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歳時記を旅する45〔聖夜菓子〕前*聖菓切るお伽の国を乱しつつ

土生 重次
(平成二年作、『素足』)
 親に森の中に捨てられたヘンゼルとグレーテルは、何日も暗い森をさまよい歩く。おなかぺこぺこになり、目の前に突然、ケーキの屋根とパンの壁、砂糖の窓でできた、夢のようなお菓子の家が現れる。これは、人喰いの魔女がヘンゼルとグレーテルをおびき寄せるために作ったもの。二人はお菓子を食べて魔女に捕えられてしまう。(グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』)
童話の家のパンとは、ジンジャーブレッドという生姜をいれて日持ちさせたクッキーのこと。クリスマスには、天使や人型に焼いてクリスマスツリーに飾る。ドイツなどでは、クリスマスにヘンゼルとグレーテルのお菓子の家が、ショーウィンドーに飾られている。
 句はお菓子でできたお伽の国。いつまでも夢を壊したくない気持ちと、早く食べたい気持ちが交錯する。
(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和五年十二月号「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

☆同じ作者 土生重次 のクリスマスの句です。あわせてどうぞ。




   


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