マガジンのカバー画像

トウキョウ百景

52
東京生まれ東京育ちの30代。 太と環は、それぞれの東京で生まれ育ち、二十歳の時に東京で出会いました。 2人が見てきた東京の景色、東京での物語を、紹介していきます。 ぼくらが育…
運営しているクリエイター

#中学生

品川シーサイドの公園で、同級生のヤンキーがかけてくれた言葉

品川シーサイドの公園で、同級生のヤンキーがかけてくれた言葉

「あ、やめろーーー!」
と思いっきり叫んだけれど、時すでに遅しだった。
クラスメイトの寺田が壁に投げつけた僕のスクールバッグの中身を見ると、友だちから借りたばかりのORANGE RANGEのロコローションのCDがパキッと割れていた。

寺田は中学で出会った同級生のヤンキーで、入学直後から目立ちまくっていた破天荒なやつだった。
自分の衝動を押さえることができず、相手がクラスメイトでも先輩でもたとえ先

もっとみる
後楽園の体育館で向き合ってくれていたのは校長先生だった

後楽園の体育館で向き合ってくれていたのは校長先生だった

弱小男子バレーボール部の顧問は校長先生だった。

私は中学生の頃、男子バレーボール部に所属していた。ただ、私が入学したのと入れ違いで顧問の先生が異動(しかも不祥事)となり、衰退の鐘が鳴った。そして、大昔にバレー部で指導経験もある校長先生が顧問に就任したのだ。

校長先生の指導が悪かったのではなく、顧問が校長という立場だったのが問題だった。校長先生はほとんど練習に来ることができず、校長室を突撃すると

もっとみる
朝に花火やってみたくね?荒川の土手行こ

朝に花火やってみたくね?荒川の土手行こ

夏の醍醐味は朝だと思っている。騒がしい街もまだ静かで、蝉の声も少ない。誰もが開放的になっていて騒がしいのが夏なのに、静けさが漂っているのがとてもいいのだ。

中学生の私はそんな思いをまだ言語化できていなかったが、同じように「朝気持ちいいよね」などと話せる相手がいた。親友のミキだ。スクールカーストにおいて上位であるミキは、スクールカーストの上位から転落した私を、継続して気にかけてくれた。そして、ミキ

もっとみる