![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/84801318/rectangle_large_type_2_e77e6340a4c37ca5d7b9200c70bfd728.png?width=800)
Photo by
makurin
歳時記を旅する 18 〔萩〕後*吾子眠れほろほろ萩のこぼるるよ
*「歳時記を旅する18〔萩〕前*初萩の…」「歳時記を旅する18〔萩〕中*道問へば屋号で示し萩の道」からの続きです。
*既投稿の記事を分割して再投稿しています。
磯村 光生
(平成三年以前作、『花扇』)
五月七日(陽暦六月二十三日)、芭蕉と曽良は、画工の加右衛門の案内で、宮城野など、仙台周辺を遊覧する。
『おくのほそ道』にも「宮城野の萩茂りあひて、秋の気色思ひやらるゝ」と、花咲く時期を思いやる。
『源氏物語』では、桐壷帝が
「宮城野の露吹きむすぶ風の音に小萩がもとを思ひこそやれ」
と詠む。三歳になる子の若宮(光源氏)が母の桐壷の更衣を亡くして里に帰されていることを案じて、里にいる祖母の北の方宛ての手紙に託した歌。
宮中を宮城野に、子を小萩にたとえている。(「桐壺の巻」)。
句の子は、遊びに興じてか何か患ってか、なかなか眠りにつけないでいる。眠らせるきっかけを探しあぐねて、萩の散る姿に求めてまで子の身を案ずる親心。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和三年九月号 「風の軌跡―重次俳句の系譜―」)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?