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白血病・長期入院〜病院食に対する思い込み

けいゆうです。

 前回までに、病院食についての記事をいくつか作成してきました。多くの人に読んでいただけて嬉しいです!ありがとうございます。

 実は、病院食について記事を作成している間、いつも思っていたことがあって、そもそも、これを理解しているかどうかで、病院食に限らず、食事の価値は大きく変わるだろうなというのが今回の内容です。

 この記事を見てくださってる皆様においては、今回の記事の内容について、既に当たり前の事として理解している人も多いかもしれませんが、私は最初の入院から数か月が経過して改めて気がついたことであり、最初から理解していれば初期の入院生活は、もう少し充実していたかなと思う内容です。

 結論から言うと、

 美味しく食事をする環境づくり

が必要であり、

 美味しい、まずいは思い込み

だった事です。

 “美味しく食事をする環境づくり”については、特に病院食の場合、今までの記事で説明した内容が、私が経験、実践している主なところです。記事の最後にリンク貼っておきますので、参考にしてみてください。

 記事を読んでくださった方は説明不要かと思いますが、要点としては、病院食の目的やメリット・デメリットを考える事と、自分にとって都合の良い設定をする。ムダを無くす。また、量や回数をあえて減らすことで食事の意識を高めたり、ルーティンにしてしまうことも推奨しました。
 目的は、自然に無理なく完食できる環境を作る事です。

 昨今では、ルーティンという言葉が流行ってますが、結局、都合の良い事だけをルーティンにしますよね。そういうことです。
 だから、その“都合の良いルーティン”に病院食を入れてしまえばいいだけのことです。私の経験上、それだけでも入院生活の充実度は大きく違ってきます。
 実際に、私は2020/07/17現在、自家移植に向けて再入院してますが、病院食は美味しくいただいてます。もちろん完食で。

 そして、今回の記事では“美味しく食事をする環境づくり”をする為に、“美味しい、まずいは思い込み”である事を、私の入院生活に加え、生鮮部門での仕事の経験(お客様、従業員の意見や教育内容など)から、心理的な要因がどれだけあるかを解説していきたいと思います。
 私はスーパーの生鮮部門(鮮魚)の経験があり、10年以上働きました。スーパーの仕事内容などは、また改めて記事にしたいと思います。

 それでは、進めていきましょう。

 美味しい、まずいは思い込み

 今回の“美味しい、まずいは思い込み”について、私の経験から考察したのは、
 ・先入観、固定観念
 ・味覚以外の要因(視、聴、嗅、触の感覚)
 ・禁止されると起きる心理現象
です。
 この3つを、前半は、特に病院食がまずいと思う患者としての心理的な要因と、後半は鮮魚担当の経験からの心理的な要因を解説します。

 ・先入観、固定観念

 やはり“病院食は美味しくないものだ”とか、“薄味”という先入観、固定観念があるものです。
 薄味であることを否定はできませんが、思い込みの要因は大きいです。

 例えば、超一流のシェフが作った食事でも、何も知らされず病院内でいつも通りの器で出されれば、普通の病院食だと思って食べるでしょう。逆に高級ホテルにでも行って、一流シェフが作ったと紹介されて出された食事が実際は病院食でも、「素材の味が生きている」とか適当なことを言って美味しく食べてしまうものです。

 簡単な例えですが、現実はこんなものだと思います。まず、“病院食"というだけでこういった壁があります。

 ・味覚以外の要因(視、聴、嗅、触の感覚)

 先入観、固定観念にも繋がりますが、視覚は美味しさの80%以上を占めるというデータがあります。
 病室という空間もそうですが、食器、盛り付けなども心理面に大きく影響します。
 仕方がない場合が多いですが、消化吸収の為にグチャグチャになった食事を見ても食欲をそそられないですし、あまりにもチャチで傷が多い器で出されるのも食欲をそがれます。

 他にも、普段感じている美味しそうな匂いや、焼いたり煮込んだりしている音はもちろん、口当たりなども入院中にはまともに体感できない場合が多く、それが“美味しい"の感覚を遠ざける要因でもあります。

 ・禁止されると起きる心理現象

 食べられるもの・好きなものが並べば、食べたいと思うしストレスはありません。しかし、入院中の場合、病院食しか食べられないという思いの中、好きではない、食べたくないものが出るから、ストレスにもなります。

 抗がん剤を使っている患者さんなどは、生物を禁止されている人が多いと思いますが、禁止されると余計に食べたくなるものです。
 私がいた病室の人では刺身を食べたいという人が多かったです(お酒と)。心理現象でいうカリギュラ効果でもあるかと思います。

 他のものを食べたいと思っている時に出てくる病院食は、もはや“悪の存在”になってしまいます。体調が悪くて食欲が無い時も同様です。だから、食べたくない=美味しくないというイメージを潜在意識が捉えます。

 ここまでが、患者としての経験からの解説でした。ここからは、

 鮮魚担当の経験から解説をします。

 ・先入観、固定観念
 について2つ解説します。

 1、旬の商品、売れ筋、人気商品は黙っていても売れる=売れない物は売れない

 心理学で言うヒューリスティックになりますが、スーパーでは、旬の商品、売れ筋、人気の商品は黙っていても売れます。余談ですが、モテに関する理論でも同じだったりします。
 旬だから美味しい、旬だから食べたい、みんなが食べてるから食べたいとなるわけです。

 逆に、売れない商品は売れません。突如として爆発的に売れる事もありません(テレビなどで紹介されれば別ですが)。
 それでも、商品の中には品揃えとして置かざるをえない物、業者とのお付き合いで置いてる物など置かれる理由は様々です。

 病院食の心理的なイメージは、売れる商品と売れない商品で言えば後者になると思います。人気が無いからますます人気が無くなる悪循環です。

 旬の魚の脂のりや果物の糖度などは数字のエビデンス(根拠)もあるでしょうが、明確にそれを考えて食す人はあまり多くないと思います。やはり、思い込みが食欲や美味しさを決めているのです。

 2、新鮮=美味しい。ではない

 思い込みは、こういった誤解を招く場合もあります。
 ご存知の方も多いかと思いますが、新鮮な魚が必ずしも美味しいわけではありません。魚に限らず、肉類にも共通してますが、“腐りかけ(正しく言えば熟成)”の状態が美味しいというのはエビデンス(根拠)があっての話です。
 腐らせては元も子もないですが、腐る手前の状態がうまみ成分のアミノ酸が多くなります。CGCグループのセミナー等でも、こういった内容は教わります。
 その道のプロはそれを熟知していますし、正しい情報も多く発信されているにも関わらず、テレビ等ではとれたての魚をすぐに刺身や焼き魚にして、それをリポーターが「新鮮だから美味しい」と食す。
 いわゆるテレビ向けの発言ではありますが(もちろん、まずいとは言わないでしょう・・・)、これは正しいとは言えないです。
 このように、誰でも目にするテレビやネットで、誤った情報や過大評価も当たり前のように発信されます。

 テレビやネットの情報が正しいという思い込みが潜在的にあるから、誤った情報も鵜呑みにしてしまう。逆に言えば、それだけの事だったりします。
 結局これも、先入観や思い込みで決めてしまっているわけです。

 ちなみに、経験者なりの補足です。物や食べ方により意見がありますが、私がよく扱っていた魚で“刺身で食べる場合”について簡単に説明すると、
 ・イカ(スルメ、ヤリイカ)はとれたて
 ・青魚(かつお、さんま、あじなど)は身が締まってから
 ・その他(カレイ、ヒラメ、あとはブリやカンパチなど)は、活〆、腹取りをして寝かせてからが美味しいと言われています。
 ただ、保存方法として、4℃以下の冷蔵や下氷、水氷(塩水)は必須ですし、流通の段階でこれをクリアしている場合がほとんどです。

 もう一つ補足すると、沿岸地区や直送品を扱うところであれば水揚げしてすぐに販売されているでしょうが、内陸部や地物以外の魚のほとんどは、消費者の口に入るまでに水揚げから数日経過しています。流通の段階でクリアしているというのは、日数的な意味もあります。
 ちなみに、外国産のまぐろだと、水揚げから消費者の口に入るまでの期間は1週間以上は当たり前です。
 しかし、これは安全な基準と保存状態を満たしていますし、寝かせる事でさらに美味しい状態をつくっているわけです。

 また、寝かせたほうが良いとされる魚をとれたてで刺身にすると、身がプリプリではなくグニャグニャだったり、ゴリゴリするという言い方をする人もいます。勘違いしている人は、これを美味しいと食べるわけです。最早、わさび醤油が美味しいだけです。

 さらに、大した根拠もなく外国産はダメ、国産が良いと言う人も浅はかです。例えば、塩干品の脂のりで言えば、外国産のほうが圧倒的にあります。塩さば、開きあじ、紅鮭や中国産うなぎだってそうです。
 国産品は、“上品な脂でサッパリしている"と表現すれば納得してもらえるでしょうか。もちろん、中には国産で脂のり抜群のものもありますよ。

 鮮度や流通などに間違いの思い込みがあった人は、調べ直すなりしてみてください。あなたの知見が広がり、美味しい食べものが増えるのは確かです。

 ・味覚以外の要因(視、聴、嗅、触の感覚)

 視覚であれば、商品としての盛り付けや広告POPはもちろん、陳列にも売れる法則があり、教育・実践されています。
 ゴールデンラインや下段、平台での陳列。フェース(商品の列)の拡大はもちろん、提案型であれば関連陳列などを徹底します(例えば今の時期でしたら、かつおコーナーをつくり、生かつおとかつおのたたき、それぞれ刺身8切16切20切パックの単品、盛り合わせ、刺し身用のサク、四半身、半身、生の加熱用の切身とタレ漬の切身それぞれ2切3切5切パック、さらに飾りで一本ものを当たり前の値段でドンと並べ、片隅には、つけダレや薬味セット、味ぽんなども並べて展開するなど)。

 聴覚であればアナウンスなど。私が勤めていたスーパーでは定刻に各部門からオススメ、お買い得商品のアナウンスをしていました。音声POPのトークロボの使用や店員がお客様に対して声をかけるのも当然の事で、美味しさやお買い得感を宣伝し、買ってもらうためです。
 そういえば、丑の日のうなぎ拡販日に『ジュー』という焼いてる音だけのCDを使った記憶もあります。

 嗅覚、触覚の条件は試食が該当するかと思います。味覚の要素も当然ありますが、特には、匂いで嗅覚を刺激し食欲、購買意欲をそそるのも試食の目的の1つでもあります。また、試食だと関連の販売もしやすいものです。心理学的な効果もいろいろとありますし。

 ・禁止されると起きる心理現象

 カリギュラ効果として考えるなら、数量限定とか制限でしょうか。
 また、値引き(半額シール)は実際に値段が半額になっているとはいえ、効果大です。
 いわゆる値引き(半額)狙いのお客様もいますが、そういう方は安く買ってるようでも、値引き(半額)だと思って買い過ぎたりしています。私もそうです(笑)。

 余談ですが、金運アップとか開運術では、値引き商品や値切りは良くないとされますが、安くなると買いたくなるのは本能でしょうか。
 私は最近、それを知ってから値引きを待つことはなくなりましたが、見かけると手が出てしまったりします。先日、エアマックスのフュージョンを定価よりだいぶ安く買ったところです(笑)。

 顕在的、潜在的に

 スーパーなど販売業では、売り方に一定のセオリーや法則がありますし、販売店それぞれの努力で意識的にも無意識的にも心理誘導などをしていて、潜在意識から食欲や購買意欲をそそり、お客様に商品を買ってもらうわけです。
 誤解しないでいただきたいのは、“良いものを良いものとして"販売しているということが前提ではあります。騙しているわけではありません。
 販売する側が、お客様が購入する為の脳内のスイッチを入れる努力をしているのです。

 具体的な売上数の変動などは今回は触れませんが、ここまでの解説で、先入観、固定観念などの思い込みが、食欲そして購買意欲に影響を及ぼすことは理解いただけたでしょうか。

 逆に考えれば、病院食に抵抗があるのは、やはり思い込みからであります。
 食材は普通の物を使っているはずですし、多少薄かろうとも味は付いています。慣れれば薄味だろうと普通に、美味しく食べられるものです。薄味が食べられないのは、それこそ、薄味だから美味しくないという思い込みです。

 普段の食事でも、思い込みだけで苦手にしてしまっている食べ物もあるかと思います。というより、アレルギーなど体質的なものを除けば、好き嫌いは思い込みです。
 今まで通りの食生活で、突然、好みが変わることはありません。調理方法や食べ方を変えるなど、変化点があれば意識が変わるきっかけになります。それは病院食も同じです。
 そして、変化点を作るということは、私が初めて記事にした内容の“行動"でもあります。

 さて、今回の記事は解説がメインでしたが、心理的な要因を理解する事で、具体的に美味しくする(感じる)方法や美味しく食べる事へのアプローチはたくさんできます。
 今回までの記事が、病院食を含め、皆様の食生活(考え方)の変化のきっかけになり、お役立ていただければ幸いです。

 長くなりましたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
 これからも、白血病、入院生活をはじめ、生活に役立つ記事を発信します。記事を気に入ってくださった方は、スキ、フォローをお願いします。

 次回は、お金(入院費)の記事を作成したいと思います。

白血病・長期入院〜クリスマス・年末の病院食|けいゆう

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