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オリジナル小説

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主に短編小説。Twitterにあげたものをひとまとめにしたものやnoteにて公開したもの等。朗読に使用したり等は御自由にどうぞ。
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記事一覧

告白水平線

青い空がどこまでも続いている。
この空はどこまで続いているんだろうって思ったことは無いかい?
きっと続いているさ、どこまでも。

青い海がどこまでも続いている。
この海はどこまで続いているんだろうって思ったことは無いかい?
きっと続いているさ、どこまでも。

青い空も青い海もどこまでも続いていて、青い海がある所には青い空がある。青い空がある所には青い海がある。不思議に思ったことは無いかい?

僕は

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『世界にひとつの物語』

書きたいと書けないの狭間で今日も揺れる。
時間が無いのを言い訳にして書かなかったんじゃない。
きっと時間があっても書けなかったんだろうと思う。
書きたいなぁと思ってアプリを立ち上げ、
真っ白な画面に文字を打ち込む。
時間にしてたったの3分。でも今は無理。
空に浮かぶ雲は今日もただ流れていた。

それでもきっとまた書くのだろう。
私は書く事が好きだから。
書くことでしか自己表現が出来ない
不器用な人

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『伸ばした手の先にあるもの』

『伸ばした手の先にあるもの』

   
ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩いている。私はひとり道なき道を進む。
この道は何処に繋がっているのか。
この道は何処に繋がっていくのか。
私には分からない。分からないからこそ、私は歩みを止めない。

「ねぇ、誰か。。。」

ただひたすらに暗い、出口も見えない街灯も月明かりもない道を歩き始めた頃は、誰か居ないものかと声を掛けていた。誰でもいい。私を見て、私に声を掛

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私だけの『幸せ』

私だけの『幸せ』

貴方は、貴女は何に『幸せ』を見出だしますか?
家族、生活、仕事、夢、そして幻想。。。

街はクリスマスの賑わいが終わり年末、年明けの準備に忙しい。慌ただしく過ぎていくと、いつの間にか年を跨ぎ、知らぬ間に新年を迎えていた。私はアトリエに閉じ籠り、いつもの様に作品に向き合っている。
私は作品に没頭するタイプらしく、一度没入するとなかなか現実へは戻らない。戻らないとは言え、ある程度の完成が見えた時、どう

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そらいろ

そらいろ

どんよりとした低い、
低い雲の隙間から明るい光が差し込み始める。
「これなら晴れるかも。」
私は手早くスケジュールを確認すると、
今日の日付を探す。
「うん、明日の昼までは大丈夫。」
出かける時にいつも持っていくお出かけセットを押し入れから引きずり出し、車に積み込むと私は家を飛び出した。

「この角度だとこっちか。」
私は町の地図を頭に描きながら、
光の差し込む方向からベストなポジションを探る。こ

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『この空より澄んで晴れ』

『この空より澄んで晴れ』

暑い夏の日、君はただ
青く澄んだ空を見上げていた。

この夏をテーマに贈る最後の物語。

今年の夏はただただ暑い日が続き、猛暑を越え酷暑をも越える日が何日続いただろう。人間が暑い暑いと、その暑さに抗う事を試しているかの様なこの暑さはなんなのだろうか。
「あれ、あの子、、、。」
仕事の帰りにいつも寄る場所で、空を見上げる1人の少女。

同じ様にあの場所で空を見上げていた気がする。1人の少女がただ、空

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『この空の向こう』

『この空の向こう』

君はこの夏、どんな夏ですか?

どのように
この夏を過ごしていますか?

《君に贈る夏の物語》

「なぁ、今年の夏はまた暑いらしいよ。」
「えー、無理無理無理無理!溶けちゃう、煮えちゃう、無くなっちゃう!」
「ほら、ニュースでも言ってるだろ。例年に無く、今年の夏は暑いってさ。」
「プール行きたい!海行きたい!」
「全く、君は相変わらずだな。」
「だって無理だもん!」

「今年はプールも海もお預け

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最後に手紙を

最後に手紙を

ふと、私の目に留まったもの。
何気ない日常の中にあって忘れていた遠い記憶。
人はそれを思い出と言うのだろうか。
泣き出しそうになるのを堪えながら急いで
帰路を急ぐ。すれ違う人が不審な目で見てくるが
気にしてはいられない。

「早く帰ろう。」

やっと見つけた居場所だった。
座り込んでいた私に差しのべられたその手は
大きく、語りかけてくれたその声も、
よく見ると広い背中も、大人びたしゃべり方も、

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君の願いが

君の願いが

どれだけの時が過ぎ、
どれだけの季節が過ぎて行ったか。
いつもの変わらない日常が
ただ、ただ過ぎていく。

いつの事だったろう。
あれは3月の末の、
風の強い午後だった。

今日は何かいつもと違う。
そんな予感がしたんだ。

桜並木をくぐってキミの顔が
少しこわばっていた。
薄々、ボクはキミの願いに気付いていた。
そのキミの願いに怖じ気づいた。
キミの願いがボクの願いと同じだとあの時、
言うべきだ

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~君へ(僕より)~   ~君へ(私より)~

~君へ(僕より)~ ~君へ(私より)~

~君へ(僕より)~

君へ。
君は何故に毎日笑っていられるのだろうか。
君の笑顔を見るたび僕は、
幸せな気持ちになるのは何故なのだろうか。
君が頑張っていることや、
前に進もうとしている事は知っているよ。
僕の声を直接届ける事は、
なかなか出来ないけれど、
僕の思いを君に届けたい。

~君へ(私より)~

君へ。君が居るから私は笑顔でいられるよ。
君が笑顔で迎えてくれるから、
私は笑顔でいられる。

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~笑顔の裏側~

「おはようございま~す。」
私の名前の書いてある部屋にはいると、、、誰もいない。それもそのはず、個人の控え室なのだからいるはずがない。
それでも私は声に出す。
誰かが言ってたなぁ。。。

『ショシンワスレルベカラズ』

誰もいない。1人は寂しい。1人は悲しい。1人は辛い。お願いだから1人にしないで。私を1人にしないで。ねぇ!聞いてるの!?
寂しいの!悲しいの!不安になるの!お願いだから!私の心が叫

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~piano~

私はピアノが嫌いだ。

ピアノの鍵盤を弾く指が舞う。
鍵盤を走る指の動きや強弱で、感情で変わる旋律。私の心を見透かされているような気がしてならない。

いつか先生が言っていた。

「何か不安な事とか嫌な事があったのかな?音に出てるよ。」

私の心の奥底をピアノを通して見られている。そんな思いがして私はピアノから距離を置いた。

幼い転は鍵盤を叩けば音が鳴るピアノと言う楽器が大好きだった。
私がピ

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~帰郷~

都会とは暮らしやすく生活に不便はない。不便はない、と言いながらも不満はある。ジリジリと照りつける太陽の下でアスファルトがしっかりと照り返し熱を溜め込むというコンボを繰り出し、ビルに、家庭に、店舗に備え付けられたエアコンがその存在を誇示するかのように温風を放出する。

更に言えば無尽蔵に走り続ける車の車列がまた熱を生み、熱を放出する。街頭のテレビは連日の気温を発表し、猛暑だ酷暑だと連呼する。
立ち並

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~夏、花火の君~

「今年の夏休み、どうする?」
「どうするってもなぁ。」
今年は例年と違い、色々あって。本当に色々な事があって夏休みが極端に短い。そんな部活終わりの残り少ない夏休み前の平日。俺はいつものようにお前と共に帰る。
「お前は?」
「俺は、、、なんもない。」

そんな会話を交わしながら自転車に乗り、いつもの帰り道を帰って行く。普通の高校生に何か特別な事が有るわけでもなく、ただ毎日を淡々と過ごしている。これに

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