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600日連続投稿記念|これで追いつく。私のこれまで観た映画(ネタバレ注意)

はじめに


 こんにちは。吉村うにうにです。普段は長編小説を書いております。時折ショートショ―トや短編も書いております。他サイトですが、長編の一つはこちらです。

天国へ行く前に、猫になった

 この度、note600日連続投稿を達成したという事で、記念に記事を載せたいと思い立ちました。
 タイトルのこれで追いつくってわけが分かりませんよね? 実は、100日連続投稿ごとに、何か記念記事を出しておりまして。例えばこちら

 最初は順調でした。ところが、最近は記念記事の投稿が遅れておりまして、連続投稿が600日に達したのにまだ400日記念記事を書けていないという状態でした。そこで、最近は時間もできたので集中して投稿し、600日の記念記事を出せました。

今回は映画、というのは……

「吉村さん、映画を観るんですね。Aさんから聞きました。おすすめの映画は何ですか?」
 仕事先(取引先の)Bさんからそのように訊ねられました。前日に同じ仕事先のAさんともその会話をしたので、二日続けて映画について喋らなければというプレッシャーでした。
 いえ、べつに時間つぶしの雑談だし、向こうも大して興味がないのはわかっています。というのも、Bさんは私よりずっと年下で会話が下手で、私は挨拶と仕事の内容以外は打ち解けた相手以外とは喋りません。それで仕方なく思い出した話題をぶっこんで来ただけだとおもいます。ただ、こんな短期間に(AさんがBさんに喋ったせいですが)最近観てもいない映画について語るのは大変だったなと思いました。そこで、これまで観た映画を簡単にまとめておくのも、今後の雑談(もうちょっと私に興味がある人向けに)に役立ち、さらに自分を見つめ直す(観るジャンル偏っているなど)機会にもなると思い、まとめさせて頂きます。
 長い記事ですので、皆さんには気になるところだけ目を通して頂けたらと思います。

(余計な話)社交辞令に映画の話を持ってくるのは……

 関係性の深くない相手から「おススメは?」と、いかにも勧められたら自分も観たいといった体で(家族、友人、恋人、これから仲良くしたいと思っている相手、なら良いですが)抽象的に聞かれるのは、苦手で、ちょっと不快です。私は、人にものを強く勧めるほど自信家でもないし、それに「私が勧めたものなんてどうせ社交辞令だけで観ないんでしょう。そういううわべだけのやり取り止めましょうよ」なんてひねくれたことを考えてしまいます。私は人間関係において変に「純粋さ」を求めてしまいますので、「ただ、時間つぶしのために聞いてみた」というのなら、単純に「なにか観ました?」や「何がお好きですか」と聞いて頂いた方がいいです。それか「●●のジャンルの映画をレンタルしたいのですが……」などと、具体的に尋ねて下さい。私は繊細なので、相手の表情や話し方から相手が自分や映画そのものに興味を持っているのかどうか分かっちゃうのです。

読者の皆さんとのお約束

 映画の情報は自分の記憶からだけで引き出すので、内容に誤りがあることもあります。また、ネタバレの時は(ここからネタバレ)とフラグを立てるので、記事に興味を持ったけれどもネタバレは見たくない方は、フラグを見て飛ばして下さい。
私の記事なので、ジャンル分けは滅茶苦茶です。
早い話、一般的な映画ジャンル別の分け方はしません。代わりに「私がこの映画に何を求めて観たか」で分けます。そこで、私がなぜこの映画を観た、その感想、演技、音楽、カメラワークへの評価を独断で書きます。独断です。映画に詳しくない私が独断で好き放題に書きます。読者の皆さんには不快かもしれませんが、あくまで自分用への雑談メモを読者の皆さんに公開しているだけ、そう思って笑い飛ばして下さい。
では、これまで観た映画の感想などを述べたいと思います。
映画タイトルの前には●をつけておきます。多少は見やすくなるといいのですが……。

では、ここからは「私が観てきた映画」を紹介します

①自分が抱えている生きづらさ、孤独感をマッチしていそうで惹かれた映画

 まずは重いテーマです。映画も暗めが多いです。私自身、普段は明るくて悩みがないようにふるまっていますが、心の中には幼少期から育っていた闇を抱えています。自分の繊細な性質は、教育虐待をする親、殴る塾講師、学級裁判なる教師公認のいじめなどにはとても耐えられなかったのでしょう。大人になった今でも、孤独感や虚無感を抱えています。それが執筆のエネルギーにもなっているのだから変な物です。そんな自分が、何かしら孤立した登場人物の出る映画には感情移入をして泣いてしまいます。まずは最も回数を観た映画から。

●悪人
これは、漁村で寂しく暮らす若い男性が、ついうっかりと人を殺してしまい、出会い系で会った女性と逃避行する話です。映画館に十数回観に行きました。この映画のポイントは、私の解釈ですが、逃避行する男女は、本当は大して好き同士ではなかったのに、お互いの心の隙間を埋めるための繋がりだったという点です。本当の愛(そんなのがあるとしたらですが)がないからとりあえずは偽物で、でもその偽物でもとても大切。そんな解釈をしました。四か所泣けるところがあって、シーンの三分前から「予測泣き」ができます。

●天使の涙

 これはDVDを買って観ました。香港映画です。めっちゃ端折ってまとめますと、殺し屋が、人生に迷って殺される話です。殺し屋の将来の無さ(を本人が感じている)とやはり孤独感が暗い映像、主役のレオンライの顔、くわえタバコ、顔を洗う仕草と至る所に落ちていて、浸れます。私は、フリーランスで仕事をしているので、この殺し屋の安定の無さがよく分かるような気がします。でも、迷ったら生きていけないんです。そんなことを教えられました。殺し屋が仕事をする時の音楽がカッコいいです。

●タクシードライバー
 DVDで観ました。うろ覚えですが、将来のないタクシードライバーが無敵の人っぽくなって、政治家を襲おうと思ったが、無理だったのでギャングを襲ってヒーローになっちゃったと言う話です。たしか主人公は不眠に悩まされているというのも、闇の深さを感じたと思います。ここからインスパイアされたと思われる映画「ジョーカー」も観ました。ただ、ジョーカーよりもタクシードライバーの主人公の方に「やりきれなさ」を感じ、心が生ぬるい湯にどっぷりつかれたような心地良さを感じました。主人公の意図とは別の結果が物語に現われる、そんなテーマですが、私もそういう物語を書いてみたいと思っています。

●ラストターゲット
 ジョージクルーニー主演だったと思います。私は、この人がカッコいいと思うのですが、読者の皆さんはどう思いますか? 天使の涙と同様に殺し屋ものなのですが、殺し屋さんって、身近な人をも騙して仕事をしているから孤独なんですよね。この主人公も殺し屋なのに、美女に恋をしたがゆえに命を落とした。直接は描かれていませんが、わたしはそう解釈しました。

●マイレージマイライフ
 これもジョージクルーニー主演です。全国を出張してマイルがたまるのが楽しみという男が、生き方を変える話だったような……。私もフリーランスをしていて、昔はホテルに月25泊する生活をしていたので、根無し草的な生き方の気楽さ、寂しさはよく分かりました。

●十階のモスキート
 内田裕也さん主演です。パソコンだけが友だちの警察官が主人公で、借金に首が回らなくなって、最後は郵便局強盗で(わざと)捕まる話です。真面目な警官が、崩れていくさまが悲しくて、いつか自分の心に重力崩壊しそうな私には「気持ちはわかる」感が出る映画でした。

●見つめる女
 女性がストーキングをする話ですが、見ているだけで特に害悪のある行為はなかったと思います。この映画はストーキングそのものより、この人がプールで泳ぎながら「いつも溺れているような感覚」に陥っているという独白が印象的でした。主人公の女性は一見、陽キャなのですが、実は陰キャというところもお気に入りです。

●禁じられた遊び
 昔のモノクロ映画です。両親を戦争で亡くした小さな女の子が、一時的に引き取られた農家の息子と、動物や虫の死骸で「お墓ごっこ」で遊ぶという、笑えなさすぎる話です。「沢山お墓があって賑やかでいいね」といわんばかりに嬉しそうにしている子どもたちは、女の子の両親と愛犬を亡くした状況を考えると悲しすぎます。

②歴史、実際の事件を基に作っているので気になって観た作品

 こういうノンフィクションとフィクションの間のような作品も大好きです。実在の事件はどうだったのかを、映画形式で観ると意欲的になり記憶に残りやすいです。特に歴史ものは自分が学べたように思えて得した気分です。「実際に起きた事なんだ」と思って観ると、エンタメ系よりも真剣に何かを学ぼうと意欲的になっている自分がいます。

●暗い日曜日
 幼少時に雑学本で読んだ「世界中で自殺者が出た曲『暗い日曜日』」がずっと気になっていました。YouTubeなどない時代でしたので、どんな音楽だったのか、本当に曲が呪われているのか、と興味津々でした。暗い日曜日は戦前、BBCが放送禁止にするくらい不吉な曲だったそうです。それを題材にしているだけで、ストーリーは架空の物でしたが、第二次大戦前後の時代を反映した風景を味わえたのと、曲そのものを聞けたので、幼少時の知りたかった希望が叶いました。女優さんのスタイルが抜群で私の理想でした。ストーリーは最後にあっと驚く展開がありました。
 また、「暗い日曜日」から着想を得て作った邦画「伝染歌」というのも観ました。AKBの初期メンバーが沢山出演していて、ファンには嬉しいかもしれません(私はメンバーをよく知らなかった)。こちらは歴史と全く絡めていないストーリーですが、ストーリーそのものはちょっと怖くて楽しめる映画でした。

●ヒトラー最後の十二日間
 第二次大戦末期のベルリンが舞台で、題名の通り、ヒトラーが地下壕から指令を出して、まだ勝利を信じている段階から自殺するまでの日々を描いています。独裁者はもっと滑稽に描く映画や本が多い中、この映画では悩める小さな人間として描いているので、リアリティを感じました。

●子どもたちは森に消えた チャイルド44
 第二次大戦ぐらいから戦後にかけて、大勢の子どもが殺害されたソ連時代の事件を描いています。ソビエトで暮らす人々の閉塞感が伝わってきて良かったのですが、ちょっとアクションシーンで女性(一般人設定で特殊部隊とかではない)が強すぎて白けました。リアリティを求めて観た映画だったので、ちょっと……。

●ヒトラーの贋作
 これも第二次大戦中に、ヒトラー政権がユダヤ人を使って偽イギリスポンドを作ってイギリス経済を混乱させようともくろむ話です。偽札を作るという業務に邁進し、仕事への誇りを持ち、一生懸命働いて一級品の仕事をすること素晴らしい、芸術だ、と思わせてくれた作品です(やっていることの善悪は置いときます)。偽札工場での男たちの真剣な眼差しが印象的でした。ただ、主人公の工場主任の男性のキャラが一貫していない(最初、冷たい、後半急に仲間想いになる)のが残念でした。

●誰も知らない
 柳楽裕也主演の映画です。実際に起きた「巣鴨子ども置き去り事件」を基にしています。事件と比べると、ちょっとだけ映画の方がマイルドです。シングルマザーに置き去りにされた子供たちだけがマンションで生きていく話です。ガスが止まり、電気が止まり、水道が止まりと少しずつ生活環境が悪化していくのが悲しかったです。ところどころ、良い出来事も混じっており、物語は、出来事にアップダウンを繰り返すのが売れる秘訣だというのを勉強させてもらった具体例でした。

●冷たい熱帯魚
 これは埼玉の「愛犬家殺人事件」をモチーフにしています。正直、殺害シーン怖いです。ただ、事件そのものが怖いので、目を背けちゃいけないと自分に言い聞かせて観ました。

●マザー
 これも埼玉県で起きた「祖父母殺害事件」をモチーフにしています。母親の指示(?)で、男の子が、祖父母宅に入って、殺人をする話です。ニュースとして見るとすぐに忘れますが、映画になると人間関係が頭に入るので(もちろん映画は一応フィクションですが)、頭の中に事件が起きた背景が浮かびやすいです。本当に親ガチャと言う言葉がぴったりでした。長澤まさみさんが出ていましたが、汚れ役を見事に演じていたと思います。

●チェンジリング
 アメリカで実際に起きた事件が元になっています。誘拐された子供が戻ってきたが違う子だった。母親はそれを訴えたが誰も信じてくれない、という話です。本人が違うと言っているのに誰も信じてくれない。私もそんな目に何度も遭っています。

●凶悪
 邦画です。ある死刑囚が、まだバレていなかった殺人事件を告白する話です。それには別の不動産屋が関わっていて、何人もの人が闇から闇に葬られていたことが分かります。これは、迂闊に財産があると、誰に命を狙われるかわかったものじゃないという教訓を残しました。特に、社会的に繋がりがない人間にとっては。

 その他名前を挙げておきます。●ブラックホーク・ダウン

③映画の中に謎がある映画

 本格ミステリーはなぜかあまり好きではないのですが、ストーリーの中に何か隠された謎があって、それを解き明かす展開は好きです。説明が難しいので具体例を挙げます。

●エスター
 孤児の女の子が夫婦に引き取られているのですが、その子が変わっていて、段々とホラー調になっていきます。
(ここからネタバレ)
 その女の子は、実は下垂体の病気で若く見えるだけの人で、実年齢はもっと歳をとった、子どものふりをした大人です。孤児院から家庭に貰われてはトラブルを起こして行方不明になり、また別の家庭に孤児としてもらわれる「孤児のベテラン」でした。そんな感じです。謎自体は「実は何らかの事情で若くない子だろうな」と予想はつきましたが、常軌を逸した女の子の行動が恐怖感を煽っていました。

●僕のエリ 200歳の少女
 これは、主人公のいじめられっ子が、隣に住む少女と仲良くなる物語です。その子は家から出たことがなく、年輩の男の人と暮らしています。女の子と主人公はモールス信号で会話する話だったような。
(ここからネタバレ)
 実は女の子は吸血鬼で、年配の男性は女の子のために殺人を繰り返していました。ラストはいじめっこを女の子が始末してくれたことで、住んでいる場所に留まれなくなり、旅に出るシーンでした。これって、吸血鬼は歳をとらず、男の子はいつかお爺さんになってしまう。それを繰り返すことを示唆していて、その永遠性に虚しさを感じました。

●白いリボン
 ドイツのとある村で次々と怪我や殺人事件が起きて、その犯人を捜す過程で物語が展開していきます。
(ここからネタバレ)
 実はこれはミステリーに見せかけてミステリーではありません。それを理解するまでは犯人がわからないままラストを迎えてイラっとしました。これは犯人を捜す過程で、一見平和に見えていた村人たちが実は一皮むけばろくでなしでギスギスした人間関係の中に暮らしているという闇を見せる映画だったようです。「誰が犯人だろう」と考えながら観ていて見事に裏切られました。でも、二回目に観る時に犯人捜しをやめてみると、私の結構好きなドロドロの人間ドラマをミステリー風にコーティングしていただけだとわかり、楽しめます。

●シックスセンス
 これは主人公の男性が、「幽霊が見える」という男の子につき合って事件を解決する話です。
(ここからネタバレ)
 実は、主人公の男性は映画の冒頭で亡くなって幽霊になっていました。私はそれに気づかず、映画を観終えていました。主人公と妻は口もきかない関係でしたが、主人公が雄大だったら当然です。私は「最後まで仲の悪い夫婦だったね」と一緒に観に行った友人に感想を述べ、友人からネタを教えてもらってやっと理解しました。
 私は、物事の理解力がないのか、謎解きが非常に苦手です。しかし、周囲の人は私のうわべだけを見て、勝手に私を「頭の良い人」扱いしてくるので、その度にいつも戸惑います。悪気があって言っているわけではないことは理解しているので、腹を立てることはありませんが、これも、私が孤独感を深める理由の一つになっていると思います。私があまり自己開示をしないのが悪いと言えば悪いのですが、私に興味がない人にいちいち自己アピールをするのは苦手なのです。でも、この世の中、自分を一生懸命ラッピングして実際より良く見せたものが勝つんだなと成功者たちを見て思います。ホント、私にとってこの世界に生きていくことは難しいと感じています。ただのひがみですが……。

その他にもタイトルだけ挙げておきます。
●シャッターアイランド、●22年目の告白

④ノンフィクション、ドキュメンタリー

 私はこの手の「真実」を求めるジャンルが大好きです。普段絶対見られない舞台裏や実験や、企業の闇を暴く、などを題材とした映画は観る前からわくわくします。まずは、(うにうに認定で)ドキュメンタリーのキング的な作品を紹介します。

●おおいなる沈黙へ
 これは記事にもしましたので、良かったら読んで下さい。

 世界一規律が厳しい修道院の内部が公開した映画です。私の中では、キングオブドキュメンタリーです。2022年から毎日寝る前に五分ずつ鑑賞しています。眠くなります。勝手にヒーリング映画として利用しています。これが、もっともあるがままを撮影したに近い映画だと思います。これを観た後で他のドキュメンタリーを観ると、編集や音楽、ナレーションによっていかに観る人が誘導されるかがわかるでしょう。
 ただ、この映画は「真実」を追い求めているので、内容的には退屈と言えます。だから眠い。ストーリーを楽しもうとするとがっかりします。そうではなく、淡々と画面の中で生じている事を自分の中で消化しながら、自由とは何か、神は人とどう関わっているのか、といったことを考えながら観るのがおススメです。構造主義の映画論みたいな本の中で「映画に必ず必要な物は対立関係」とありましたが、そういう意味ではこの映画は映画でさえないのかも知れません。対立するものが全く見当たりません。しかし、既存の映画の見方から脱出すると、そこに広がる敬虔な世界に浸ることができ、楽しめます。

●あまくない砂糖の話
 これは、砂糖がいかに人間の体に悪影響を及ぼしたかを監督自身が被験者になって甘いものを摂り続けたドキュメンタリーです。監督の真摯な実験への姿勢は見事で、随所に砂糖が人間の体に及ぼす影響について述べられているので勉強にはなりますが、実験そのものは手法に問題があるので(一人しか参加していないし)、あまり科学的なコンテンツとは思わずに気軽に観るものなのかなとは思います。

●世界の果ての通学路

 これは、名作です。主に発展途上国ですが、通学路を行く子供たちを映し出しています。登場する通学路は、我々が普段しているような甘っちょろい物ではありません。アフリカでは、片道四時間かけてサバンナの草原を突っ切って学校に行きます。親のアドバイスは「象には気をつけろ(怒ったらライオンとかより危ないらしい)」でした。集団登校なんて甘い制度はありません。兄妹の二人きりです。他にも、脚の悪い子を手作りの車椅子で兄弟たちが手助けをしながら、水たまりを突っ切って学校に行くインドの子や、崖路を横切りながら行く中東の女の子の話もあります。共通しているのは、「学校が好き、勉強が好き、勉強をして偉くなりたい」という子どもの純粋な気持ちでした。これを観ていると、学ぶ事のありがたさ、貴重さが身に染みます。学べる環境があるというのは幸せな事です。そう思って、私が現在まで執筆を続けていられる理由の一つになっている映画です。

 その他にもタイトルだけ挙げておきます。●フード・インク ●日本列島いきものたちの物語

⑤ピリピリした緊張感を味わいたい

 私は映画に刺激を求めることがあります。恐らく、問題のある親に育てられたので、愛着障害を抱えているのが原因かと思います。愛着障害があると、脳内のオキシトシンという人との親和性を求めるホルモンが不足しています。つまり、人間飢餓状態みたいな感じです。でも、その方が落ち着くんです。この状態で、人が無闇に近づくと却って不安になります。大勢のパーティーや人混みも苦手です。でも、やはり人恋しい、という気持ちはあります。オキシトシンが不足するが人は苦手。いえ、苦手ではないですが疲れる……。そうなると代わりの物で埋めたくなるのです。それがドーパミンです。これは刺激や報酬を得られる時に放出されて、報酬への期待感でワクワクします。つまり、人との親和の不足をドキドキで埋めようとします。これは結構危うい生き方です。その解消の一つが、「刺激の強い映画を観る」というものです。刺激の強さにも色々あるでしょうが、私は残虐さと残酷さと展開の読めなさとのバランスが取れているものが好みです。
 
●ジョニーマッドドッグ
 現代アフリカの少年兵が残虐に暴れ回る話です。キャストに元少年兵を使っています。アフリカでは軍閥が村を襲い、子どもをさらって自分の親を殺させて、少年兵に仕立てます。少年兵がアフリカの軍隊の主力となっている様です。昔はなかったシステムです。ところで、皆さんはなぜ現代になってから少年兵が主役になっているかご存じでしょうか? 子どもは前頭葉が発達していないので恐れも良心の呵責もなく戦場では活躍できる筈なのに、なぜ第二次大戦前にはあまりいなかったのか。それは、「武器が軽くなり、かつ反動が小さくなって扱いやすくなった」というのが一番の理由だと思います。私も、バンコクでアメリカ軍のM16自動小銃を試射したことがありますが、銃は素人で力のない私でも持ち運べそうなほど非常に軽く、撃った時の反動もわずかでした。拳銃も撃ちましたが、拳銃は軽いものの反動が強く扱いにくいです。昔の斧や剣、その後のマスケット銃などと違って、自動小銃があれば子供でも戦闘には十分役立ちます。武器の進化が子供を有能な兵士にする、文明の進歩の悲しい面を見ました。散々、殺戮、強奪をやり尽くした少年兵は、和平が結ばれると兵士を辞めさせられます。救いがありません。

●ファイトクラブ
 これは、綺麗好きの主人公が、野性味あふれる男「タイラー」と出会って、ファイトクラブなる地価の格闘技に参加しているうちに、エスカレートしてテロを起こそうとする話です。
(ここからネタバレ)
 実は主人公が出会った男は存在しないというか、一人二役だったというのが驚きでした。主人公が勝手にタイラーなるいつも自信家で人を挑発し積極的に悪事をさせる人物を作り出したんですね。この映画は作中ずっと緊張感が途切れず、ビルの爆破の瞬間までドキドキでした。

●スラムドッグミリオネア
 スラムに住む少年が、インド版「クイズミリオネア」に参加する話です。クイズミリオネアをご存じですか? みのもんたさんが司会のクイズ番組です。そのクイズ番組に参加するまでの過程がしっかりと作り込まれていて、主人公、恋人、友人それぞれの物語が描かれ、絡んでは離れるを繰り返して最後には一つにまとまります。番組ミリオネアの司会の役者さんがみのもんたさんに寄せて選ばれていて、良いキャラクターでした。
(ここからネタバレ)
 最高賞金の問題は小説「三銃士」のキャラクター名を答えさせるものでした。主人公は答えを知っていたにもかかわらず(学校で習っていた)、テレフォンというルールを使って(一度だけ電話で知り合いに答えを教えてもらえるルール)、居場所の知らない恋人に電話をかけます。自分が無事でいることを伝えるためです。この辺の演出が秀逸です。
 
●クロッシング
 こちらは同名の映画があるのでややこしいのですが、北朝鮮脱北ものの方です。主人公だけが脱北して、子どもを後から脱北させようとして失敗する話でした。子どものために脱北したのに子どもを失うというのは、やり切れません。実際の脱北者からインタビューをして作り上げた作品なので、北朝鮮での生活がどんなものか、安心して観ていられます。ストーリー全体を楽しむというよりは、北朝鮮に暮らす人の細部に宿る過酷さを味わうのも良いと思います。
 
●闇の子どもたち
 こちらはタイの児童買春および、臓器移植の話です。貧しい村から買われた子が、売春宿で働き、病気になって村に帰るが残酷な扱いを受けるという流れにやりきれなさを感じました。吐気をもよおすような描写も多く、観るにはかなりのエネルギーが必要です。

⑥深く考えずにエンジョイして観た作品、または友人との付き合いで観た作品

 これまで、やや重い映画や教訓的な映画が多かったと思います。「うにうにって、娯楽的な映画は観ないの?」と尋ねられたことはありますし、そう思っている読者の方もいると思いますが、そんなことはありません。気軽な映画も観てきています。ただ、気軽に鑑賞した映画は、記憶に残りにくいです。印象に残ったものは多少説明しますが、ここでは大半はタイトルだけの紹介にしておきます。

●ちょっと今から会社やめてくる
 これは、やや重たい感じがする映画ですが、私の中では娯楽性が高い部類に入ります。ブラック企業に入って大変な思いをする主人公を、小学校の友人と名乗る男が助ける話です。最後はスカッとする展開になります。上記の二人の演技も安定していますが、案外、吉田剛太郎演じる上司に迫力があって、そこも見どころではないかと思います。
 
●インセプション
 これは、他人の夢に入り込み、夢を作り変えて、その人の行動を変えようとする陰謀の話です。その発想が斬新で最後まで食い入るように展開を見守っていました。夢を見る人の夢の中で見ている夢にまで入り込む(書いていてよくわからなくなりましたが、夢が入れ子構造になっているのかな?)という凝った展開でした。過去の出来事で心に傷を抱えるディカプリオの表情の作り方もよかったです。私も、いつか夢をテーマにした幻想小説を書きたいなとは思っていますが、この映画に触発されているのかも知れません。
 ところで、夢の話が好きな私にピッタリの企画「こんな夢を見たラジオ」さんを見つけました。そこに投稿すると、ラジオコンテンツで夢を朗読して頂けるかもしれません。私が朗読して頂いた時の記事はこちら

夢を記憶し、記録するのは難しいですが、たまに成功すると人生体験が増えて得した気分になります。皆さんにもお勧めです。

 その他にもタイトルだけ挙げておきます。沢山あります。●感染、●ハンガーゲーム、●ロードオブザリング、●八日目の蝉、●インファナルアフィア、●カンフーパンダ1.2、●AKIRA、●風の谷のナウシカ、●もののけ姫、●千と千尋の神隠し、●幼獣マメシバ、●最強のふたり、●夢売るふたり、●万引き家族、●マトリクスシリーズ、●タイタニック、●オーメン。こちらの映画は過去に記事を掲載していますのでよかったらどうぞ。

⑦女優さんが美人だから観た。

 この女優さん綺麗だなと、と言う理由だけで映画を観ることもあります。そういう時はストーリーがたとえつまらなくても満足です。いくつか挙げておきます。

●天使の恋

 先ほど取り上げた「天使の涙」とタイトルがごっちゃになりそうですが、こちらは佐々木希主演の映画です。ちょっと、ストーリー展開が強引な気もしましたが、可愛さは正義です。観ているだけでデレデレでした。ルッキズムですね。ごめんなさい、ココだけは許して下さい。

●君の膵臓を食べたい
 現在心の傷を抱える人が、高校時代を振り返ってそこで出会った女の子との思い出を振り返るという形式です。浜辺美波演じる女の子が、不治の病に侵されていて、家族以外では主人公だけがそれを知るという設定です。よくあるストーリーと言ってしまえばそれまでですが、主人公と女の子の関係性にちょっと変化をつけていて、それが物語を個性的な物にしていると思います。

 その他にもタイトルだけ挙げておきます。●風俗行ったら人生変わった、●アイアムアヒーロー、●ナラタージュ、●失楽園、●東京タワー、●ふがいない僕は空を見た。

⑧(おまけ)つまらな過ぎて印象に残った映画

 観て(自分にとっては)ハズレだったなと思うこともよくありました。これは好みの問題ですので、酷評することはなるべく避けます。多くは、つまらなかったという記憶しかなく、内容も覚えておりません。しかし、たったひとつだけ、あまりにもつまらなくて中途半端に面白かった映画よりも心に深く刻み込まれた映画があります。いえ、観る人が見たら面白いのかも。あくまで私の主観によるものです。悪口ではありません。

●リミット

 アメリカ軍と関わって働く主人公が目が覚めると狭い空間に閉じ込められていました。どうやら棺の中にいて、携帯電話と、ライターとナイフくらいしか持ち物がありません。なぜ閉じ込められたのか、脱出できるのかというドキドキを期待させる映画でした。
(ここからネタバレ)
 脱出できません! はあ? イラクで働く主人公がテロ組織?に捕まり棺の中に入れられてしまったという設定らしいです。主人公は携帯を使ってアメリカ軍に捜索を依頼したり、テロ組織と交渉したりしますが、最後まで棺の中のワンシーンだけで物語が終わり、登場人物も、主人公以外は声だけです。何よりもこういう映画って、いかに難しい状況に対して知恵を絞って幸運の助けを借りながら頑張って脱出するというカタルシスがいいのではないのか? そう思うのですが、最後まで主人公に良い所が無くて死んでしまう事が示唆されています。私の中ではガッカリ映画だと思うのですが、皆さんはどう思うのか聞いてみたいです。案外、「それは違う見方をすべき映画だ」という意見もあるかも知れません。

脱線です。ハズレ映画から思い出した、激マズ学食の話

 昔、学食で自分史上「もっとも不味いかつ丼」を食べたことがあります(評価軸はあくまで私の好みの問題ですが)。味噌かつ丼という名称なのにかつにかかっていたのはドレッシングのような酸っぱい液体でした。自分が注文したものを残したのは後にも先にもこれだけです。その後、同級生に「これ不味いよ」と言ったところ、みんなが興味津々でその味噌かつ丼を注文し始めました。意見は「あ、ホントに不味い」から「いや、俺はドレッシング好きだからありかも」まで様々でしたが、盛り上がった事には違いありません。ハズレ映画の話をして思い出しました。

最後に

 これまで、自分が観てきた映画を、印象深いものを中心にまとめてみました。この記事を書くにあたって、自分の過去から現在まで紡いできた精神と観たくなる映画との関係性がまとまったような気がします。多くの人は生きていく中で、傷を負っていると思います。私もそうです。私は、これまで、そこから目をそむけて(一番楽なのは「自分が悪かったのだから仕方がない」と加害者を正当化する事)生きてきましたが、自分がこれまで色々な心ない人から色々なものを浴びせられた被害者だという事を認めることで、自分の負える責任、追う必要のない責任が明確になってくるような気がします。ちょっとは人生楽になるかな、というところまではいきませんが、自分の傷を知ることで自分の行動傾向を理解し、自分の取扱説明書を少しずつ書けるような気はします。
 皆さんも、自分が観た映画をリスト化することはいいと思います。自分の映画の好みから、人生への課題が見つかるかもしれませんし、何より誰かとの会話が広がってくるかもしれません(誰かに好きな映画は何かと突然聞かれても、直前に観た映画しか思い出せないですから)。
 私の映画感想をつらつらと述べましたが、皆さんが観た映画はこの記事に載っていましたか? 私の意見に頷かれたでしょうか? それとも違うと思われたでしょうか? 色々な意見があって、それを語り合うのも映画の楽しさだと思います。皆さんが楽しめた映画についても聞いてみたいです。
 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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