もし松田聖子の「Rock'n Rouge」が古典和歌だったら
デートの待ち合わせ場所へ到着した彼に対し、「SPORTS CARでカッコつけても、あなた絵にならないわよ!」…と、いきなり辛辣なツッコミから始まるこの曲。
海に誘われても「動機が不純ね」とバッサリ。
そんな彼女ですが、何故かサビでは「I WILL FALL IN LOVE~♪」と結構ノリノリなんですよね。
初めて聴いたときからなんとなく抱いていた違和感は、この曲が完成するまでの過程を知ると少し理由が分かる気がします。
今回はこの「Rock'n Rouge」の制作秘話を紐解きながら、平安風の和歌にしてみることに!
ボツになったもう一つの歌詞
「Rock'n Rouge」は、カネボウ化粧品が販売する口紅のCMソングとして書き下ろされました。
当時カネボウ側が「PURE PURE LIPS」というフレーズをサビに含むよう要求していたため、作詞がかなり難航したのだとか。(Wikipediaより)
その際、ボツになったと思われる歌詞のデモが動画サイトで出回っているというのは、ファンの間でも有名な話。
私もたまたま高校時代に聴いて「えーっ!歌詞が全然違う!!」と驚いたのを覚えています。笑
個人的にはボツ版の歌詞のほうがストーリーも自然で、登場人物にも愛着が湧くような気がするのですが…!
間抜けでどこか憎めない男性像
中でも私が気に入っているのは次の箇所。
この「話ほどはもてないのよ」の部分が、ボツ版では「その割には暇そうだわ」と、ついクスッと笑ってしまうような歌詞になっているのです。
確かにモテる男性なら、多くの女性からアプローチを受けて忙しいはず…!
この「暇そう」というワードにより、ちょっぴりダサくてどこか憎めない男性像に親近感を抱いてしまうのは私だけでしょうか??笑
…とはいえ、カネボウ側にとっては大事な商品イメージを大きく左右しかねないCMソング。
もしかすると、ターゲット層となる女性たちがもうちょっと憧れるようなシチュエーションにしたいと、このフレーズは却下されてしまったのかもしれませんね…!
私は今回、この「暇そう」というフレーズからも発想のヒントを得て和歌にしてみました。
平安時代の“通い婚”をイメージ
結句には、平安時代の“通い婚”をイメージして「通ふ」という単語を使うことに。
あなた自分でモテるって言うけど、そんなに足しげく私のもとへ通ってきて大丈夫なの?
…と、ちょっぴりからかうような疑問形でまとめてみました。
きっと彼もタジタジになってしまうのではないでしょうか。
ちなみにボツ版のサビには、「純粋な言葉で口説かれたら I WILL FALL IN LOVE」というフレーズもあります。
口紅のイメージソングでありながら、本当に“PURE PURE LIPS”なのは彼のほうかもしれませんね!
そこばくの 妻ありといふ 人なれば
我にやしげく 通ふべからむ
※解説は冒頭のインスタ参照