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取材前、リラックスのために使っている言葉+4フレーズ

※2024/07 ビジネスパーソン用の4フレーズを足しました。


笑顔に大ネタは要らない

取材先は大体初めて行く場所で、初めて会う人に話を聞きます。社員さんにキャリアを聞くこともあれば、経営者に今後のビジョンを聞く、ブックライティングのためにセンシティブな生い立ちから聞く取材などさまざまです。

取材される人にとっては「今日初めて会ったライターに、自分のことを根掘り葉掘り聞かれる」状況です。でもライターから考えると、こんな状況でも取材で来たからには記事にできるだけの材料をもらわなければいけません。

使える時間は限られている。なるべく早く本題に入りたい。

でもその前に、これはやっておいたほうがいいと確信しているプロセスがあります。それはなるべく早いうちに相手に1回笑ってもらうことです。

別に大ウケするネタ話をする必要はありません。何か少しでも「フフッ」と笑ってもらったらOK。この1回目の「フフッ」があるのとないのとでは、その後の10分間の空気が全く違います。

ずっと張り詰めた空気のまま質問を始めても、硬くなっている相手からはありきたりな答えしか返ってきません。

でも1回でも「フフッ」があると空気がガラッと変わるんです。何か分からないけれど固まっていたものがお互いに緩んで、「よろしくお願いします」と挨拶した後も「はい、どうぞ」とやわらかい答えが返ってきます。

取材のたび、どうにかして早いうちにこの「フフッ」を出せないか苦心してきました。たぶん意識していない取材はないと思います。そこで思い当たったのは「雑談の一言目」です。笑ってもらうために、リラックスしてもらうために、絶対何か話している。

どんな言葉がけをしているだろう、とちょっと思い出してみました。

取材前に使っているこんな言葉

①「こういった取材は初めてですか?」

社員紹介や導入事例などで取材する場合は、多くの人が緊張して「そうなんですよ、今回が初めてで」という話になります。その気持ちは想像できるので「結構緊張しますよねえ」「準備も大変でした?」と相手の状況について聞くようにしています。仕事から少し離れた感覚になって、リラックスしてくれる(笑顔を見せてくれる)人が多いです。

②「この辺ってお昼はどこで食べるんですか?」

雑居ビルが多くて周りにお店が少ないとか、超高層ビルの上階でどうやって降りるんだろうとか、ランチ事情について本当に謎なオフィスがあるんですよねえ。せっかくなので取材前に「ちょっと気になったんですけど」と聞いてしまいます。

お弁当派かもしれないし想定外の裏技もあるかもしれない。「なるほど」とお聞きしているうちに、これもリラックスしてくれる(笑顔を見せてくれる)人が多い話題です。

③「資料のここにびっくりしました」

取材によっては事前に質問案をお送りして、簡単な回答をもらってから話を聞きます。他の人と比べて特徴的なポイントがあったら「事前のご回答ありがとうございました、いただいた資料のこの点がとても珍しいですね」「今日もそこを伺えればと思います」とお伝えします。自分が本当に「おっ」と思ったポイントを挙げるのがカギです。

自分の回答で大丈夫なのか心配される人も多いので、安心したときにリラックスしてくれる(笑顔を見せてくれる)人が多いです。

④「写真もきれいに写りますから」

カメラマンさんと同席中、特に何度か組んでいて様子が分かるカメラマンさんのときは「取材中もちょっと撮ります」「でもめちゃくちゃ雰囲気良く撮ってくださるんで安心してください」と言い切ってしまいます。

「シワや肌が心配」という話になっても「たぶんきれいに飛ばしてくださると思うんで!」「今までの写真もそうなので大丈夫です!」と伝えると、本当にリラックスしてくれる(笑顔を見せてくれる)人が多い話題です。それだけやっぱり皆さん不安なのだと思います。

せっかくなので楽しんでほしい

取材はご縁があってお話を聞く機会、まだ知られていないエピソードを掘り起こすチャンスです。せっかくなので相手の方にも「面白かったな」「気分良く話せたな」と思ってほしい。

個人的にダメだと思うのが「巧く話を引き出してやろう」とか「聞いてあげる」と狙う気持ちです。わざわざ相手の時間を割いていただくのだから、もうちょっと謙虚でいたいと考えています。

お互いに良い時間にしたい、そのためには「雑談」をして、なるべく早く1回笑ってもらう。これは今後もずっと意識し続けていくと思います。

ビジネスパーソンが使いやすい言葉

もっとビジネスパーソンが応用しやすいフレーズもあります。単純だけれど、言い淀んだときに思い出せると場を助けてくれる言葉です。

①「事前にいろいろありがとうございました」

この商談・ミーティングをセッティングしてくれた人がいるなら、雑談のスタートはお礼から入ると自然にやり取りができます。「いろいろ」の部分はいくつも入替が可能で、日程調整・資料手配・出席者の調整など具体的な内容を入れるとお礼の解像度がグッと上がります。そこでふっと表情を緩めてくださる方も多いです。

②「この辺が大変だったのではないですか」

上記①にもつながる話で、面倒をかけてしまったと思うときは「大変でしたよね(ありがとうございました)」という意味で話しかけています。たとえ相手が「そんなことはないですよ」と否定したとしても、こちらはその手間を意識して感謝していることは伝えられるので、頻出フレーズです。

時折、冗談交じり笑顔交じりで積極的に「ここが大変だったんです」と教えてくれる人もいます。そんなときは大きな声で「ありがとうございます!」と返すとちょっとユーモラスな空気になります。

③「もう何年くらいになるんですか」

数字の問いかけは迷ったときの話題として出しやすいです。「何年」の主語はさまざまなところに応用が可能です。相手が入社して何年か、このビルへ移転して何年か、この仕事に就いて何年かなどパターンがいくつもあります。

大体の場合「そうですねえ」と少し考えて話を受けてくれるので、うまく雑談を始められます。何かを思い出して話すことになるので、緊張の枠を一回外すような質問なのだと思います。

④「どんなお客様が多いんですか」

企業や店舗にお邪魔したときに出しやすいフレーズの一つです。こちらで少し予想しながら「若い方が多いんですか」「製造業の会社さんが多いんですか」など具体例を付けて聞いてみると、相手も答えやすくなります。

そのときに出てきた回答からまた次の質問を連想してみてください。仮に予想を外して「そうでもないです」と否定されてしまっても、その場で本当の答えを聞くようにすると会話が続けられます。

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追記 雑談一言目を集めた本を出しました

この記事がもとになった電子書籍が出ました。皆さんが迷ってしまいがちな【雑談の一言目、二言目】を集めた内容です。この記事では8フレーズをご紹介しましたが、電子書籍ではもう少し詳しい状況を予測しながら280例を出してみました。ライターに限らずさまざまな現場で応用できると思うので、ぜひチェックしてみてください!

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