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私的偏愛図録 ~紫のゆかり~

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「私は、なにかを”愛する”ことが得意なのかもしれない……」そんな発見から生まれた、中山かず葉が(偏)愛するものものについて書かれた記事を秘密の図鑑にしました。
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#エッセイ

【プロフィール】自己紹介が苦手な私のセルフポートレイト

【プロフィール】自己紹介が苦手な私のセルフポートレイト

「自己紹介が苦手です」が私の常套句になったのは、一体いつからだろう。

学生時代から現在にいたるまで、
いざ自分のことを話そうとするとモゴモゴと口ごもって相手にうまく伝えられない。

それは文面に置き換えても同じで、
メモ帳にはスラスラと構成を作れるものの、いざエディタを開くとピタリと手が止まってしまうのが常だった。

それでも、ひとは書き手の”生き方”や”人となり”を知りたいものだと思うから。

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【202310(14)+X】 ”おとな”の居場所

【202310(14)+X】 ”おとな”の居場所

そう、マスターは言っていた。

話の脈略をたどると、それは友人に向けて放たれた文言だったのだけれど、そのフレーズはじんわり、ぽつーんと、たしかに私の胸にも光をともしてくれたのだった。

たったひと晩のできごとが、
今でも忘れられない。



▼ 1軒目
「おっす~!」

1年弱会っていないことがまるでウソみたいに、親友との再会はいつもどうりの軽やかな挨拶ではじまった。

進学・就職のために若くし

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福岡から遠く離れたこの街で、待ちに待った瞬間を迎えた日

福岡から遠く離れたこの街で、待ちに待った瞬間を迎えた日

ずっと、ずっと待っていた。
シーズンが始まった3月から、今に至るまで。

ずっと、ずっとこの日を夢見ていた。
途中、「もう今シーズンは見られないのかな……」と悲しい気持ちになっては「いや、まだ分かんないよね」と首を横に振り続けた。

気持ちだけではどうにもならない悔しさは、私も知っている。だからこそ、懸命にバットを振ってもフライに倒れる彼の打球を見ては、「悔しかねー、拓也ぁー」と呟きながら試合の行

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