は薄れ、キャラの服装や装備、都市の構造などSF的な世界観に満ちていた。
スーファミからプレステにハードが変わったことで、圧倒的に美しくなったグラフィックに、多くのゲーマーが強いインパクトを受けたのではないだろうか。
肝心のゲームシステムも見事だった。
FF7を語るなら、なんといってもマテリアだろう。装備できる数に制限ある中、さまざまな組み合わせを考えたり成長させたりするのが非常に楽しかった。
日常生活においても、そこらへんに落ちているきれいな石を「マテリアやっ!」と言って拾い、装備していた。
マテリアの種類が豊富なのも魅力で、攻略本を眺めているだけで数時間は過ごせる。『バハムート零式』の名前はかっこよすぎて鼻血が出そうになった。
販売戦略も画期的だった。
初回出荷分220万本の内8割をコンビニでゲームが買える『デジキューブ』で販売する作戦を取った。
デジキューブ登場以前、『超大作は、予約あるいは発売日に並んで買うと』というスタイルだった。
が、本作では全国のコンビニエンスストアにも同時に商品を送り込むことで、発売日当日の朝でも行列や品薄を発生させることなく顧客にソフトを行き届かせることにおおむね成功。
国内総出荷本数は328万本に達し、大ヒットとなった。
【1997年のヒットゲーム】
【ヒット曲】
川本真琴『1/2』
PUFFY『渚にまつわるエトセトラ』
華原朋美『Hate tell a lie』
GLAY『口唇』
SMAP『セロリ』
SHAZNA『Melty Love』
SPEED『White Love』
SIAM SHADE『1/3の純情な感情』(大好き😤)
GLAY『REVIEW〜BEST OF GLAY』
(450万枚を超えるセールスを記録。その後のベストアルバムブームを作り出す)
河村隆一『Love』
(男性ソローアーティストとして歴代1位の売り上げ枚数記録を樹立)
【ドラマ】
ビーチボーイズ(主演:反町隆史・竹野内豊)
ぼくらの勇気 未満都市(主演:堂本光一・堂本剛)
【セガ編】(ゲームに関心がない方は読み飛ばしてください)
『デビルサマナー ソウルハッカーズ』が1997年11月13日にアトラスから発売され、狂うほどプレイした。
「ネットワーク社会」を扱った世界観は、時代を先取りすぎていた。
1997年と言えば、まだブロードバンド化される前である(固定電話の回線などを使ってネットをする時代)。
それにもかかわらず、仮想電脳都市「パラダイムX」というものが存在し、そこで現実とは全く異なるアバターを使う者がいるなど、先見の明がある世界観が実に素晴らしいのだ。
現在におけるインターネットの負の側面をぴたりと言い当てた、
というセリフまで存在する。
戦闘も、もちろん楽しい。
悪魔を召喚し、強大な敵に立ち向かっていく。
そして、中二病ゴコロをくすぐるネーミングセンスの数々。
当時、私は習字教室に通っていたのだが、先生の目を盗んでこれらの言葉を毛筆でしたためていた。
「ビジョンクエスト」という、優秀であるが不遇な死を遂げた戦士の記憶を追体験できるイベントも秀逸だった。
その時点では召喚できないはずの高レベルの仲魔(仲間の悪魔のこと)を従えることができるので、脳は興奮しっぱなしである。
特に最強の召喚士ナオミは強すぎるうえに戦闘BGMもかっこいいので素敵であった。
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